eぶらあぼ 2023.8月号
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第713回 定期演奏会 8/19(土)18:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp10/9(月・祝)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net51番。前半には各人のソロ曲も置かれている。三人のコンサートでソロを組み込むのは、東京では初の試みとのこと。なるほど、言われてみればそうか。 休憩なし70分のプログラムのあと、約20分の「アフタートーク」で客席との交流の機会も。ちなみに三人とも鈴木優人 ©Marco Borggreve左より:秋元孝介、伊東 裕、小川響子 ©Nikolaj Lund関西人(小川と伊東が奈良、秋元が兵庫)。どんなネタ・・・いや、話題で楽しませてくれることやら! 注目のトリオを身近にたっぷり楽しんで入場料は3000円(25歳以下は1500円)とリーズナブル。頑張った自分にごほうびをぜひ!文:鈴木淳史文:宮本 明鈴木優人(指揮) 東京交響楽団メンデルスゾーンが遺した壮大なコラールの世界 鈴木優人は、いま日本でもっとも多ンデルスゾーン版「マタイ受難忙な指揮者かもしれない。バッハ・コ曲」が定期演奏会で予定されてレギウム・ジャパンの首席指揮者を務いたが、コロナのために中止にめながら、全国津々浦々のオーケストなっている。 交響曲第5番「宗教改革」とラを指揮。年間予定表に彼の名前が第2番「讃歌」は、いずれもマル載っていない日本のオーケストラはなティン・ルターからの影響が顕いくらい。さらにチェンバロやオルガ著な宗教的なシンフォニー。なン奏者としても活躍、作曲や演出、プロかでも、「讃歌」は独唱と合唱をデュースまでこなしてしまう、類い希な伴う、カンタータ的な性格をもる才人だ。つ。バッハの受難曲の演奏な バロックから現代曲までレパートど、宗教曲を新鮮なスタイルでリーも幅広い。そのなかでも、鈴木が聴かせてきた鈴木ならではの「勝負曲」として捉えているのは、メン手腕が発揮されること間違いデルスゾーンの作品なのではないか。ない。この曲の独唱陣には、中当時忘れられていたバッハを評価し、江早希、澤江衣里(以上ソプラそのエッセンスを生かしてロマン派のノ)、櫻田亮(テノール)ら宗教曲語法を作り上げた作曲家だ。ことに近のスペシャリストを揃え、万全の年は再評価も著しい。体制で臨む。 鈴木が東京交響楽団の定期演奏会でのデビュー曲として取り上げるのが、そのメンデルスゾーンによる2つの交響曲だ。2020年、両者によるメごほうびクラシック 第7回 葵トリオ世界を駆ける若きトリオによる心やすらぐ癒しのひととき A=秋元孝介(ピアノ)、O=小川響子(ヴァイオリン)、I=伊東裕(チェロ)。三人の頭文字を取って「葵」トリオ。2018年ARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝。いま引っ張りだこのトリオが第一生命ホールの「ごほうびクラシック」に登場する。 メインはメンデルスゾーンの三重奏曲第1番。ピアノ三重奏といえばこの曲だが、彼らは最近になって、満を持して集中的に取り組み始めた。今年聴いた彼らの“メントリ”は緻密かつ情熱的。私たちはピアノ三重奏について、ソリスト性と調和のバランスがどうのと、ついついしたり顔で語りがちだけれど、そんな言葉遊びの不毛さを痛感。公演後も彼らの演奏が頭から離れず、食事しながら無意識にメロディを口ずさんでしまい、同伴者に笑われた。あの至福の時間にまた立ち会える。プログラムは他に、生誕150年のラフマニノフ「悲しみの三重奏曲」第1

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