1822月の見もの・聴きもの2020年2月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場★◎2月1、5、8、11、14日 ベートーヴェン:フィデリオ(レオノーレ:初稿版)[プレミエ] 指/T.ネトピル、演出/A.ニールマイヤー、出/J.デイヴィス、B.ブルンス2月2、4日 ドヴォルザーク:ルサルカ 指/T.ハヌス、演出/S=E.ベヒトルフ、出/P.ベチャワ、E.ツィトコーワ、O.ベスメルトナ◎2月3、7日 ヴェルディ:オテロ 指/M.フランク、演出/A.ノーブル、出/S.グールド、K.ストヤノヴァ、C.アルヴァレス◎2月6、9、12、15日 R.シュトラウス:エレクトラ指/S.ビシュコフ、演出/U.E.ラウフェンベルク、出/W.マイヤー、C.ゲルケ、S.シュナイダー、N.エルンスト、M.フォッレ2月10、13日 プッチーニ:トスカ 指/M.アルミリアート、演出/M.ヴァルマン、出/M.セラフィン、A.アントネンコ、Z.ルチッチ2月16、23日 ドニゼッティ:愛の妙薬 指/E.ピド、演出/R.ミューレマン2月20日 〔第64回ヴィーナー・オーパンバル(舞踏会)〕2月25、28日 マスネ:マノン 指/F.シャスラン、演出/A.シェルバン、出/A.ペレス2月26、29日 プッチーニ:蝶々夫人 指/G.ジェンキンス、演出/J.ギーレン2月27日 プッチーニ:トゥーランドット 指/R.テバール、演出/M.A.マレッリ、出/E.パンクラトヴァ、R.アラーニャウィーン・フォルクスオーパー2月2(19:00)、9(18:00)、15(19:00)日 J.スタイン:ジプシー(ミュージカル) 演出/W.スボトカ2月3(19:00)、10(11:00)、16(16:30)、21(18:30)、25(19:00)、28(19:00)日 F.ロウ:マイ・フェア・レディ(ミュージカル) 演出/R.ヘルツル2月5(19:00)、11(19:00)、17(19:00)日 ビゼー:カルメン 演出/G.ヨーステン2月6(19:00)、12(19:00)日 E.カールマン:伯爵夫人マリツァ 演出/T.エンツィンガー2月7(19:00)、13(19:00)、19(19:00)日 ヴェルディ:椿姫 演出/H.グラツァー2月22(18:00)(貸切公演)日 M.F.ランゲ:カンタヴィルの亡霊 演出/P.M.クレン2月24(19:00)日 J.シュトラウスⅡ:こうもり演出(校訂)/H.ツェドニク★◎2月29(19:00)日 J.シュトラウスⅡ:ジプシー男爵[プレミエ] 指/A.エシュヴェ、演出/P.ルントアン・デア・ウィーン劇場(主要公演のみ)★◎2月17(19:00)、19(19:00)、21(19:00)、24(19:00)、26(19:00)日 C.ヨスト:エグモント[プレミエ/世界初演] 指/M.ボーダー、演出/K.ウォーナー、出/E.モントヴィダス、M.ベンクトソン、A.キルヒシュラーガー、B.スコウフス、演奏/ウィーン放送響◎2月22(19:00)日 リュリ:イシス(演奏会形式) 指/C.ルセ、出/E=M.ユボー、B.トラン、A.ブレ、演奏/レ・タラン・リリクウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(SZG)=祝祭大劇場(ザルツブルク)、(PAR)=シャンゼリゼ劇場(パリ)]2月1(19:30)(SZG)日 D.バレンボイム(p)指揮 → 〔ザルツブルク・モーツァルト週間〕参照◎2月13(19:30)(KH)、15(15:30)、16(11:00)日 C.エッシェンバッハ指揮 マーラー:リュッケルトの詩による歌曲集、ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルクによる管弦楽編曲版) 独/M.ゲルネBr◎2月20(19:30)日 C.エッシェンバッハ指揮シューマン:ヴァイオリン協奏曲、マーラー:交響曲第1番「巨人」 独/五嶋みどりvn◎2月25(20:00)(PAR)、26(20:00)(PAR)、28(20:00)(PAR)、29(20:00)(PAR)日A.ネルソンス指揮 ベートーヴェン:交響曲第1番、第2番、第3番「英雄」(以上25日)/第4番、第5番「運命」(以上26日)/第6番「田園」、第7番(以上28日)/第8番、第9番「合唱」 独/C.ニールントS、G.ロンベルガーA、K.F.フォークトT、G.ツェッペンフェルトBs(以上29日)ウィーン響[会場:ムジークフェライン(ウィーン)]2月21(19:30)、22(19:30)、23(19:30)日A.オロスコ=エストラーダ指揮 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲、ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」 独/L.