eぶらあぼ 2022年5月号
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第740回 東京定期演奏会〈春季〉5/27(金)19:00、5/28(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jpCLASSIC プログラム 6/16(木)  CLASSIC+JAZZ プログラム 6/17(金)各日19:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jp38にヴィオラの新鋭を迎えたが、17年の来日時には若きマリー・シレムが彼の代役を務めて新たな息を吹き込み、そのままメンバーに定着した。 クラシックの王道はもちろん、ジャズやポピュラーのアレンジも得意とするかの冒険者たちが来たる初夏、2様のプログラムで紀尾井ホールを沸かす。いずれもウィーン古典派のハイドンやモーツァルトで幕を開け、ヤナーチェクやショスタコーヴィチとともに20世紀へ歩む。そこから初日はシューカーチュン・ウォン ©Angie Kremer音音階と変拍子を用いた反復的な音楽がアジア的な生命力を想起させる。ピアノは昨年エリザベート王妃国際音楽コンクールで第3位に入賞した俊英、務川慧悟。若い才能たちによる伊福部という点でも注目に値する。 なお、ウォンは代役として第377回左より:ラファエル・メルラン、マリー・シレム、ガブリエル・ル・マガデュール、ピエール・コロンベ ©Julien Mignotマンでロマン派へと遡り、翌夜はジャズに進んで、即興的な才気を炸裂させる。時代も地域も文化も自在に旅するエベーヌ四重奏団の真骨頂に触れる好機となるだろう。三宅理恵文:飯尾洋一文:青澤隆明務川慧悟横浜定期(5/14)と杉並公会堂シリーズ2022-23 第1回(5/15)にも出演することが決まっている。南紫音の独奏によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲と、ドヴォルザークの交響曲第7番ほかの民族色豊かなプログラム。こちらも名演を期待できそうだ。カーチュン・ウォン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団実力・人気急上昇のカーチュンが振るマーラー・シリーズ第2弾 シンガポール出身の気鋭カーチュン・ウォンが、首席客演指揮者を務める日本フィルとともに、ふたたびマーラーに取り組む。昨年12月の交響曲第5番に続いて、5月の東京定期では交響曲第4番が演奏される。グスタフ・マーラー国際指揮者コンクールの優勝者であるウォンにとって、マーラーは重要なレパートリー。前回の第5番では細部まで彫琢されたダイナミックで輝かしい演奏を聴かせてくれたが、今回の第4番にも大いに期待が高まる。終楽章に登場するソプラノは三宅理恵。清澄な歌唱によって天上の世界を表現してくれることだろう。 マーラーに組み合わされるのは、伊福部昭作曲のピアノと管絃楽のための「リトミカ・オスティナータ」。日本人作曲家の作品に対しても意欲を見せるウォンと日本フィルのコンビならではの選曲だ。「リトミカ・オスティナータ」とは「執拗に反復する律動」の意。六クァルテットの饗宴2022 エベーヌ弦楽四重奏団現代屈指のクァルテットの真骨頂に触れる2夜 エベーヌ弦楽四重奏団は痛快だ。彼らのステージは、音楽の楽しさを何度でも思い出させてくれる。クラシックとかジャズとか、そういうことではなくて、それはもっと大きく、音楽を楽しんだ、という喜びに近い。 なぜって、多種多様なレパートリーをしっかり手の内に収めながら、どの曲に臨むときにも鋭くパッションを燃やすからだ。クールで冷静なときも、情熱的で、はたまたアグレッシヴなときも、彼らの演奏の芯には確かな熱気と求心力がある。ジャンルを超えて刺激的なコラボレーションも含め、ここ20年の室内楽シーンで、もっとも活発でクリエイティヴな弦楽四重奏団と称えていい。世界有数のバンドと呼んでも大げさではないだろう。 1999年にフランス人の学生たちが組んだグループで、パリでイザイ弦楽四重奏団に師事し、2004年ARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝。15年

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