CDSACDCDCD114モーツァルトのピアノソナタ全集の第5弾。使用楽器はベーゼンドルファーの新型280VC、それも久元祐子のために作られたというピラミッド・マホガニーの特別モデル。久元は粒立ちと木の温もりが共存する音を楽器から引き出し、モーツァルトがウィーンで活躍した時代の作品を奏でる。広く親しまれるKV545のソナタでは、音の輝きの変化、細やかなニュアンスの妙で引きつける。続く幻想曲やKV457のソナタという短調の作品で暗転する音、リスト編「アヴェ・ヴェルム・コルプス」の神秘的な音など、一つの楽器とは思えない多彩な音色を聴くことができる。 (高坂はる香)ショパン音楽院留学時にシマノフスキ作品に魅せられて以来、長くその紹介に努めてきたピアニスト・木田左和子。前東京藝術大学長のヴァイオリニスト・澤和樹。日本シマノフスキ協会理事でもある二人の名匠が、初期から晩年までの作品を渾身の演奏で収めた。ドイツ的な構成感の残るソナタから、神秘的な作風の「神話」への変化の巧みさ。近年聴く機会の多い「ノクターンとタランテラ」は、快速で弾き飛ばされがちな妖しい和声をしっかり聴かせてくれて、目から鱗が落ちる思い。これら難曲を、澤は丁寧かつ覇気のある演奏で構築。木田の共感あふれるピアノの美しさも特筆したい。(林 昌英)近年、吉松隆人気が再燃しつつあるが、ブーム牽引の一翼を担っているのが原田慶太楼。3月の東響との吉松個展の録音が早くもリリースされた。歯切れよいリズム感、ノリのよさ、安定感のあるシャープな音像は全曲に通底するが、作品ごとのアプローチの多彩さが面白い。交響曲第3番は6曲ある吉松のシンフォニーの中でもとりわけ骨太の構成を持つが、クラシカルな様式感とポップな感性がバランスしている。「鳥は静かに…」は抒情的、ジュニア・オケのために書かれた「鳥のシンフォニア」は明るく楽しい。「タルカス」吉松編曲版は原曲のもつロック性を全面に出し、オケが大胆に吠える。(江藤光紀)2020年結成のダブルリードアンサンブルによる22年8月23日王子ホール公演を収録した“ライブ”盤。吹奏楽とともに青春を過ごしたメンバーたちにとって想い入れのあるコンクール課題曲を中心としたプログラムだが、同グループ代表のオーボエ奏者・長山航の巧みな編曲で、ダブルリードだけで奏でる芳醇な世界へと誘ってくれる。酒井格「たなばた」の中間部の掛け合いなど、原曲では他楽器が奏でるソロも置き換えられているのでお楽しみに。A.リードの代表作「アルメニアン・ダンス パートⅠ」では同属の民族楽器「ドゥドゥク」の音色へのリスペクトもナイス。(東端哲也)モーツァルト:ロンド KV485,KV511、ピアノ・ソナタ KV533/494,KV545,KV457、幻想曲 KV475、アヴェ・ヴェルム・コルプス KV618(リスト編)/グリーグ:アリエッタ久元祐子(ピアノ)シマノフスキ:ヴァイオリン・ソナタ ニ短調、「神話」3つの詩、ノクターンとタランテラ、「ハルナシェ」より〈農民の踊り〉(P.コハンスキ編)、4つの練習曲、前奏曲 嬰ハ短調澤和樹(ヴァイオリン)木田左和子(ピアノ)吉松隆:交響曲第3番、鳥は静かに■、鳥のシンフォニア「若き鳥たちに」/K.エマーソン&G.レイク(吉松編):タルカス原田慶太楼(指揮)東京交響楽団福田洋介:風之舞、さくらのうた/保科洋:風紋/酒井格:たなばた/A.リード:アルメニアン・ダンス パートⅠ(以上長山航編)東京ダブルリード本舗【荒川文吉 小山祐生(以上オーボエ) 長山航(オーボエ・ダモーレ/バス・オーボエ) 戸田智子 久保一麻(イングリッシュ・ホルン) 廣幡敦子 長田和樹 小武内茜 (以上ファゴット) 大内秀介(コントラファゴット)】収録:2022年8月、王子ホール(ライブ)妙音舎MYCL-00037 ¥3300(税込)コジマ録音ALCD-9254 ¥3080(税込)オクタヴィア・レコードOVCL-00817 ¥3850(税込)収録:2023年3月、東京芸術劇場(ライブ)日本コロムビアCOCQ-85609-10(2枚組) ¥4400(税込)栄光のモーツァルト ピアノ・ソナタ KV457,533/494,545/久元祐子カロル・シマノフスキ作品集―「神話」への誘い/澤和樹&木田左和子吉松隆:交響曲第3番、タルカス/原田慶太楼&東響ライヴ!/東京ダブルリード本舗
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