eぶらあぼ 2019.7月号
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68第37回 名古屋クラシックフェスティバル今年も開催、ビッグネームが勢揃いした超豪華なフェス文:飯尾洋一9/27(金)~2020.2/23(日・祝) 愛知県芸術劇場コンサートホール、大ホール(10/25公演のみ)問 中京テレビ事業052-588-4477 https://cte.jp/37cf/ 中京地区のクラシック音楽ファン待望の「名古屋クラシックフェスティバル」が今年も開催される。期間は9月27日から2020年2月23日にかけて。計7公演にわたり、トップレベルのアーティストたちが続々と愛知県芸術劇場を訪れる。主催する中京テレビが開局50年を迎え、今回は例年になく豪華なラインナップが実現した。ウィーン・フィル、マルタ・アルゲリッチ、ラン・ラン、アンネ=ゾフィー・ムターなどビッグ・ネームがずらり。オーケストラからオペラまで、トップレベルのアーティストたちによる多彩な音楽に出会うことができる。フェスティバルのオープニングにはアルゲリッチが登場! まず、開幕となる9月27日は、マルタ・アルゲリッチと酒井茜のピアノ・デュオが登場する。ピアノの女王とも呼ばれるアルゲリッチだが、名古屋で公演を開くのはずいぶんと久しぶりではないだろうか。デュオを組む酒井はルガーノ音楽祭等でたびたびアルゲリッチと共演を重ねる間柄。そして、このデュオのためのプログラムとして、ストラヴィンスキーの「春の祭典」(4手連弾)ほど魅力的な曲目もないだろう。スリリングな一期一会の名演の予感が漂う。 10月13日はウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサンが、ヘンデルのオラトリオ「メサイア」をとりあげる。結成40周年の節目の年を迎えたレザール・フロリサンは、ピリオド・アンサンブルの先駆的存在。「メサイア」を作曲者最高傑作のひとつと語る巨匠クリスティが、円熟のヘンデルを聴かせる。おなじみの「ハレルヤ」コーラスが、かつてない純度の高さで響きわたることだろう。 10月19日はセミヨン・ビシュコフ指揮チェコ・フィルが得意のレパートリーを披露する。スメタナの「モルダウ」はこのオーケストラの十八番。チェコ・フィルが誇る伝統の弦が聴きもの。そしてチャイコフスキーの交響曲第5番は、「物心ついたころからずっとチャイコフスキーが好きだった」というビシュコフにとって、思い入れの強い作品だ。 10月25日はトリエステ・ヴェルディ歌劇場が来日し、ヴェルディのオペラ《椿姫》を上演する。ヴィオレッタを歌うのは名花デジレ・ランカトーレ。イタリア北東部の港湾都市トリエステの同劇場は1801年に創設され、ヴェルディの《海賊》と《スティッフェーリオ》を初演した歴史を誇る。ヴェルディゆかりの劇場だけに、《椿姫》は自家薬籠中のレパートリーだろう。ウィーン・フィル、コンセルトヘボウ、そしてムターも 11月7日はクリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィルが招かれる。曲はブルックナーの交響曲第8番。重厚でスケールの大きなブルックナーを聴きたいのであれば、ティーレマンは最高の指揮者にちがいない。ウィール・フィルの豊麗なサウンドとも相性はぴったり。 11月20日はパーヴォ・ヤルヴィがロイヤル・コンセルトヘボウ管を率いて登場する。N響首席指揮者を務めるパーヴォと、世界最高峰の一角であるコンセルトヘボウ管との共演は楽しみ。切れ味鋭く、かつ情感豊かなブラームスの交響曲第4番を堪能できるのではないだろうか。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番ではスーパー・スター、ラン・ランがソリストを務める。 20年2月23日はアンネ=ゾフィー・ムターがベートーヴェン生誕250周年を、ヴァイオリン・ソナタの傑作で祝う。「春」や「クロイツェル」で力強くフェスティバルの掉尾を飾る。パーヴォ・ヤルヴィ©Julia Bayerラン・ランアンネ=ゾフィー・ムター©Monika Höerクリスティアン・ティーレマン ©Matthias Creutzigerウィリアム・クリスティ ©Oscar Ortegaセミヨン・ビシュコフデジレ・ランカトーレマルタ・アルゲリッチ ©Adriano Heitma
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