eぶらあぼ 2023.8月号
49/137

第753回 東京定期演奏会 9/1(金)19:00、9/2(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp46と勺杖」を取り上げる。これは昨年9月に亡くなったエリザベス2世が戴冠した際、その式典のために書かれた行進曲で、豊穣な管弦楽のパレットを余すところなく用いたゴージャスな音楽だ。 コアな後半に対し、前半にモーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、J.S.バッハ「シャコンヌ」というクラシックのド定番、有名すぎてむしろオケの定期などではあまり見かけない曲をぶつけてきたのも、また山田らしい。「シャコンヌ」は齋藤秀雄編曲版で、これはもちろんサイトウ・キネン・オケの看板曲だが、藝大出身で齋藤秀雄メモリアル基金賞の受賞者でもある山田はどう仕上げるのだろうか。プテン翼』だった。「ギターは友だち」なのだ。 まだ彼を聴いてないという人も大丈夫。今からでも遅くない。しかもこの3度目の来日は、ギタリストの全貌を披露するようなプログラムだ。彼の誇りであるスペインのギター曲はもちろん、南米のギター作品からクラシックまで、ギター百科的な幅広いレパートリーで、彼の魅力、ギターの可能性を満喫できるはず。東京公演はトッパンホール。研ぎ澄まさ10/4(水)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com他公演10/3(火) フィリアホール(パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831)10/6(金) 大阪/ザ・フェニックスホール(06-6363-7999)©European Music Foundation (Liz Isles)れた弱音も奏者の息づかいも間近に共有できる親密な空間は、ギターを感じるのにもベスト。山田和樹 ©Zuzanna Specjal文:江藤光紀文:宮本 明山田和樹(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団ヤマカズ・ウォルトン第2弾、イギリス音楽の真髄をみせる! 都響との三善晃・反戦三部作の一挙上演(5月)、バーミンガム市響の来日公演(6-7月)を相次いで成功させ、国内でも快進撃が止まらない山田和樹。その魅力はいろいろあろうが、筆者はプログラミング面でも演奏面でも、意外性で人々の心をつかむのがうまいと常々感じている。今年もまた山田は9月の日本フィルのシーズン・オープニングを振るが、これまた意外性のあるプログラム・演奏で楽しませてくれそうだ。 メインとなるのはウォルトンの交響曲第2番。昨年の第1番に続く選曲だ。バーミンガムでの経験が、山田をしてイギリス音楽の可能性に開眼させたことは想像に難くない。第2番は1番に比べて演奏頻度は少し落ちるが、第二楽章の美しい旋律や終楽章のパッサカリアの堂々とした歩みに円熟した職人芸が光る。 その前には同じくウォルトンの「宝玉ラファエル・アギーレ(ギター)世界で絶賛される話題のギタリストが弦のトッパンで初リサイタル ギター・ファンのあいだで話題沸騰の人。ラファエル・アギーレ(1984~)はセゴビアやイエペスら巨星の系譜に連なる、21世紀スペインの天才ギタリストだ。とにかく圧倒的なテクニック。でもそれが自然すぎて、何がすごいのかだんだんわからなくなってくる。じっさい、速弾きのような超絶技巧だけでなく、メロディの一音一音の美しさや、情熱的なラスゲアードなど、ギター演奏の基本的な部分でぐいぐい引きこまれる。 そしてなにより、弾くのがうれしくてたまらないという“ギターキッズ”ぶり! 前回来日時に収録されたTV番組の中で、彼は気張らず穏やかにこう語っていた。「パーフェクトに弾こうとするのではなく楽しむこと。コンサートはパーティーのようなものだからね」。素敵だ。故郷マラガで8歳でギターを始めたアギーレ。少年時代の彼が熱中していたというのが、日本のアニメ『キャ

元のページ  ../index.html#49

このブックを見る