eぶらあぼ 2019.7月号
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56©Gregor Titzeシュテファン・ヴラダー ピアノ・リサイタル9/21(土)19:00 すみだトリフォニーホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831http://www.pacific-concert.co.jp/※9/22(日)葉山町福祉文化会館、9/26(木)ザ・シンフォニーホール(日本センチュリー響との共演)、9/28(土)東京文化会館(小)(日本モーツァルト協会 第611回例会)については上記ウェブサイトでご確認ください。シュテファン・ヴラダー(ピアノ)指揮経験を経て、ピアニストとして更なる高みへ取材・文:伊熊よし子Interview ウィーンに生まれ、オーストリアを代表する音楽家として国際舞台で幅広い活動を展開しているシュテファン・ヴラダー。1985年にベートーヴェン国際ピアノ・コンクールで優勝の栄冠に輝いてからピアニストとして活躍していたが、やがて指揮者としても活動の場が増え、2008年にはウィーン室内管弦楽団の首席指揮者&芸術監督に就任した。 「実は、先ごろこのポジションを辞任することに決めました。10年間さまざまな作品を演奏してきましたが、そろそろピアニストとしての活動に絞る時期が来たと思っていますので。私は子どものころからオペラ、オーケストラ、室内楽などあらゆる音楽を聴いてきました。ウィーンは私の音楽観を育ててくれた土地で、ピアノの弾き振りをしたのも指揮を始めたのもごく自然なことです。すべて自己流なんですよ。ピアノはひとりですべてが完結しますが、指揮や弾き振りはオーケストラとのコミュニケーション、演奏のバランスが大切になります。共演者との演奏から学ぶことは多く、ピアノに戻ったときに音楽が肉厚になっていることに気づきます。特に歌手との共演は大切で、呼吸法から多くを学びます。私はピアノを弾くとき、すべての旋律をうたわせたいからです」 今回の来日リサイタルでは、ハイドンのソナタ第62番、ベートーヴェンのソナタ第32番、シューベルトのソナタ第21番が組まれている。ハイドンのソナタはハイドンがエステルハージ家の楽団解散後、自由な音楽家となってから書いた最後期の作品。華麗で繊細で表情豊かである。ベートーヴェンのソナタは全32曲の最後のソナタにあたり、ベートーヴェンのピアノ音楽の集大成的な作品となっている。シューベルトのソナタも最後のソナタで、「ベートーヴェン以後、もっとも美しいソナタ」と称される馨しいリリシズムがみなぎる作品。まさに3人の作曲家の最後のソナタが時代を追って並べられている興味深い選曲である。 ヴラダーはこうしたプログラムを組むときに大切にしているのは、「テーマ」だという。 「ピアノ・ソナタの場合、各曲の関連性、調性、内容、解釈などすべての面でひとつのテーマに基づいてプログラムを構成します。作品のなかに自分なりのストーリーを見出し、それを頭のなかで描きながら演奏を極めていくわけです。ソナタの場合もただ好きな作品を並べるのではなく、ある意義をもたせるのです」 3曲は有機的な意味合いをもって奏される。第147回 スーパー・リクライニング・コンサート 佐藤晴真 チェロ・リサイタル世界水準の実力を聴く絶好の機会文:笹田和人 決して大柄ではない体を、まるで一体と化すようにチェロに寄り添わせ、ダイナミックかつ繊細な音楽を紡ぎ出してゆく。昨年ポーランドで開かれた、第11回ルトスワフスキ国際チェロ・コンクールで弱冠20歳にして優勝し、一躍、国際的な注目を集めている佐藤晴真が、Hakuju Hallの人気シリーズ「スーパー・リクライニング・コンサート」に登場。艶やかな音色で、聴く者の心を癒す。 メンデルスゾーン「無言歌」に始まり、R.シュトラウス「4つの情緒のある風7/17(水)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター 03-5478-8700https://www.hakujuhall.jp/©FUKAYA Yoshinobu aura. Y2景」から〈寂しい泉のほとり〉〈トロイメライ〉を。さらにシューマン「トロイメライ」、ヤナーチェク「おとぎ話」を弾き、シューマン「民謡風の5つの小品」で締め括る。共演はピアノの大伏啓太。 これまでにも数々の登竜門で実績を重ね、現在はベルリン芸術大学でさらなる研鑽を積む佐藤。一線のオーケストラや名手と快演を重ね、次代の音楽界を担う逸材として、その将来を嘱望されている。そんな俊英の、鮮烈で艶やかな音色。リクライニング・シートで寛いだ、体と心に沁み渡るだろう。
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