カヴァコスvn2月26(19:30)、27(19:30)日 L.シャニ指揮ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番、ショスタコーヴィチ:交響曲第9番 独/Y.ブロンフマンpムジークフェライン[楽友協会]大ホール[ウィーン](主要公演のみ)2月8(19:30)日 M.ポシュナー指揮リンツ・ブルックナー管 モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」、ブルックナー:交響曲第6番◎2月12(19:30)日 A.マルコン指揮ヴェニス・バロック管 コレッリ:合奏協奏曲 作品6-4、ヴィヴァルディ:グリゼルダ/バヤゼット〜アリア、4つのヴァイオリンのための協奏曲 RV580、ヘンデル:アレッサンドロ〜アリア、ヴィヴァルディ:2つのチェロのための協奏曲 RV531、C.H.グラウン:オルフェオ〜アリア、ヘンデル:時と真理の勝利〜アリア、ヴィヴァルディ:ピッ【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 今年も、毎年恒例の独OPERNWELT誌の年間最優秀賞(2018/19シーズン)が発表になっている。主要な受賞は、オペラハウスがフランスのストラスブール歌劇場(ライン国立オペラ)、女声歌手がアスミク・グリゴリアン、演出家がロメオ・カステルッチ、指揮者がヨアナ・マルヴィッツ、作品がザルツブルク音楽祭で上演されたR.シュトラウスの「サロメ」、オーケストラがバイエルン州立管、若手アーティストがソプラノのリーゼ・ダヴィドセン等々というところである。ただし、例によって票は分かれており、ストラスブール歌劇場にしても、得票は50票中7票しかなかった点は留意すべきであろう。これを考えると、作品賞を取ったザルツブルク音楽祭の「サロメ」で題名役を歌ったグリゴリアンに24人が投票したというのは、これはもう圧倒的多数というイメージだ。なお、演出家のカステルッチもこの「サロメ」の演出が受賞理由の多くを占めており「サロメ」圧勝の感が強い。 しかし個人的な注目度では、ゲルギエフの不調な出だしでスタートした今夏のバイロイト音楽祭「タンホイザー」でのエリーザベト役を、同音楽祭初登場にも関わらず、堂々とした声量と表現力で見事に歌い抜けたダヴィドセンにさらに1票を投じたい。来夏のバイロイト音楽祭では、インキネンの指揮による「ワルキューレ」でジークリンデを歌うことがすでに発表されており、順風満帆のキャリアを歩んでいる。ちなみに、同音楽祭で近く女性指揮者を登用するという未確認情報もあるが、その一番手に噂されているのが今回最優秀指揮者に選ばれたヨアナ・マルヴィッツ。現在、ニュルンベルク州立劇場の音楽監督を務める注目の女性指揮者だ。 さて、前置きがすっかり長くなってしまったが、2月の公演で筆者の心を引くのは、まずは、ヘンゲルブロック指揮バルタザール=ノイマン・アンサンブルのベートーヴェン・ツアー。言うまでもなく2020年はベートーヴェン生誕250年の記念の年で、このツアーもそれにちなんだものであろうが、中でもドルトムントとハンブルクでは交響曲、協奏曲、声楽曲の全ての要素を包含した3時間コースの公演内容で、これは必聴ものと言えるだろう。同じベートーヴェンでは、ネルソンス指揮のウィーン・フィルがシャンゼリゼ劇場で行う交響曲ツィクルスも要注目ではあるが、企画としては比較的よく見かける内容とも言える。 もう一つ、指揮者のロトとピアノのエマールが組んだケルン・ギュルツェニヒ管のツアーもインパクトとしては強力。ベートーヴェンの「皇帝」が前半に演奏された後、後半は一転して現代の難曲がズラリと並ぶ。この指揮者とピアニストならではの至芸が楽しめよう。 後は恐縮ながら列挙になってしまうが、オペラではウィーン国立歌劇場の「レオノーレ」、アン・デア・ウィーン劇場でのヨストの「エグモント」、ベルリン州立歌劇場のメータ指揮の「ばらの騎士」、ハンブルク州立歌劇場のベルク「ルル」(ナガノ指揮)、1月から続くドレスデンの「マイスタージンガー」(ティーレマン指揮)、シュトゥットガルト歌劇場の変則版「ボリス・ゴドゥノフ」、チューリヒ歌劇場でバルトリの出演するグルック「トーリードのイフィジェニー」、同劇場でゲルハーヘルの出演するベルク「ヴォツェック」、ジュネーヴ大劇場でミンコフスキの指揮するマイアベーア「ユグノー教徒」、スカラ座の2プレミエ「イル・トロヴァトーレ」と「イタリアのトルコ人」、オペラ・コミークのボワエルデュー作品などがどれも要注目。オーケストラでは、ペトレンコ=ベルリン・フィルとラトル=ロンドン響のヨーロッパ・ツアー、大野和士指揮のバルセロナ響とスイス・ロマンド管、インバル指揮のスカラ・フィルあたりをまず挙げておくが、その他は本文の◎印を是非ご参照のほど。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)
元のページ ../index.html#185