eぶらあぼ 2019.12月号
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48ワレリー・ゲルギエフ(指揮) マリインスキー歌劇場管弦楽団帝王ゲルギエフが贈るオール・チャイコフスキー・プログラム文:飯尾洋一ワレリー・ゲルギエフ(指揮) マリインスキー歌劇場管弦楽団&合唱団 歌劇《マゼッパ》(演奏会形式)12/2(月)18:00 サントリーホールワレリー・ゲルギエフ(指揮) マリインスキー歌劇場管弦楽団12/5(木)19:00 サントリーホール 12/6(金)19:00、12/7(土)13:00 18:00 東京文化会館問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp/tf2019/※全国ツアーの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 いよいよ11月末から12月にかけて、ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場による「チャイコフスキー・フェスティヴァル2019」が開催される。この音楽祭では、マリインスキー歌劇場管弦楽団によるコンサートも開かれ、チャイコフスキーのオーケストラ曲や協奏曲の魅力がたっぷりと伝えられる。 12月5日の公演で演奏されるのは、交響曲第1番「冬の日の幻想」と、実質的にチェロ協奏曲といえる「ロココの主題による変奏曲」(チェロ:アレクサンドル・ブズロフ)、そして交響曲第6番「悲愴」。最初と最後の交響曲に加えて「ロココの主題」も聴けるという、ボリューム感のあるプログラムだ。チェロのブズロフはチャイコフスキー国際コンクール第2位をはじめ多数の受賞歴を誇る名手。 12月7日(18:00)はピアノ協奏曲第2番(ピアノ:セルゲイ・ババヤン)と交響曲第5番の組合せ。ピアノ協奏曲第1番に比べると圧倒的に演奏頻度の少ない第2番だが、近年じわじわと人気が高まりつつあるのを感じる。ソリストのババヤンはドイツ・グラモフォンからアルゲリッチとのデュオで録音をリリースするなど、経験豊富な実力者。トリフォノフの師としても知られる。 そのほか、五嶋龍(12/6)、辻井伸行(12/7 13:00)をソリストに迎えた公演もあり、華やかなシリーズが組まれた。 また、演奏会形式でオペラ《マゼッパ》が上演されるのも貴重な機会。ゲルギエフの指揮のもと、プーシキン原作による重厚なドラマが描かれる。ワレリー・ゲルギエフ上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団新年の幕開けはイタリアにちなんだ作品で文:長谷川京介第615回 定期演奏会 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉2020.1/17(金)19:15、1/18(土)14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp/ 上岡敏之と新日本フィルによる新年早々の定期演奏会は「イタリア」がテーマ。1曲目は昨年から続くシューベルト交響曲全曲シリーズのひとつ、交響曲第6番。シューベルトはイタリアとは縁が深い。宮廷楽長であったイタリア人のサリエリに作曲を学んだほか、当時ウィーンで大ブームを巻き起こしていたロッシーニから大きな影響を受け、この作品にもそれが表れていると言われる。 メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」は、旅行先のローマで書き始められた。弾けるように勢いよく始まる第1楽章からは、イタリアの青い空や太陽、オリーブが実る緑の丘が目に浮かぶ。終楽章にはローマゆかりの舞曲サルタレロも使われている。 この2曲を結ぶのは、イタリアを代表する作曲家ヴェルディの歌劇《ドン・カルロ》から「王妃の舞踏会」。16世紀のスペイン王国を舞台にしたオペラで、王子ドン・カルロは、恋するフランス王女エリザベッタが、父親の国王フィリッポ2世の妃になったことに苦悩する。第3幕第1場、フィリッポ2世戴冠式の前日、祝典の場面でのバレエ音楽だが、実際の上演ではカットされることも多く、耳にする機会は少ない。こうした隠れた佳曲を取り上げる上岡のセンスは素晴らしい。 作品に常に新しい光を与えるマエストロ上岡の指揮に、ダイナミックかつ繊細な演奏で応える新日本フィル。両者がつくりだすイタリアにちなむ音楽は、輝かしい新年のスタートにふさわしい。上岡敏之 ©武藤 章

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