eぶらあぼ 2022年5月号
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第968回 サントリー定期シリーズ5/18(水)19:00 サントリーホール第146回 東京オペラシティ定期シリーズ5/20(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第969回 オーチャード定期演奏会5/22(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp Ⅰ J.S.バッハ―ソロ 5/30(月)Ⅱ D.ショスタコーヴィチ―室内楽&ソロ 6/2(木)各日19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com37 コンスタンチン・リフシッツがトッパンホールで行う「バッハ&ショスタコーヴィチ プロジェクト」は、上半期屈指の注目公演の一つ。1976年ウクライナ生まれのリフシッツは、鬼才と呼ばれる名ピアニスト。鮮やかなテクニックで奥深い演奏を聴かせる彼は、“現代最高のバッハ弾き”とも称されている。 そんな彼の「バッハ」プロは、「7つのトッカータ」と「音楽の捧げもの」。即興的な部分とフーガが並ぶ10分級のトッカータが7曲続いた後に、カノンやフーガが連なる「音楽の捧げもの」を弾く。ここにバッハへの強い自信がうかがえる。実際彼はバッハのフーガを冴えた音色でクリアかつ崇高に表現す左より:コンスタンチン・リフシッツ/山根一仁 ©K.MIURA/東 亮汰/川本嘉子 ©島崎陽子/遠藤真理 ©Yusuke Matsuyama曲の生演奏を聴けること自体が貴重な「24の前奏曲」。多様な掌編が続くこのピアノ曲では、透徹した音による詩情豊かな音楽を堪能できるだろう。最後は、山根と東亮汰(ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)、遠藤真理(チェロ)とのピアノ五重奏曲。重厚さと抒情性を併せ持つ作曲者随一の室内楽曲だ。ここはむろんスリリングで濃密な競演が展開されること必至。この充実の2夜は、ぜひとも通して味わいたい。る。さらには、「音楽の捧げもの」のCD(2005年録音)で、この謎曲をピアノ音楽としてごく自然に紡いでいる点にも驚かされる。それゆえ脂が乗った今の彼のバッハに寄せる期待は大きい。 「ショスタコーヴィチ」では日本の精鋭たちが共演する。まずは深化著しい山根一仁とのヴァイオリン・ソナタ。リフシッツに触発された山根が、いつにも増して鮮烈なソロを奏でる場面が目に浮かぶ。次は世界的名手による全チョン・ミョンフン ©上野隆文文:長谷川京介文:柴田克彦チョン・ミョンフン(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団フランスもののスペシャリストによる名曲プロが実現 チョン・ミョンフンとフランス音楽ペシャル・アーティスティック・アドバイザーに就任してから今年で21年。ことの結びつきは深い。オペラ座バスの間数多くの名演を積み重ね、2010ティーユ音楽監督時代は、バスティー年桂冠名誉指揮者、16年名誉音楽監ユ管とのベルリオーズ「幻想交響曲」(1995年度レコード・アカデミー大賞督に就任、お互いの信頼はさらに深まった。今年1月に予定されたマーラー受賞)や、メシアン監修の「トゥーラン「交響曲第3番」はオミクロン株に係ガリラ交響曲」などの録音が大絶賛さる新規入国制限で中止となってしまっれた。音楽監督(現名誉音楽監督)をたが、入国緩和となりチョン・ミョンフン務めたフランス国立放送フィルとのと東京フィルの共演が久しぶりに実現度々の来日公演では、今回の東京フィする。マエストロが「日本の家族」と呼ルとの演目、フォーレの組曲「ペレアぶ楽員たちのコンサートに臨む気迫がスとメリザンド」、ラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲、ドビュッシーの交響いかほどか想像に難くない。昨年のブ詩「海」、ラヴェルの管弦楽のための舞ラームス交響曲全曲と同じく、忘れが踏詩「ラ・ヴァルス」をすべて指揮してたいコンサートになることだろう。おり、色彩感あふれるしなやかで力強い演奏で聴衆を魅了した。また、「海」と「ラ・ヴァルス」はソウル・フィルとの録音の評価も高い。東京フィルとのビゼー「歌劇《カルメン》」(2020年)の燃えに燃えた演奏には心底感動した。 チョン・ミョンフンが東京フィルのスコンスタンチン・リフシッツ(ピアノ) BA-DSCH Project200年の時を翔る鬼才の深遠

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