eぶらあぼ 2019.6月号
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39文:飯尾洋一問 高崎芸術劇場027-321-1213※オープニング事業ラインナップの詳細は、右記ウェブサイトでご確認ください。 http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/左より:大友直人 ©Rowland Kirishima/クリスティン・ルイス/中嶋彰子/ペーター・ロダール/ケント・ナガノ ©Benjamin Ealovega最高峰のアーティストたちが集結!オープニング・ラインナップの聴きどころ さて、立派な劇場が誕生したとなれば、なにより気になるのは、どんな公演が開かれるのかという点。オープニング・ラインナップから注目公演をご紹介したい。 まず9月20日のこけら落としは、大友直人指揮群馬交響楽団によるベートーヴェンの「第九」。クリスティン・ルイスのソプラノ、中嶋彰子のメゾソプラノ、ペーター・ロダールのテノール、泉良平のバリトンの独唱陣と高崎第九合唱団が加わる。「第九」はこけら落としの定番の演目だが、群響にとってはそれ以上の意味がある。草創期の群響をモデルにした映画『ここに泉あり』でラストシーンを飾るのが「第九」。1955年公開のこの映画は全国的な反響を巻き起こし、さらに翌年には「第九」が渡邉曉雄指揮により群響定期で演奏された。まだ年末の「第九」が恒例化する以前の時代に、先駆的な「第九」演奏が実現したのである。そんな歴史を振り返れば、開幕の「第九」の意義の大きさも伝わるというもの。なお、本公演は公募抽選による招待制となる。 また、「第九」の独唱者たちによるリサイタルも開催される。9月21日にペーター・ロダールと中嶋彰子、9月22日にクリスティン・ルイスが出演する。音楽ホールの親密な空間で聴く歌曲やアリアは、大劇場での「第左より:辻井伸行 ©Yuji Hori/パウル・バドゥラ=スコダ/イザベル・ファウスト ©Felix Broede/エマニュエル・パユ ©Hiro Isaka/イーヴォ・ポゴレリッチ ©Malcolm Crowthers九」とはまた違った声の魅力を伝えてくれるはず。 11月3日はトリエステ・ヴェルディ歌劇場の来日公演として、ヴェルディのオペラ《椿姫》が上演される。イタリア北東部の港湾都市トリエステの同劇場は1801年の創設。ヴェルディの《海賊》《スティッフェリオ》を初演した歴史を誇る劇場だけに、《椿姫》は自家薬籠中のレパートリーだろう。デジレ・ランカトーレがヒロイン役を歌う。指揮はファブリツィオ・マリア・カルミナーティ。 オーケストラ公演では、11月6日のケント・ナガノ指揮ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演が人気を呼びそうだ。同楽団はハンブルク州立歌劇場のオーケストラで、ケント・ナガノが首席指揮者を務める。辻井伸行をソリストに迎えてのベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ブラームスの交響曲第1番他という重厚なプログラムが組まれた。 音楽ホールでのリサイタル・シリーズには実に豪華な出演者たちが続々と登場する。10月25日はピアノ界の重鎮パウル・バドゥラ=スコダ、10月30日にはイザベル・ファウストのヴァイオリンとアレクサンドル・メルニコフのピアノによるデュオが登場。さらにアルディッティ弦楽四重奏団&高橋悠治、エマニュエル・パユ&エリック・ル・サージュ、イーヴォ・ポゴレリッチなど最高峰のアーティストたちが続く。このラインナップを415席のホールで体験できるのはぜいたくというほかない。
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