eぶらあぼ 2019.12月号
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滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは、関西随一のオペラ劇場として、一流のオペラやバレエに加えコンサートも開催。また、国内外の実力派アーティストが充実したアンサンブルやソロを披露するほか、講座なども開催しています。このコーナーではびわ湖ホールが主催する注目の公演をご紹介します。びわ湖ホールPreviewびわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 https://www.biwako-hall.or.jp/東西男声ユニットの雄、びわ湖ホールで初共演!文:岸 純信 (オペラ研究家)IL DEVU & びわ湖ホール四大テノール新春スペシャルコンサート2020.1/5(日)15:30 びわ湖ホール声で圧倒しモーツァルトからワーグナーまで自在な青山貴(バリトン)、ウィーン在住が長く、ドイツもののレパートリーを中心に端正な歌いぶりで人気の望月哲也(テノール)、グループのリーダーを務め、密度の濃い低音域で迫る山下浩司(バスバリトン)、明るく抒情的な声音を気負わず用い、コミカルな表現も得意な大槻孝志(テノール)と、みな本物の実力派揃いである。彼らはこれまで、「びわ湖ホール プロデュースオペラ」でも名演を繰り広げてきただけに、実は、関西のファン層にもお馴染みの面々なのだ。 それにしても、これだけの人材が揃ったならば、1800席を超える大ホールでも怖いものなしだろう。歌声のハーモニーが隅々まで届くに違いない。初春にふさわしく、華やかで朗らかなひとときをどうぞお楽しみに。 欧米二大財閥、江戸の三大珍味、この世を形作る五大元素など、「絞ってまとめるランキング」は、我が国に限らず世界共通で好まれる、分かり易い格付けである。 ところで、日本のクラシック界でいま、どんどん注目を集めつつあるのが、関西圏のみならず全国で幅広く活動する「びわ湖ホール四大テノール」の勇士たちである。テノールと言えば男声の最高音域を担当し、熱く輝かしい響きで圧倒的な存在感を誇る声種だが、この4人の声音は、実は、一人ひとり相当に異なっている。でも、それだからこそ、並べて聴けば、各自の個性もより際立ち、客席の我々も、「声のパレット」を手にするかのように、さまざまな色合いの歌声に、深く親しむことができるのだ。 そこで、来る新春1月5日に開催される、彼らのリサイタルについて詳しく紹介してみよう。今回は、なんと、関東圏で大活躍の超重量声楽ユニット(!)、総勢500㎏を超えるという「イル・デーヴ IL DEVU」との共演になり、まさしく「東西の雄」がびわ湖ホールの大ホールに集結するとのこと。当日はバスバリトンとバリトンも含めた総勢8名の男たちが、舞台狭しと歌で暴れまくり、オペラ界に欠かせぬ名ピアニストの河原忠之(彼もIL DEVUのメンバーである)と、若手ピアノ奏者で名アレンジャーの呼び声も高い植松さやかが紅一点で参加。オペラの名アリアやイタリアのカンツォーネ、四大テノールのテーマソング〈琵琶湖周航の歌〉や〈ふるさとの四季〉など、幅広いプログラムでステージを賑わせるという。 では、ここで、筆者が知る歌手たちの美点をお伝えしておこう。まずはびわ湖勢から。ロッシーニの難曲を鮮やかに歌いこなし、若々しさも人一倍という「きりっと爽やか」山本康寛、オペレッタ《ミカド》での熱演も記憶に新しく、豊かな声量で迫る「朗々として逞しい」二塚直紀、「熱い歌いぶりと敏捷なフレージング」で攻めの姿勢を見せる竹内直紀、滑らかな声音を武器に「甘美さを貫く」清水徹太郎と、4人のテノールそれぞれの魅力は、聴けば聴くほど露わになってくる。 続いて、IL DEVUの歌手たちを。太く伸びやかな歌IL DEVU ©日本コロムビア株式会社びわ湖ホール四大テノールと植松さやか

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