eぶらあぼ 2019.6月号
73/201
70第30回 パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌節目の年を迎え、ますますの充実のPMF!文:飯尾洋一7/6(土)~8/2(金) 札幌・苫小牧・函館・江別・幕別・奈井江・東京・川崎問 パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会011-242-2211https://www.pmf.or.jp/ レナード・バーンスタインゆかりの音楽祭、パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌(PMF)が、今年で30回目を迎える。世界各地のオーディションで選抜されたアカデミー生たちが、トップレベルのオーケストラの首席奏者らを中心とした教授陣から、およそ1ヵ月間にわたって指導を受ける。これまでに世界76ヵ国と地域から、のべ3500名を超えるアカデミー生がPMFで学んだという。ここから数多くの若者たちが世界の音楽シーンへと羽ばたいていった。30回目を迎えて、改めてこれまでの歴史の重みが感じられるのではないだろうか。 7月6日から8月2日まで、今年も数多くのコンサートが予定される。オーケストラ公演から聴きどころをご紹介しよう。名匠と若者たちのハーモニーを体感 まずは7月9日のPMFホストシティ・オーケストラ演奏会。近年指揮者として活動の幅を広げるラデク・バボラークが札幌交響楽団を指揮する。メイン・プログラムはブルックナーの交響曲第6番。指揮者バボラークのブルックナー観はいかに。モーツァルトの協奏交響曲変ホ長調K. 297bでは、バボラークはソリストの一人としてホルンを吹き、オーボエのアンドレアス・ヴィットマン、クラリネットのアレクサンダー・バーダー、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトといったベルリン・フィルの名手たちと共演する。 7月13日は札幌芸術の森・野外ステージを舞台としたピクニックコンサート。PMFならではの開放感を味わえる。室内楽、声楽曲を中心とした第1部に続いて、第2部ではマリン・オルソップ指揮PMFオーケストラ、PMFヨーロッパが出演し、R.シュトラウスの歌劇《ばらの騎士》組曲、ジョン・アダムズの「ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシン」他を演奏する。また気鋭の若手、郷古廉がチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲でソロを務める。オルソップはかつてのバーンスタインの弟子。第1回のPMF以来の登場だ。今や第一線で活躍するオルソップの堂々たる指揮ぶりに期待。なお、このプログラムは7月14日の札幌コンサートホール KitaraでのPMF GALAコンサート、7月15日の苫小牧公演でも披露される。 7月20日と21日のPMFプレミアム・コンサートでは、名匠クリストフ・エッシェンバッハが登場する。曲はマーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」。PMFオーケストラにPMFアメリカとPMF修了生を加えたPMFプレミアム・オーケストラ、そしてPMFプレミアム合唱団、HBC少年少女合唱団が一体となって、記念碑的大作に挑む。壮大な音のドラマが築きあげられることだろう。 7月28日はPMF hitaruスペシャル・コンサート。クリスチャン・ナップが指揮するPMFアメリカのメンバー&PMFオーケストラが、ドヴォルザークの交響曲第8番他を演奏する。ナップは現代音楽を得意とするアメリカの指揮者で、昨年に続き2度目の参加となる。大トリには芸術監督ゲルギエフが登場 7月31日はPMFオーケストラ演奏会。いよいよ芸術監督ワレリー・ゲルギエフが指揮台に立つ。PMFアメリカのメンバーも加わり、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、ショスタコーヴィチの交響曲第4番他が演奏される。ショスタコーヴィチでは壮絶なサウンドが聴きもの。また、第16回チャイコフスキー国際コンクール木管部門優勝者をソリストに招いて協奏作品が演奏される。なお、同プログラムは、8月1日の東京公演、2日の川崎公演でもとりあげられる。フェスティバルのフィナーレを飾るにふさわしい名演が期待できそうだ。GALAコンサートの模様クリストフ・エッシェンバッハ ©Eric-Brissaudワレリー・ゲルギエフ ©Marco Borggreveラデク・バボラークマリン・オルソップ ©Adriane White
元のページ
../index.html#73