eぶらあぼ 2019.8月号2
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36第14回 仙台クラシックフェスティバル2019 (せんくら2019)10/4(金)、10/5(土)、10/6(日)日立システムズホール仙台(青年文化センター)、エル・パーク仙台、太白区文化センター、仙台銀行ホール イズミティ21 他問 せんくら事務局022-727-1872 https://sencla.com/※せんくらの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。神田 将ゆき(エレクトーン)たった一人でオーケストラ作品を奏でる取材・文:飯田有抄Interview 仙台クラシックフェスティバル(せんくら)に9回目の登場となる神田将。今年もオーケストラ作品を“たった一人”で演奏する。彼が操る楽器とは、エレクトーンである。 「もともとオーケストラが大好きで、指揮者や作曲家に憧れがありました。しかし、自分自身で音を出し、表現するということもしたい。私にとってそれを可能にしてくれるのが、エレクトーンでした」 ピアノ演奏で活動していた25歳の頃、楽器店で初めてエレクトーンと出会った。 「私が子どもの頃に音楽教室で触れていたエレクトーンとは完全に別物でした。タッチのタイミングや鍵盤への圧力などで、強弱変化はもちろん、音色の明暗を付けたり、指先を揺らしてヴィブラートをかけられるほど進化していたのです。自在にニュアンスを付けられる楽器として大いに可能性を感じました」 1991年製モデルを即購入し、取扱説明書との格闘という“独学”を経て3年が経ったころ、ピアノに加えて「エレクトーンを聴きたい」という客席からの声に応えるようになっていた。以来、エレクトーン奏者として25年のキャリアを積む。 「子どもの習い事や個人の趣味、結婚式などのBGMで使用する“製品”としてのエレクトーンのイメージは根強いものがあります。自動伴奏機能の使用で気楽に楽しむこともできるため、その延長上の演奏に対しては、真剣に音楽に向き合う方々が否定的になるのは無理もありません。きちんとクラシック音楽を演奏しますとお伝えしても、なかなか想像していただけないのが現実です。努力を重ね、誠実にやっていこうと、これまで続けてきました」作曲家が意図した音楽を一音たりとも逃さずに再現 神田はオーケストラの原曲をアレンジするのではなく、スコア通りに忠実に演奏する。 「作曲家が意図した音楽から一音たりとも逃したくありません。ラヴェルの30~40段あるスコアであっても、作品が優れていると、まるでエレクトーンを想定してくれていたかのように(笑)、きちんと再現できるのです」 シーケンサー(自動再生)機能を使用せず、手鍵盤と足鍵盤で丹念に表現してゆく。楽器特有の音の立ち上がり方や響き方を意識して、タッチを微細にコントロールする。 「単にフルートの音源を鳴らしても、フルートのようには聞こえません。息だけの音がわずかに先立ち、それから楽音が立ち上がる。その“息だけ”の音は、鍵盤の深さの127分の1で鳴るので、そこを狙ってタッチをコントロールします。ただし、そうした細かな操作をお客様に知ってほしいわけではなく、『いい作品を聴いた、もっと音楽に触れたい』と思っていただけるように、少しでも自然な姿で作品をお届けしたい」 五島列島など、オーケストラの生演奏の機会が少ない地域にも、神田はエレクトーンを運び入れて演奏する。「島の皆さんと、音楽を囲んで過ごせた時間は幸せでした」と振り返る。せんくらには3年ぶりの登場! 3年ぶりとなる「せんくら」では、「0歳からのコンサート」(10/4)と「ドラマチック・クラシック」(10/6)に出演。 「0歳からの公演では、お子さんたちのパワーを感じます。一曲が短めで長い間緊張を強いず、リズミカルで軽やか、明るい曲想の作品を選びました。『剣の舞』や『眠れる森の美女~ワルツ』などをお届けします。一般向けの『ドラマチック』公演では、『運命』『フィンランディア』『ボレロ』など、作曲家のオーケストレーションが冴えわたる名作を選びました。ゼロから活動を始めてきましたが、これからも楽器の可能性を追求し、この音楽祭でもいい音楽の仲間入りができるよう、素敵な作品をお客様にお届けしていきたいです」
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