eぶらあぼ 2019.6月号
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60©Takashi Arai三浦はつみ オルガンリサイタル 時を超えて─天への扉7/13(土)15:00 神奈川県民ホール(小)問 チケットかながわ0570-015-415 https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/三浦はつみ(オルガン)親密な空間でオルガンの神々しい響きに身も心もゆだねる取材・文:宮本 明Interview 横浜みなとみらいホール開館以来のホールオルガニストを務める三浦はつみが、同じ横浜の神奈川県民ホールに登場。「時を超えて─天への扉」と題してリサイタルを開く。県民ホール(小ホール)は、1974年に公立ホールとしては初めてオルガンを設置した。 「横浜みなとみらいホールのオルガンは、アメリカ製ですがフランスの後期ロマン派寄り。県民ホールのものはドイツの楽器で、個々のパイプの音がくっきり聞こえるのが特徴です。細かいニュアンスが伝わりやすい。小ホールなので客席が近い安心感もあって、近くの人にしゃべりかける感じの演奏ができたらいいなと思っています」 教会暦の聖霊降臨祭(ペンテコステ)にちなむ作品を中心に、委嘱初演を含む桐朋学園大学出身の作曲家・坂本日菜の2曲や、スペインのF.コレア・デ・アラウホ(1584~1654)、メシアン、フランク、そしてJ.S.バッハと、古典から現代までバラエティに富むプログラム。 「坂本さんはいつも『天に昇っていく人の背中をひと押ししてあげるような音楽を書きたい。それはオルガンでしかできない』と言っています。私も共感できる部分が多く、今回の坂本さんの作品も聖霊降臨祭にぴったりだと思います」 聖霊降臨祭は、イエスの復活から50日後、信徒たちの上に聖霊が降ったことを祝う祝日だ(今年は6月9日)。坂本の新曲「九品来迎図Ⅳ」は、平等院鳳凰堂内部の仏教画がテーマ。そこには往生する人間を迎えるために、阿弥陀如来が楽士たちとともに降りてくる様子が描かれており、聖霊降臨と符合する。新作は、グレゴリオ聖歌の「イン・パラディスム(楽園へ)」を忍ばせているという。 「聖霊は、天上と地上を自由に行き来して人に活力を与える存在。オルガンを弾いていると、あのパイプが、その通路みたいな気がしてくることがあるんです」 まさに「天への扉」だ。ただしバッハやメシアン含め、音楽自体は、信仰がなければ理解できないものではない。 「留学したボストンでずいぶん鍛えられました。アメリカは何事もみんなの合意で決める国。演奏も、感覚だけではダメで、他人に通じる理屈がないと認められない。でもそのおかげで、演奏にきちんと向き合えるようになりました。バッハであってもメシアンであっても、聴き手にとってわかりやすい演奏であるよう常に心がけています」 オルガンの鳴る空間に身を任せ、そこで感じたことを自由に受け取ってほしいと語る。私たちは、彼女がしゃべりかける言葉に耳をすませばよい。鈴木優人(指揮/チェンバロ/オルガン) & バッハ・コレギウム・ジャパン~バッハ:チェンバロ協奏曲演奏会~新・首席指揮者が鍵盤でも妙技を発揮文:笹田和人 古楽シーンをリードする精鋭集団が、開館25周年を迎えたサラマンカホールに再び降臨──。バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が、歴史的鍵盤楽器の名手で指揮や作曲などマルチに活躍、昨秋にBCJ首席指揮者に就任した鈴木優人の弾き振りで、バッハのチェンバロ協奏曲を披露する。 バッハの教会カンタータ全集録音を完遂し、今や世界的名声を得るBCJ。バロックはもとより、近年は古典期の作品でも秀演を聴かせている。今年で38歳の鈴木は、バロックから現代ま7/21(日)16:00 岐阜/サラマンカホール問 サラマンカホール チケットセンター 058-277-1110https://salamanca.gifu-fureai.jp/鈴木優人 ©Marco Borggreveでをフィールドとした、自在かつ鮮烈な音楽創りが注目を集めている。 BCJとしては4度目となる同ホールでの公演。今回は、完全な形では7曲が残るバッハの1台チェンバロのための協奏曲の中から、第3番ニ長調、第4番イ長調、第6番ヘ長調、第7番ト短調(BWV1054, 1055, 1057, 1058)をセレクト。ライプツィヒ時代、街中にあったカフェ・ツィンマーマンでの週末の演奏会に供された作品だ。さらに、鈴木はオルガン独奏曲も。国際的な評価も高い、快演を響かせる。
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