9/10(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jpプロムナードコンサート No.4049/18(月・祝)14:00 サントリーホール第982回 定期演奏会Cシリーズ9/23(土・祝)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jpに厚みを加えたのだろう。近年の彼女は、声の美質を保ったまま、フレージングを逞しくすることにも成功、リサイタルの選曲もより幅広くなっている。 この9月、森麻季は「愛と平和への祈りをこめて Vol.13」と題したコンサートを開催。ベルカント・オペラやフランス・オペラの難曲から、オペレッタの人気のアリア、ブラームスの宗教曲のソロまで、彼女の道のりを総ざらえする名曲ばかりである。そのプログラミングには、「穏やかなるチャレンジ精神」の一言を賛辞として送りたい。持ち前の柔らかさに陰翳や鋭さが宿る一瞬をお聴き逃しなく!42ワシントン・ナショナル・オペラデビュー25周年 愛と平和への祈りをこめて Vol.13森 麻季 ソプラノ・リサイタル初心にたちかえり新たなる挑戦のステージへ 1996年の秋、あるオペラコンクールで、ソプラノ・森麻季の歌を初めて聴いた。ドリーブの《ラクメ》の名曲〈鐘の歌〉をヴォカリーズで始めたとき、まずは声音の神秘性に耳が吸い寄せられ、コロラトゥーラの麗しさにも魅せられた。歌いぶりはとても涼し気。でも、そこから格別の「潤い」が湧いて出る。なので詳しくメモを取った。「この人は、世に出る。必ず」―心からそう思ったからである。 結果、森は、筆者がたびたびインタビューし、何十回と批評もさせてもらうスター歌手になった。ワシントン・ナショナル・オペラのデビューは《後宮からの逃走》のブロンデ役だが、その後、《ホフマン物語》の人形オランピアを演じた際―同時多発テロが起きたその時―には、現地の人々の思いやりに包まれて、歌う喜びを嚙み締めたのだそう。そうした人生経験も、歌いぶりローレンス・レネス ©Mats Bäcker奏者でもある作曲者が楽器の幅広い表現力を遺憾なく引き出した、現代の注目作だ。本作は21年に同じ出演者で上演予定だったが実現せず、今回は2年越しの待望の機会となる。 各公演の後半は、18日がプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」抜粋、23日がタベア・ツィンマーマン ©Marco Borggreveラフマニノフ交響曲第2番。都響3度目の登場となるレネスは、21年には「都響を振れるなら」と1公演のために2週間の隔離を受け入れたほどの結びつき。今回も「大切な作曲家」と語るプロコフィエフとラフマニノフの大作で、明晰かつ心のこもる演奏を存分に聴かせる。文:岸 純信(オペラ研究家)文:林 昌英©Yuji Horiローレンス・レネス(指揮) 東京都交響楽団今昔の傑作を名手のヴィオラで味わう 9月の東京都交響楽団主催の4公演がおもしろい。演目は各回すべて異なるが、2回ずつ同じ指揮者とソリストの組み合わせで行われるのである。3日・A定期と8日・B定期はサッシャ・ゲッツェル指揮、ネマニャ・ラドゥロヴィチのヴァイオリン。さらに注目すべきは18日・プロムナードと23日・C定期。指揮はスウェーデン王立歌劇場音楽監督など各地で要職を務めた名匠ローレンス・レネス、ソリストはヴィオラの世界的巨匠タベア・ツィンマーマン。 両日の協奏曲は、古典と現代の好対照な2作。18日はモーツァルトのクラリネット協奏曲のヴィオラ版。音域等近い特徴があるクラリネットの楽曲をヴィオラで弾く機会は少なくないものの、この超名曲を最高のヴィオリストで聴けるのはやはり貴重で、新しい魅力を味わえそう。23日は現代イギリスのサリー・ビーミッシュのヴィオラ協奏曲第2番「船乗り」(日本初演)。タベアに捧げられた2001年の作品で、ヴィオラ
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