eぶらあぼ 2019.12月号
67/205

64©Marie Staggatミュンヘン交響楽団(共演:モナ・飛鳥)2020.3/15(日)14:00 横浜みなとみらいホール3/18(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 テンポプリモ03-3524-1221 https://tempoprimo.co.jp/※全国公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。モナ・飛鳥(ピアノ)ベートーヴェン・イヤーにドイツの名門オケと「皇帝」に挑む取材・文:林 昌英Interview ドイツと日本にルーツをもち、ドイツの伝統を受け継ぎながら、独自の感性が光る演奏で活躍中のピアニスト、モナ・飛鳥。来年3月にはミュンヘン交響楽団と共に日本ツアーを行い、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を各地で披露する。彼女はミュンヘンを拠点としており、この楽団との日本公演をことのほか喜んでいる。 「地元のすばらしいオーケストラで、最も共演経験の多い楽団のひとつでもあります。メンバーには友人もいますし、オープンな雰囲気が魅力です。私は協奏曲でもアイコンタクトを取りながら弾くのが好きで、ミュンヘン響となら“大きな室内楽”のような親密な演奏ができます」 今回のツアーは世界的な名ヴァイオリニスト、ジュリアン・ラクリンが指揮を務めることも注目されている。彼女は初共演となるが、この機会が楽しみでならないようだ。 「ラクリンさんはもちろん経験豊かですばらしい音楽家ですし、今回は指揮者としての共演からどんな相乗効果が生まれて、自分たちの演奏が日々どう変化していくのか…毎回が素敵な体験になりそうで本当にワクワクします」 どんなテーマの話でも笑顔でポジティブさを忘れない彼女。ピアニストになる過程で、個性や自主性を引き出す環境に恵まれたという。 「2歳でピアノをはじめ、物心ついたときにはすでに『私はピアニスト』と考えていました。9歳からモーツァルテウム音楽院でカール=ハインツ・ケマリング先生のレッスンで、ベートーヴェンをはじめ多くのことを教わりました。先生と他の生徒との話し合いの場では、歴史や政治のことまで年上の方と同じように意見を求められました。大変でしたが、その頃から必死にいろいろ学んで自分の意見を言えるようになった経験は、いま本当に役に立っています。また、私の母親はピアノの先生でしたが、よく『練習ばかりしてないで出かけなさい』と言われたものです(笑)。友達と会ったり様々な体験をして、視野を広げて感受性を深めることを重視していたんですね」 彼女は毎年日本で過ごす期間を作り、ドイツで育ちながらも日本語を万全に操れるように勉強を継続しているとのこと。 「私にとって日本は“第2のふるさと”です。どの会場も環境や体制がすばらしいし、お客様もわざわざ公演後に並んで声をかけてくださいます。愛する日本で、ホームタウンのオーケストラとの共演でベートーヴェンを披露できることは、ふたつのふるさとを繋げる最高の機会でもあります」 日本酒とお寿司をこよなく愛しているというモナ・飛鳥。彼女の深い思いが詰まった「皇帝」は聴き逃がせない。TOKYO OTA OPERA PROJECT 2019 はじめのいっぽ♪コンサート~オペレッタ《こうもり》第2幕から~区民参加による3年越しのプロジェクトが始動!文:東端哲也 大田区は本年度から3年間の計画で、区民参加を対象としたユニークな音楽プロジェクトを始動。その第1弾はJ.シュトラウスⅡによるオペレッタの最高傑作《こうもり》第2幕の楽曲を中心とした、芝居仕立ての日本語版上演。公募により集まった36名の区民合唱メンバーが、約半年かけて発声や所作、演技などのレッスンを重ね、本番公演ではプロの人気オペラ歌手らと一緒に大田区民プラザ・大ホールのステージに立つというもの。参加者はすでに7月からプロのヴォイストレーナーと演2020.2/2(日)14:30 大田区民プラザ問 大田区民プラザ チケット専用電話03-3750-1555 https://www.ota-bunka.or.jp/区民合唱メンバー出家から声と身体表現に関する指導を受け、現在は小ホールで立ち稽古の真っ最中。来年1月の通し稽古を経て2月2日の本番を目指している。演出はオペラを中心に幅広く手がける髙岸未朝(みさ)、指揮は近年活躍めざましい松田義生が担当(伴奏はピアノ)。アイゼンシュタイン役に望月哲也、ファルケ役と合唱指導には金山京介と人気テノール2人が関わっているのも注目。晴れ舞台が楽しみだ。

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る