eぶらあぼ 2022年5月号
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Informationこども音楽フェスティバル 5/4(水・祝)〜5/7(土)サントリーホール およびアーク・カラヤン広場等 周辺施設■ サントリーホールチケットセンター0570-55-0017   ソニー音楽財団03-3515-5261https://www.kofes.jp25取材・文:飯田有抄 ゴールデンウィークの4日間(5/4〜5/7)、サントリーホールおよびその周辺施設を舞台に「こども音楽フェスティバル」が初開催される。これまで多くのこども向けクラシック音楽公演を手掛けてきたソニー音楽財団とサントリー芸術財団による企画で、国内外で活躍する総勢300名の演奏家が一堂に会し、アイディアに富んだ全18公演に登場する。その公式アンバサダーに就任したのが、NHKの音楽番組でも活躍中のピアニスト清塚信也だ。 「こども向けの音楽フェスティバルとしては、世界最大級の規模です。赤ちゃんから中高生、そして保護者の皆さんまで、いろんな方を対象にして、クラシック音楽の楽しさ、面白さ(interestingでもfunnyでもある)に出会ってもらう音楽祭です。“こども向け”と一口に言っても、内容や演奏は一流のアーティストが妥協のないクオリティでお届けします。チケット料金はリーズナブルに抑え、ほとんどの公演は無料ライブ配信も行うなど、聴きたいと願う人たちへの優しさも大切にしています。また、お笑い芸人などポップなゲストもお迎えし、彼らの新鮮な感動も共有しながら、みんなで盛り上げていきます。一流、優しさ、ポップさ、この3つの柱を私はとても大事に考えていて、フェスティバルという一つのチームで取り組んでいけるのは、とても嬉しいことです」 オープニング・ガラ・コンサート(5/4)ではナビゲーターおよび演奏で出演し、開催期間中の無料ライブ配信番組「こども音楽フェスティバルオンライン!」でも音楽の魅力を伝え続ける。 「家庭のネット環境が進歩し、スマホやタブレットなどもこどもたちに身近なツールとなりました。コロナ禍においては音楽の配信技術が上がり、聴く人も届ける人もネット配信への抵抗は少なくなったと思います。コロナをネガティヴに捉えるだけでなく、そこで負けずに一致団結して、クラシック音楽界全体の力が注がれた部分でもあります。この音楽祭でも、会場に来られないお子さんたちに無料で楽しんでもらえるのは嬉しいですね。 とはいえ、クラシックとは読んで字の如く“古典”ですから、伝統的な慣習や品性を崩してしまっては、お届けしたことにはなりません。やはりクラシック音楽特有の空気感や味わいも一緒にお届けする必要はあると感じています。会場に来てくれたこどもたちには、アコースティックな楽器が生み出す空気の振動を肌で感じてもらい、心も体も震わせてほしいですね」 こどもの頃からピアノと向き合い続けてきた清塚。音楽は自分にとってずっと「勉強」の対象だったが、中学生の頃に音楽で挫折を知った時、救ってくれたのもまた音楽だったという。 「中学1年で初めてコンクールに落ち、人生初の挫折感を味わったのですが、その頃ラヴェルのピアノ協奏曲第2楽章やマーラーの交響曲第5番第4楽章『アダージェット』が、深く心に染み込みました。初めて音楽を勉強としてではなく、感情的に捉えられたのです。以来、貪るように音楽を聴いて、自分を回復させていった思い出があります」 そんな清塚自身は現在6歳と9歳の娘の父親となり、「こどもというのは、さほどこどもじゃない」と感じている。 「不自然な“こども扱い”は不要ですね。こどもにはまだ知らない言葉や物事はあるにしろ、人としての感覚はむしろ大人より優れている部分もあります。人間はもともと音を聞いて怖がったり、緊張したり、やすらいだり、慰められたりします。ですから、音楽を聴くことに本来スキルはいらないはず。音に感動するというのは、人間にプログラミングされた原始的で神秘的な能力なのです。こどもたちには何も難しく考えず、音楽の響く空間に、ただ身を置く体験をしてほしいです。音楽を通じて本気で何かを表現し、瞬時に流れを判断し、ベストパフォーマンスを本番で繰り出そうとする大人の演奏家たちの姿を目の当たりにして、こどもたちにいろんなヒントを得てほしいです。他ジャンルの表現活動やスポーツなどにつなげられる部分もあるでしょう。何か一つを深く極めることの素晴らしさも、音楽を通じて感じ取ってもらえたら嬉しいです」こどもたちに贈る本格的なクラシック音楽祭を初開催

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