eぶらあぼ 2019.8月号2
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62©武藤 章9/21(土)14:00 徳島/あわぎんホール(088-622-8121)、9/24(火)19:00 フィリアホール(パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831)、9/26(木)19:00 東京文化会館(小)(03-5685-0650)、9/29(日)14:00 鹿児島/霧島国際音楽ホール(0995-78-8000)http://www.pacific-concert.co.jp/パスカル・ロジェ(ピアノ)フランス作品に潜む絵画的な色彩感を大切にしたい取材・文:伊熊よし子Interview フランス音楽が内包する優雅、繊細、洒脱、色彩、精巧などの表現をユーモアとウイット、エスプリを生かしながら奏でるフランスのピアニスト、パスカル・ロジェ。彼は若い頃、ドイツ・オーストリア作品を中心に演奏していた。しかし、近年はフランス作品に回帰して録音も行い、自国の音楽で自身のアイデンティティを明快に表現している。 「昔は構成力が明確でテクニックを存分に示すことができるドイツ作品に興味を抱き、その深遠さにも魅了されていました。やがて自分の内面と対話するようになると興味の対象が変化し、フランス作品に戻ってきました。子どものころからドビュッシー、ラヴェル、フォーレなどの作品に親しんできましたから」 9歳のときにはフランスを代表する名ピアニストで名教授、マルグリット・ロンの前でドビュッシーの「前奏曲集」第1集の〈雪の上の足あと〉を弾く機会に恵まれた。 「先生は私が2小節弾いただけで演奏を止めて、“雪の冷たさが表現されていない、もっと冷たく”とおっしゃったのです。技巧的なことは何もいわず、イメージを抱くこと、自分なりの演奏を心がけることを指摘されました。この経験が私のフランス作品を演奏するときの原点となり、いまでもイメージを大切にしています」 来日公演のプログラムは前半がショパンとフォーレの「ノクターン」、後半がドビュッシーとラヴェルの作品を組み合わせている(9/26公演のみサティ、ラヴェル、プーランク、ドビュッシーの組み合わせ)。 「フォーレの『ノクターン』は難度の高い作品で聴き手も集中しなければならないため、ショパンと交互に演奏して『ノクターン』のおだやかさを味わっていただきたいのです。ドビュッシーとラヴェルは色彩感を表現し、想像力を喚起する作品を選びました」 フランス作品に潜む絵画的な色彩感をもっとも大切に考えたいという。 「モネやセザンヌなどの印象派からピカソやマティスの絵まで、多彩な絵画を連想させる作品の数々を、集中力をもった日本の聴衆とともに体験し、ひとつの“旅”に出たいのです。フランス作品は人間的感情を前面に出すことなく、内面に隠すように表現し、軽妙でシニカルで詩的な味わいに富んでいます。それを楽譜から読み取り、聴衆の想像力を促すような演奏に仕上げなければなりません。各曲は短いですが、ひとつずつ物語がある。ですから曲間の拍手は抑えてほしい。すべてがつながり、大きな絵画や文学のような意味合いをもたせますから。その雰囲気に私とともに没入し、心の旅を楽しんでほしいのです」バルバラ・ストロッツィ生誕400年記念コンサート & プレ講演会初期バロックを生きた女性作曲家の情熱が心をゆさぶる文:笹田和人 17世紀ヴェネツィアを情熱的に、したたかに生き抜いた女性作曲家、バルバラ・ストロッツィ(1619-77)。今年で生誕400年となるのを記念し、彼女が遺した作品や、生きざまを俯瞰するコンサート&プレ講演会が開かれる。 イタリア在住で音楽学の佐々木なおみが主宰、伊バロック音楽の研究と演奏を実践するグループ「ディスコルシ・ムジカーリ」の第1回公演。ストロッツィは、4人の子を抱えたシングルマザーながら、モンテヴェルディ以降のマドリガーレの系譜を受け継ぐ一方、特にカンタータで独自の表現法を確立、プレ講演会 8/29(木)18:30 東京ウィメンズプラザ第1会議室コンサート 9/2(月)19:00 豊洲シビックセンターホール問 ムジカキアラ03-6431-8186 https://www.discorsimusicali.com/バルバラ・ストロッツィの肖像画(部分) ©bpk ¦ Staatliche Kunstsammlungen Dresden ¦Elke Estel ¦ Hans-Peter Klut / distributed by AMF出版活動にも取り組んだ。 ステージには、阿部早希子(ソプラノ)、福島康晴(テノール)、懸田貴嗣(チェロ)ら名手が集い、彼女の声楽作品の耽美的な調べを、同時代の器楽作品を交えつつ披露。また、プレ講演会は、女性作曲家研究で知られる小林緑・国立音大名誉教授を迎えて。異色の存在であったストロッツィの波乱の生涯と作曲家像を近年の研究成果を交えて紹介する。
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