25 そこで今年の主役とも言えるフランス出身の指揮者ステファン・ドゥネーヴに2023年のフェスティバルに対する期待、選曲のアイディアなどについて聞いた。 「子どもの頃から憧れていた小澤征爾さんのフェスティバルに再び参加することができるので、今から松本を訪ねるのが楽しみです。彼は若くしてブザンソン国際指揮者コンクールを制覇したことから、フランスでもずっと注目の存在でしたし、僕も子どもの頃からその指揮ぶりに触れてきました。小澤さんがフランスのオーケストラを振った公演がテレビ放映されるなど、多くの人にとって身近な存在でもあり、一緒に仕事ができるようになったのは夢のようなことでした。松本では、1998年に《カルメル会修道女の対話》のアシスタントとして参加したのですが、それがパリへ引越し公演をした時に、僕の誕生日パーティーにサプライズで登場してくれたことも印象的な出来事でした」 オンライン取材にもかかわらず、実に表情豊かに語ってくれるドゥネーヴ。その溌剌とした雰囲気からも、今年の松本での公演への期待も高まってくる。 「オーケストラ コンサートでは、前半にアメリカ的な作品の代表としてバーンスタインの『ウェスト・サイド・ストーリー』から〈シンフォニック・ダンス〉とジョン・ウィリアムズのチューバ協奏曲を選びました。小澤さんの師でもあるバーンスタインの作品はサイトウ・キネン・オーケストラの高い実力を表現するのにぴったりの作品です。チューバ協奏曲のソリストは杉山康人さん。ヤスとは1998年に松本で出会い、それ以降、新日本フィル、クリーヴランド管でも一緒に演奏しましたが、本当に素晴らしいチューバ奏者です。ジョン・ウィリアムズの隠れた名曲のひとつであるこの協奏曲を彼と紹介できるのも楽しみです」 後半には合唱を含むフランス近代の大作が並ぶ。 「プーランクの『スターバト・マーテル』は小澤さんの指揮で初めて知った作品でした。ソリストとして加わるソプラノのイザベル・レナードとも、2013年にこの松本のフェスティバルでの公演《スペインの時》で知り合って以来、共演を重ねています。そして東京オペラシンガーズをはじめとする合唱団と再会できるのも、このコロナ禍の後にはとても意義深いことになると思います」 ジョン・ウィリアムズが参加する「オーケストラ コンサート Bプログラム」でもドゥネーヴは「雅の鐘」「E.T.」などのウィリアムズ作品を指揮する。 「2007年にロサンゼルス滞在中にジョンと出会いました。スピルバーグやスコセッシといった名監督たちも参加する、ジョンのガラ・コンサートがあり、それ以来、友人となったのです。彼の90歳を祝うガラ・コンサートの指揮も任せてくれました」 たくさんの想いを詰め込んだフェスティバルが間もなく開幕する。サイトウ・キネン・オーケストラ ©大窪道治/OMFInformation2023セイジ・オザワ 松本フェスティバル8/19(土)〜9/6(水) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)、まつもと市民芸術館、松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール) 他●オーケストラ コンサート Aプログラム 8/25(金)19:00、8/27(日)15:00 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)●オーケストラ コンサート Bプログラム(完売) 9/2(土)15:00 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)●OMFオペラ プッチーニ:《ラ・ボエーム》より第1・2幕 8/26(土)17:00 まつもと市民芸術館・主ホール●ふれあいコンサート Ⅰ.8/26(土)14:00 Ⅱ.8/29(火)19:00 Ⅲ.8/30(水)19:00 松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)●OMF室内楽勉強会〜リートデュオ・リサイタル〜 8/19(土)15:00 松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)■ セイジ・オザワ 松本フェスティバル実行委員会0263-39-0001 https://www.ozawa-festival.com※フェスティバルの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。
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