eぶらあぼ 2019.7月号
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67アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2019-2020 前期 Vol.3ショパン vs リスト 金子三勇士 ピアノ・リサイタル究極のピアノ作曲家二人の魅力に迫る文:伊熊よし子7/18(木)13:30 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp/ 1989年、日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれた金子三勇士は6歳で単身ハンガリーに渡り、リストやバルトークの作品を中心に幅広いピアノ作品を学んだ。2006年に帰国後は東京音楽大学で研鑽を積み、08年にバルトーク国際ピアノコンクールで優勝の栄冠に輝く。以来、国内外で幅広い活動を続け、特にリストをレパートリーの中心に据え、さまざまな作品をコンサートで取り上げてきた。 そんな金子が「ショパン vs リスト」と題するリサイタルを行い、同時代に活躍していた2大作曲家のピアノ・ソナタをメインに据えた興味深いプログラムを披露する。 今年は日本・ハンガリー外交関係樹立150周年、日本・ポーランド国交樹立100周年にあたるメモリアルイヤー。記念の年に金子がリストとショパンを取り上げるのは非常に意義深い。とりわけ彼がレパートリーの根幹に据え、録音も行っているリストの「ソナタ ロ短調」は、まさにハンガリーの血を引く彼が全身全霊を傾けている作品。そしてショパンのソナタ第2番も、じっくり取り組んできた得意とする曲だ。この2曲が後半に置かれ、前半はショパンとリストの人気の高い作品が次々と登場する。 今回は「文化芸術ナビゲートにおけるスペシャリスト」浦久俊彦が案内役を務める。ショパンとリストの対比を浮き彫りにする選曲が、ナビゲーターによってどのように解説され、愉しみが増すのか、興味は尽きない。©Ayako Yamamotoエベーヌ弦楽四重奏団 ベートーヴェン・アラウンド・ザ・ワールド世界的プロジェクトの鮮烈なる生体験文:柴田克彦7/14(日)14:00 びわ湖ホール(小)(完売)7/15(月・祝)17:00 Hakuju Hall(完売)7/16(火)19:00 サントリーホール ブルーローズ(小)問 メロス・アーツ・マネジメント03-3358-9005 https://www.melosarts.jp/ エベーヌ弦楽四重奏団が今もっとも聴くべきクァルテットであるのは間違いない。フランス出身の彼らは、2004年に難関のARDミュンヘン国際コンクールで優勝して以来、第一線で活躍。ウィグモア、コンセルトヘボウ、カーネギー等の権威あるホール、ルツェルン、ザルツブルク等の著名音楽祭へ頻繁に招かれ、CDも常に話題を呼んでいる。その演奏は、全ての音とフレーズに生気が宿り、清新で表情豊か。そして古典とジャズをしなやかに往来する柔軟性、緻密かつダイナミックな構築性、奏法と呼吸の完璧な統一性を併せもち、生命力漲る音楽は弦楽四重奏の通でないファンをも魅了する。 彼らはこのほど、20年のベートーヴェン生誕250年記念イヤーに向けたプロジェクト「ベートーヴェン・アラウンド・ザ・ワールド」をスタートした。これは欧米、アジア、アフリカ、オセアニアを巡る世界ツアー。各回の最終公演はライヴ録音され、CD全集としてリリースされる。この日本公演もその一環だ。 演目は、第9番「ラズモフスキー第3番」と第13番「大フーガ」付きの濃密な組み合わせ。シンフォニックな第9番と組曲風の第13番は、多彩さにおいて中期と後期を代表し、共に各時期の技法を最大限に駆使したフーガで終わる。中でも、第9番のエキサイティングな終楽章、第13番の美しいカヴァティーナと壮絶な大フーガへの期待は大きいし、サントリーホール公演はライヴ録音されるので、完成度MAXの演奏になること必至。現代屈指のクァルテットがおくる鮮烈なベートーヴェンを聴き逃してはならない。©Julien Mignot

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