eぶらあぼ 2019.8月号2
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66蘇州民族管弦楽団 日本公演2017年創設の中国伝統楽器によるオーケストラが初来日!文:飯尾洋一9/13(金)19:00 広島県立文化芸術ホール、9/15(日)14:30 愛知県芸術劇場コンサートホール、9/17(火)19:00 金沢市文化ホール、9/19(木)19:00 サントリーホール問 日本楽友協会03-6277-8559 http://www.suzhousco.com/ めったに聴くことができない独自の編成のオーケストラが中国からやってくる。2017年12月に創立されたばかりの蘇州民族管弦楽団だ。蘇州市に拠点を置くこの楽団は、中国民族楽器に西洋の楽器がミックスされたオーケストラ。編成は二胡、高胡、中胡、チェロ、コントラバス、柳琴、揚琴、琵琶、中阮、大阮、古筝、ハープ、笙、唢呐(チャルメラ)など。メンバーは約90人というから、通常の交響楽団並の大編成といっていいだろう。今回が初来日だが、すでにドイツ、オーストリア、イタリア、スイス、ロシア、アメリカなど、世界各地で公演を開いているという。まだ創設されて間もないことを考えれば、これは驚異的なツアー実績だ。 今回の来日公演では、東京のサントリーホールをはじめ、広島、名古屋、金沢で公演を行う。指揮は芸術監督の彭家鵬。プログラムは「モルダウ」「二泉映月」「牡丹亭」、日本初演の中国作品と発表されている。独自の編成だけに、どんなサウンドが生まれるのかまったく想像がつかないが、映像を見た限りでは、西洋楽器のオーケストラの配置をベースとして、楽器を中国民族楽器に置換した編成、と考えればいいだろうか。つまり弦楽器パートを二胡、高胡、中胡が担い、低音弦楽器にはチェロとコントラバスを導入する。管楽器の配置も交響楽団風だが、柳琴、琵琶、阮といった撥弦楽器パートが入るのがおもしろい。驚きの体験が待っている。第17回 東京音楽コンクール 第2次予選・本選逸材たちのほとばしる感性と技巧を目撃する文:笹田和人【第2次予選】木管部門:8/16(金)、ピアノ部門:8/17(土)、声楽部門:8/18(日)各日11:00 東京文化会館(小)【本選】木管部門:8/22(木)18:00、ピアノ部門:8/24(土)16:00、声楽部門:8/26(月)18:00 東京文化会館(大)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp/tmc/ 覇気に満ちた、瑞々しい快演に触れられる、絶好のチャンスだ。芸術家としての自立を目指す可能性に富む新人音楽家を発掘し、育成・支援を行うことを目的に、東京都や東京文化会館(東京都歴史文化財団)が毎年開いている「東京音楽コンクール」。17回目となる今年は、木管・ピアノ・声楽の3部門で、予備審査を通過した俊英たちが、2次にわたる予選や本選に臨み、磨き上げた技巧や音楽性を競う。 1965年に始まった東京文化会館の「新進音楽家デビューオーディション」を前身として、2003年に当時の三善晃・館長の提唱により、拡充する形でスタート。当初はピアノ・弦楽・木管・金管・声楽の5部門、15年からは組み合わせを変えた3部門ずつの開催となり、参加者の国籍・居住地も不問に。審査員には国際的に活躍する音楽家が顔を揃え、出演機会の提供やリサイタル支援など、他に類を見ない入賞後の手厚いサポート体制もあって、今や日本を代表する登竜門として知られている。 第1次予選(非公開)を経て、第2次予選(木管=8/16、ピアノ=8/17、声楽=8/18)を開催。その通過者が臨む本選は、大井剛史指揮の日本フィル(木管=8/22)、角田鋼亮指揮の東京フィル(ピアノ=8/24) 、現田茂夫指揮の東京交響楽団(声楽=8/26)との共演で、入賞者が決まる。本選では、客席からの投票で選ぶ「聴衆賞」も設けられ、ちょっとした審査員気分も味わえる。また、来年1月13日には「入賞者コンサート」を開催。三ツ橋敬子指揮の東京フィルをバックに、華々しく“お披露目”される。ザリナ・アルティエンバエヴァ(第16回 声楽部門第1位及び聴衆賞)

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