eぶらあぼ 2019.8月号2
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42森 麻季 ソプラノ・リサイタル ~愛と平和への祈りをこめて Vol.9~美しきフランスの歌と平和への想い文:宮本 明9/13(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp/ 森麻季は現代らしい、しなやかなオペラ歌手なのだなあと思う。ロマン派の華やかなオペラのヒロインはもちろん、一時は専門の歌手たちの独壇場という観さえあったバロック・オペラでも、作品の時代にふさわしいスタイルと舌を巻くような技術で見事な歌を聴かせてくれる。まさになんでもこい。実に懐の深い歌手なのだ。昨年米国デビュー20年、さらに声楽を学んで30年というダブルの節目を迎えて、新たな一歩を踏み出した。夏の終わり、秋の始まりの恒例となっているリサイタル「愛と平和への祈りをこめて」が9回目を迎える。 毎年9月の「祈り」には意味がある。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ。彼女はオペラ出演のためにワシントンにいて歴史的悲劇に遭遇した。その体験を胸に秘め、10年後の11年からスタートしたのが、このシリーズだ。だからまずは、私たち聴き手も、彼女のその思いに静かに寄り添いたい。そしてもちろん、歌姫は毎年新しい姿を見せてくれる。今年はフランス音楽特集だ。昨年2年ぶりにリリースした最新アルバムにも収録されてファンを狂喜させているフランス歌曲はもちろん、グノーやビゼー、マスネらのオペラ・アリアの匂い立つフランスの薫りを、彼女の丁寧な歌いぶりでたっぷりと楽しむことができる。長年共演を重ねているピアノの山岸茂人とともに、読売日本交響楽団コンサートマスターの長原幸太ら名手たちによる弦楽五重奏が、さらなる彩りを添えるのもうれしい。 ©Yuji HoriOpus One Live @ Hakuju Hall オーパス・ワン ライヴ・アット・ハクジュホール次代を担う新しい才能をいち早く体験文:オヤマダアツシVol.1 笹沼 樹(チェロ) 9/10(火)19:00Vol.2 古海行子(ピアノ) 12/26(木)19:00Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://columbia.jp/opusone/ 2019年1月、5アーティスト&5タイトル同時リリースという形でクラシック音楽シーンに登場した新レーベル「Opus One」(日本コロムビア)。これから磨かれて輝きを増す5人の新鋭若手演奏家をスタイリッシュなヴィジュアルで紹介しつつ、「作品1」というレーベル名に象徴されるような期待感も相まって注目を集めた。レーベルのスタート時にお披露目的なコンサートを行い、その後は個々でも活動を続けてきた彼らだが、いよいよその真価を発揮するべく「Opus One」のコンサート・シリーズがHakuju Hallでスタートする(全5回予定)。 その第1弾(9/10)は、すでに幅広い室内楽活動などでその名が音楽ファンに認識されつつあるチェリストの笹沼樹(たつき)。力強く雄大でありながら細やかな表情を紡ぎ出す演奏で、ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタやカサドの無伴奏チェロ組曲などが聴ける。共演はピアノの入江一雄。 第2弾(12/26)は、国際コンクールでの演奏で才能を見出され、音楽大学在学中にデビューしたピアニストの古海行子(やすこ)。CDではシューマンの作品等を抒情美あふれる演奏で聴かせたが、コンサートではバッハ、シューベルト、リスト、ラヴェルの作品でまた違った魅力を聴かせる。 このシリーズ、全席指定3,000円というリーズナブル価格であるため、新しい才能をいち早くキャッチしたいというリスナーは注目を。古海行子笹沼 樹
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