eぶらあぼ 2022年5月号
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第700回 定期演奏会 6/25(土)18:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp7/2(土)14:00 王子ホール 4/23(土)発売問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp50この作曲家にとっての「運命交響曲」。苦悩から勝利へ、暗から明へと至る力強いドラマが描かれる。マリンは音楽の持つドラマを強調するためにときには大胆な表現も辞さないタイプの指揮者だと思うが、はたしてこの曲ではどんな解釈を披露してくれるだろうか。また、各地のオーケストラでとりあげてきたストラヴィンスキーの「火の鳥」は、マリンにとって勝負曲のようなレパートリー。大編成が要求されるオリジナルの1910年版だけあって、壮麗で色彩的なサウンドを期待できそうだ。左より:山本一輝、三澤響果、菊野凛太郎、築地杏里演奏は、新時代の到来を告げるものになるだろう。音楽ファン必聴のコンサートだ。文:飯尾洋一文:片桐卓也©LEVSHINtransit Vol.15 クァルテット・インテグラ(弦楽四重奏)新世代の筆頭クァルテットの実力を聴く この10年ほどを振り返ると、若手の得している注目の団室内楽団体の活躍が目立つ。たとえ体だ。ば2008年にARDミュンヘン国際音 そのクァルテット・イ楽コンクール弦楽四重奏部門で東京ンテグラが王子ホールの「transit Vol.15」クヮルテット以来38年振りに入賞したに登場する。これはウェールズ弦楽四重奏団、同じくミュンヘン国際で2016年に入賞したカルテッ未来の才能を広く紹ト・アマービレなどがその代表格だが、介するシリーズで、多より若い世代の弦楽四重奏団にも魅くの若手奏者が登場し力的な団体がある。そのひとつがクァてきた。クァルテット・ルテット・インテグラだ。インテグラはベートー 彼らは2015年、桐朋学園在学中にヴェン「弦楽四重奏曲第6番」、リゲティ「弦結成され、その一体性を持った演奏や楽四重奏曲第2番」、ド音楽に向き合う姿勢が評価されて、元ビュッシー「弦楽四重東京クヮルテットのメンバーである磯奏曲」をプログラム村和英により「インテグラ(イタリア語に選んだが、古典から現代までの幅で統合などの意味を持つ)」と名付けら広い時代に対応する能力、そして鋭れた。現在はサントリーホール室内楽アカデミーの第6期で研鑽を積んでいい感性によって繰り広げられる彼らのるが、2021年秋にはハンガリーで行われたバルトーク国際コンクールで第1位を受賞するなど、世界的な評価も獲イオン・マリン(指揮) 東京交響楽団東響定期初登場のマエストロが贈る壮大なロシア・プロ 東京交響楽団の第700回定期演奏会に登場するのはイオン・マリン。日本のオーケストラをたびたび指揮する名指揮者だが、東響定期には今回が初登場となる。マリンはルーマニア出身。亡命してオーストリア国籍を取得し、ウィーンを拠点に国際的な活動をくりひろげている。アバド時代のウィーン国立歌劇場を支え、さらにベルリン・フィルやロンドン響など世界の主要オーケストラの指揮台にも立ち、オペラとコンサートの両輪で豊富な実績を誇る。 そんなマリンが東響との共演にあたって用意したのは、チャイコフスキーの交響曲第4番とストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」(1910年版)を組み合わせたロシア・プログラム。どちらの曲もコンサートのメイン・プログラムになっておかしくないハイカロリーな選曲だ。 チャイコフスキーの交響曲第4番は

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