eぶらあぼ 2019.6月号
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5211/2(土)18:00 Hakuju Hall 6/7(金)発売問 コンサートイマジン03-3235-3777 http://www.concert.co.jp/石川 滋コントラバスリサイタル 2019これがコントラバス・ヴィルトゥオーゾだ!文:笹田和人©井村重人 コントラバスという楽器自体への先入観を、常に覆し続けてきた名手。それが、石川滋だ。慶応義塾大学在学中にジャズ研究会でベーシストとして活躍する一方、堤俊作に師事。エール大学で巨匠ゲイリー・カーの薫陶を受け、ジュリアード音楽院を経て、1993年にニューワールド響首席奏者に。フロリダ・フィル首席やベルン響ソロ首席奏者などを歴任し、2013年に帰国。読響で初のポストとなる“ソロ・コントラバス奏者”に就任し、包容力とパッションある音色を武器に、活躍を続けている。 ソロ楽器としてのコントラバスの魅力を追究し、新たなレパートリーの開拓も続ける石川。今回は、まず前半で、加藤昌則への委嘱作の世界初演をはじめ、ポーランドのミエチスラフ・ワインベルクのソナタ、アメリカのヒュー・エイトキンの組曲と、無伴奏コントラバスのための現代作品を。後半では、鈴木慎崇のピアノを交え、20世紀チェコのアドルフ・ミシェク「レジェンド」と、ヴァイオリン作品から編曲のフランク「ソナタ」を弾く。6/25(火)19:00 ヤマハホール問 ヤマハ銀座ビルインフォメーション 03-3572-3171https://www.yamahaginza.com/hall/清水和音 ピアノ・リサイタル極上の音響空間に響く練達のドラマ文:柴田克彦©Mana Miki 清水和音は今、ピアノ音楽の魅力を明確かつ衒いなく伝えてくれるピアニスト(特に男性奏者)として真っ先に名を挙げるべき存在だ。35年以上にわたって第一線で活躍を続ける彼は近年、持ち前の完璧な技巧と豊かな音楽性に深みや滋味を加え、1音1音が実在感を持った傾聴すべき演奏を聴かせている。広大なレパートリーの中でも、ベートーヴェンやブラームスといった独墺ものはまさに真骨頂。豪腕を微塵も感じさせずして生み出す奥行きのある音楽は、すこぶる魅力的だ。 この6月、彼はヤマハホールの「珠玉のリサイタル&室内楽」シリーズに登場。そうした独墺の王道名作を披露する。まずはベートーヴェン上昇期のソナタ第17番「テンペスト」で激しさやドラマ、晩年のソナタ第30番で内省的な叙情味を表出し、ブラームス晩年の「3つの間奏曲op.117」で寂寥の美を紡ぎ、シューベルトの傑作群の幕開けを告げるソナタ第14番で哀しみを秘めた歌を奏でる。切なさを湛えた短調作品に、枯淡の趣が漂う長調作品を交えたこの一夜に浸り、名手練達の情感を堪能したい。7/7(日)14:00 三鷹市芸術文化センター問 三鷹市スポーツと文化財団0422-47-5122 http://mitaka-sportsandculture.or.jp/オカリナ七重奏団 G.O.B.(ゴブ)音域4オクターヴ半、7種の楽器を駆使するレジェンド集団文:オヤマダアツシ オカリナの周辺が、どうやら今アツい。「素朴な音を出す小さな楽器ですよね」というのが、多くの方の認識だろう。しかし、弦楽アンサンブルがヴァイオリンからコントラバスまで広い音域や多彩な音色を有するように、オカリナにも大小さまざまな種類の楽器があり、合奏をすればリコーダー・アンサンブルのような、可愛らしくも表情豊かな音楽を聴かせてくれるのである。 その証明といえるグループが、北イタリアのブードリオ(オカリナ発祥の地)からやって来る七重奏団「G.O.B.(ゴブ)」なのだ。1864年、オカリナの誕生から11年後に結成され、メンバーを変えながら150年以上も伝統を受け継いできたこのグループは、まさに世界最高峰のレジェンド・アンサンブル。ピュアでどこか心の奥に語りかけるような音色をもつオカリナだが、彼らはその音色で感動を呼び、超絶技巧の演奏で驚かせてくれるのだ。ブーム到来も予感させるコンサートをお聴き逃しなく。
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