eぶらあぼ 2019.8月号2
50/187
47フェニーチェ堺 グランドオープン記念パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団名匠、世界最高峰のオーケストラを率いて新ホールに降臨!文:横原千史11/23(土・祝)17:00 フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)問 フェニーチェ堺072-228-0440 https://www.fenice-sacay.jp/※ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の全国公演については下記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.kajimotomusic.com/ 今秋、大阪の堺市に誕生する新ホール「フェニーチェ堺」のオープニング・コンサートの目玉の一つに、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏会がある。ベルリン・フィルやウィーン・フィルと肩を並べる世界最高峰の名門オーケストラである。弦も管も響きが上質でまろやか、いぶし銀のように底光りする独特の音を持っている。今回の指揮者はパーヴォ・ヤルヴィ。日本ではNHK交響楽団の首席として有名だが、2019/20シーズンからチューリヒ・トーンハレ管弦楽団の音楽監督兼首席指揮者に就任することが決定している。ドイツ・カンマーフィルの芸術監督でもあるパーヴォは、客演として世界中の優れたオーケストラから引っ張りだこの名匠であリ、コンセルトヘボウ管にも定期的に登場していて、両者の相性はとてもいい。 今回のプログラムは、まずベートーヴェンの交響曲第4番。パーヴォはドイツ・カンマーフィルとキビキビとした名演のCDを残している。この老舗オケとはどうなることか、興味深いところである。コンセルトヘボウにはカルロス・クライバーとのライヴ映像があるが、クライバーの挑発に一歩も引かないオケのどっしりとした構えが印象に残っている。後半はショスタコーヴィチの交響曲第10番。マエストロはシンシナティ交響楽団のCDと最近のNHK交響楽団の実演でこの曲の深い解釈を聴かせてくれた。スターリンの死後に書かれた自伝的交響曲の傑作で、ショスタコーヴィチの魂の叫びが軋むような響きのあちこちから聴こえてくる。パーヴォとスーパー・オケの新しいアプローチにも期待したい。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 ©Anne Dokterリオネル・ブランギエ(指揮) 東京交響楽団フランス発、世界が期待する新世代指揮者が東響に初登場文:飯尾洋一第673回 定期演奏会 9/21(土)18:00 サントリーホール川崎定期演奏会 第71回 9/22(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp/ 東京交響楽団の指揮台には音楽監督ジョナサン・ノットのみならず、楽壇の注目を集める才能豊かな指揮者が次々と登場する。9月の定期演奏会に登場するのは、フランス生まれの俊英リオネル・ブランギエ。ブランギエはかつてドゥダメルのもと、ロサンゼルス・フィルでアシスタント・コンダクターを務めて、その後同楽団のレジデント・コンダクターに就任。2014年にはわずか28歳で、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団の音楽監督に任命された。シカゴ交響楽団やクリーヴランド管弦楽団といった名門オーケストラと共演するなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。 そのブランギエが東響と共演するにあたって選んだのが、プロコフィエフの交響曲第4番。この曲には2つのバージョンがあり、最初に書かれた初版に作品47、その後大幅に改定された版に作品112の作品番号が添えられている。今回演奏されるのは後者。番号は第4番となっているものの、第5番と第6番を書いた後に改訂されている点では“第6.5番”とも呼べる性質を持っている。プロコフィエフならではの、荒々しくもリリカルな楽想を堪能できる。 ブラームスのヴァイオリン協奏曲では、シベリウス国際ヴァイオリンコンクールの覇者、アリーナ・ポゴストキーナが独奏を務める。ポゴストキーナはロシア生まれのドイツ育ち。ロマン派のレパートリーはもちろんのこと、バロックや現代作品も弾く音楽的な視野の広さを持つ。フレッシュなブラームスを期待したい。アリーナ・ポゴストキーナ ©Nikolaj Lundパーヴォ・ヤルヴィ ©Sasha Gusovリオネル・ブランギエ ©Simon Pauly
元のページ
../index.html#50