eぶらあぼ 2019.6月号
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192楽器を組み伏せるように弾くのではなく、「魂の耳で聴き、奏でる自然なピアノ奏法」を通じて、聴く者に幸せを届け続ける国際派ピアニスト、藤原由紀乃。恩師アンナ・シュタードゥラーから受け継いだ、ドイツの名教師ベアタ・ツィーグラーの奏法を現代に伝えている。今回は、特に得意とするショパンの作品から、全エチュード(3つの新練習曲、作品10&25)と全プレリュード(作品28&45)を披露。“音の銀河”を現出する。60年以上にわたり、日本の合唱界を牽引している東京混声合唱団が、音楽監督の若きマエストロ・山田和樹に率いられて登場。独特の感性で変幻自在に言葉を操る、詩人・谷川俊太郎の世界を特集する。ピアノ浅井道子の共演で、武満徹「うた」から3曲、三善晃「空/生きる」、木下牧子「地平線のかなたへ」を。さらに、ゲストの杉並児童合唱団と合同で松下耕「そのひとがうたうとき」、信長貴富「未来へ」ほかを歌う。国際的に活躍を続ける“レジェンド”秋山和慶を芸術監督・首席指揮者に迎えて、覇気あふれる鮮烈なサウンドを形づくってきた中部フィルハーモニー交響楽団。創立20周年の節目を来年に控えた「プレコンサート」は、もちろん、秋山のタクトで。バッハ「管弦楽組曲第3番」に、名手・前橋汀子の独奏によるベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、ブラームス「交響曲第1番」と、“ドイツ3大B”の傑作を堪能する。月の6パヴェル・コレスニコフ(ピアノ)藤原由紀乃(ピアノ)ショパン・リサイタルロバの音楽座 + 山下洋輔「もけらもけら」石田多紀乃(ピアノ)秋山のドイツ3大B名曲コンサート 秋山和慶(指揮) 前橋汀子(ヴァイオリン) 中部フィルハーモニー交響楽団山田和樹 × 東京混声合唱団この気もちはなんだろう~谷川俊太郎の世界~6/1(土)14:00 ヤマハホール6/16(日)15:30 東京文化会館(小)7/28(日)15:30 名古屋/電文ザ・コンサートホール6/2(日)15:00 たましんRISURUホール6/2(日)14:00 王子ホール6/16(日)15:00 愛知県芸術劇場コンサートホール6/16(日)15:00 杉並公会堂文:笹田和人秋山和慶前橋汀子 ©篠山紀信山田和樹 ©平舘 平「ブラームス晩年の傑作『3つの間奏曲』を演目に入れるのは長年温めていたアイディアで、その時が来るのを待っていた」。シベリア出身の俊英ピアニスト、パヴェル・コレスニコフは言う。2012年のホーネンス国際コンを制し、各国の一線楽団と共演を重ね、BBCプロムスでの快演も話題に。“その時”となる今回、3曲の合間にベートーヴェン、L.クープラン、チャイコフスキーの佳品を挟み込み、「賛美するように大切に」弾く。©Eva Vermandel真摯な姿勢と深い洞察力で音楽に向き合い、バッハから現代に至る幅広いレパートリーを鮮烈に弾きこなす実力派ピアニスト、石田多紀乃。デビュー25周年を迎えた今年のリサイタルでは、シューマン「クライスレリアーナ」を軸に。ベートーヴェンのソナタ第21番「ワルトシュタイン」、ブラームスが左手のためにピアノ編曲したバッハ「シャコンヌ」と、傑作たちの響きが時代を超えて共鳴し合う。©T.Osato「ころ もこ めか…」。ジャズ・ピアノ界の鬼才・山下洋輔による摩訶不思議な符牒を、モダンアートの巨匠・元永定正が鮮やかな色彩で視覚化した絵本『もけらもけら』。1990年の発表以来、独特の世界観は子どものみならず、大人をも虜に。今回は、古楽器や空想楽器を駆使するアンサンブル「ロバの音楽座」と山下、打楽器奏者のクリストファー・ハーディがタッグを組み、絵本の“手触り”をワクワクする音楽へと変換する。山下洋輔 ©Akihiko Sonoda

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