eぶらあぼ 2019.7月号
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60©ヒダキトモコ紀尾井ホール室内管弦楽団第118回 定期演奏会 9/27(金)19:00、9/28(土)14:00第120回 定期演奏会 2020.2/14(金)19:00、2/15(土)14:00紀尾井ホール ※第120回は11/2(土)発売問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp/ライナー・ホーネック(ヴァイオリン/紀尾井ホール室内管弦楽団首席指揮者)ベートーヴェンへの取り組みで示す音楽家としての矜持取材・文:宮本 明Interview 紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)が首席指揮者ライナー・ホーネックとの契約を2022年3月まで延長することを発表した。ウィーン・フィルの現役コンサートマスター。17年から3年契約で第2代首席指揮者に就任した。 「一緒の時間を重ねるなかで、私が求めることを言葉やヴァイオリンを弾いて示すことが、あまり必要でなくなりました。それは大きな変化です。そしてなにより唯一無二だと思っているのが、潤沢なリハーサル時間。こんなケースはヨーロッパでもありません」 契約2期目の抱負を尋ねると、「目標やヴィジョンを言葉で語るよりも、一つひとつのコンサートを、可能な限り素晴らしいものにしたい。そうすれば、発展というものは自ずと生まれてくると思う」と、誠実な姿勢を示した。 次の出演は9月定期。メインはベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」全曲だ。 「この作品は不当にないがしろにされていると思います。序曲は有名ですが、全曲が演奏される機会はほとんどない。ウィーン・フィルでも、少なくとも私が在籍してから(1981年正式入団)は演奏していません。その理由のひとつには、バレエの物語を知らずに聴いたのでは、長すぎて理解しづらい、良さがわかりにくいということがあると思います」 そこを埋めるために、失われたバレエ台本をベートーヴェン研究家の平野昭が創作し、俳優の西村まさ彦が朗読する。 年が明けて2020年2月定期は、生誕250年にちなんだオール・ベートーヴェンで、ヴァイオリン協奏曲と交響曲第7番というプログラム。協奏曲はもちろんホーネックの独奏、そして彼自身も初めてという指揮者なしでの演奏だ。 「この作品を指揮者なしで演奏することはあまりないと思います。でも、できないわけではない。とりわけ、指揮者に依存せず演奏することに慣れている経験豊富なオーケストラであれば。加えて、リハーサル時間がたっぷり取れることが大切です。KCOにはその条件が揃っています。そして、私が重要視しているのは、この協奏曲を室内楽的にとらえるということです。そもそも本作では独奏ヴァイオリンが、オーケストラに寄り添ったり、伴奏のような役割を担うところが非常に多いのですね。それを考えると、もしかすると指揮者がいないことがメリットになるのではないかとさえ思っています」 来期については夏以降の発表とのことだが、1シーズンに3プログラム6公演を指揮する予定。両者の関係のさらなる深まりに注目しよう。井上道義(指揮) × 牛田智大(ピアノ) × 読響 華麗なるプロコフィエフカリスマと俊才の出会いが未知の体験を生む文:笹田和人 井上道義に、“円熟”という言葉は似合わない。72歳を迎え、いっそう瑞々しい音楽を紡ぎ続けるマエストロ。さらに、20歳を目前に“天才少年”から脱皮し、新たな境地を迎えたピアニスト、牛田智大。そんな2つの才能が、読売日本交響楽団と共に、プロコフィエフの多層的な響きの世界へ対峙する。 熱い息吹と洗練性が同居する変幻自在な音楽創りで、聴衆の心を掴む井上。特にロシア作品には、並々ならぬこだわりを見せる。今回は、プロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエッ8/31(土)14:00 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール問 かつしかシンフォニーヒルズ  03-5670-2233https://www.k-mil.gr.jp/牛田智大 ©Ariga Terasawaト」から、井上自身がセレクトした9曲を。ここへ、ペンデレツキ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」を共鳴させる。 一方、2012年に弱冠12歳で、鮮烈なデビューを果たした牛田。昨秋の浜松国際ピアノコンクールで2位入賞を果たすなど、人気・実力を兼ね備えた若手奏者へと成長を遂げた。今回は、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を披露。昨年にも群馬交響楽団と共演で弾き、高い評価を受けたばかりのレパートリーだけに、その音楽性と実力のほどを存分に発揮してくれよう。井上道義 ©高木ゆりこ

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