eぶらあぼ 2019.8月号2
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38英国ロイヤル・オペラ 2019年日本公演《ファウスト》9/12(木)18:30、9/15(日)15:00、9/18(水)15:00 東京文化会館、9/22(日)15:00 神奈川県民ホール《オテロ》9/14(土)15:00、9/16(月・祝)15:00 神奈川県民ホール、9/21(土)16:30、9/23(月・祝)16:30 東京文化会館問 NBSチケットセンター03-3791-8888 https://www.nbs.or.jp/※ダルカンジェロは《ファウスト》のみ出演します。各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。イルデブランド・ダルカンジェロ(バスバリトン)メフィストフェレスという悪魔は常に優雅でなければいけない構成・文:岸 純信(オペラ研究家)取材協力:日本舞台芸術振興会Interview オペラ史上屈指の大ヒット作であり、グノーの甘い調べと「愛嬌ある敵役」メフィストフェレスの男の色気が際立つ《ファウスト》。9月にアントニオ・パッパーノ率いる英国ロイヤル・オペラ日本公演でこの悪魔役を演じる美男のバスバリトン、イルデブランド・ダルカンジェロが、音楽とドラマの魅力を語ってくれた。 「メフィストフェレスの複雑さ、特に歌唱面での複雑さは、本当に見事に作られたものです。暗くて悪魔的な声音を要する一方で、人間を巧みにからかうための明るい声音も要求されます。ベルリオーズの《ファウストの劫罰》の悪魔に比べると、グノーのそれはもっと俗っぽく、より現実的なキャラクターでもあります」 その「現実味ある悪魔」の個性を活かすのが、鬼才演出家デイヴィッド・マクヴィカー。メフィストフェレスに女装までさせるきわどさが、ファンの話題を集めている。 「マクヴィカーの演出は気に入っています。メフィストフェレスも様々な衣裳を身に纏いますが、(その奇抜さを含めて)登場人物全員が非常に分かりやすく描かれます。こうした具体的な演出なら、歌手の側も役柄になりきれるのです。ゲーテの『ファウスト』を原作とするオペラでは、ボーイトの《メフィストーフェレ》も歌いましたが、率直なところ、グノーの悪魔役が最もロマンティックで最も人間的ですね」 ここで、オペラの音楽的&演劇的な特徴をメフィストフェレス役と絡めて。 「ヒロインを責める“教会の場”が一番好きです。言葉を超えて、ただ心に響きます。コントラバスが三連符を奏でる時、暗黒面がいかにパワフルであるかが表現されます…。メフィストフェレスは、心のすべての色合いと明暗、ジョーク、アイロニーや気怠さなどあらゆる要素を身体と声で表しながら、ゲームをしているかのような軽やかさも見せねばなりません。有名な〈セレナード〉など、冗談を言っているようでいて、無情な、見て見ぬふりの雰囲気も出す必要があります。また、この悪魔は常に優雅でいなければならない。彼の歌は決して野蛮ではありません。彼は、ファウストに仕えるかのように見せながら、実は操ってゆくといった、物語の演出家の如き立場も有しています」 最後に、日本のファンにメッセージを。 「30年近くマエストロ・パッパーノとお仕事をしてきました。彼の人柄と芸術性を尊敬しています。ロイヤル・オペラは私にとって自宅のように居心地の良いところです。世界最高峰の歌劇場の一つである英国ロイヤル・オペラと共に、日本の皆さまに最高の舞台をお届けできるよう、いまからエネルギーを貯めています!」クァルテット・ウィークエンド 2019-2020 アマリリス弦楽四重奏団3つの世紀の逸品で実力を遺憾なく発揮文:林 昌英 ドイツを中心に充実した活動を続け、欧州の名ホールの数々にも出演を重ねるアマリリス弦楽四重奏団が、7年ぶりの来日公演を行う。2011年、「パオロ・ボルチアーニ賞」国際弦楽四重奏コンクールの順位なしのファイナリスト、メルボルン国際室内楽コンクールで第1位を獲得。師事したアルバン・ベルク弦楽四重奏団の特徴も受け継ぎ、近現代ものを積極的に取り入れるスタンス、現代的なシャープさと共に歌心も忘れない演奏が魅力だ。16年4月からはヴィオラに世界で活躍する9/28(土)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク 03-3532-5702https://www.triton-arts.net/©Tobias Wirth名手、赤坂智子が加入。今回は現メンバーでの初来日となり、さらに注目を集めている。 演目はモーツァルト「不協和音」とチャイコフスキー第1番という超名作の間に、尖鋭極まりない20世紀のルトスワフスキ作品が挟まれる、聴き応え十分の3曲。「不協和音」は赤坂が加わって最初の録音曲であり、ルトスワフスキは「クァルテットの主要レパートリーになっていくはず」と思い入れは深い。いまの彼らの名刺代わりの演目で、その名技を味わう。
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