eぶらあぼ 2019.5月号
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62東京オペラシティ Bビートゥーシー→C 黒岩航紀(ピアノ)多様なソノリティを堪能できる一夜文:小室敬幸5/21(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp/ 東京音楽コンクールや日本音楽コンクールで優勝したのち、現在はソロやオーケストラとの共演に加え、伴奏や室内楽にも同等の力を注ぐ黒岩航紀。同世代のトッププレイヤーからのオファーが多いことからも、彼がどれほど安定感のあるピアニストとしての信頼を勝ち得ているか明らかだ。 そんな黒岩が、東京オペラシティの名物企画「B→C」に登場。宗教や神秘性という切り口で個性的なプログラムを聴かせてくれる。前半は、J.S.バッハのパルティータ第2番にはじまり、リストがバッハ作品をもとに作曲した前奏曲や、フィンランドの巨匠ラウタヴァーラによるイコンを題材にした楽曲など、主に宗教を想起させる音楽が並ぶ。後半にはスクリャービンの「白ミサ」、メシアンの「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」より「喜びの精霊のまなざし」、西村朗「神秘の鐘」…と引き続き宗教性を帯びつつも、ピアノから豊かな倍音が立ち昇ることで神秘性とエクスタシーを感じさせる音楽へと達するのだ。指先の精緻なコントロールによってピアノ1台とは思えぬ、多様なソノリティを堪能できる一夜になること間違いない。 黒岩にとっては長年温め続けてきた選曲であるそうで、やっと実現できる機会を得られたと気合は充分。「黒岩航紀の音楽を聴きたいと思っていただけるよう、自分にしかできない楽曲のアプローチ、解釈を見つけていきたい」と述べるほど、揺るがぬ信念をもったピアニストの今後の活躍を見極めるためにも、本演奏会はぜひチェックしておきたい。©武藤 章関西弦楽四重奏団ベートーヴェン全曲ファイナルとブラームス弦楽五重奏曲への挑戦文:寺西 肇ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 全曲ツィクルス(第6回・最終回)5/13(月)19:00 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホールブラームス:弦楽五重奏曲 全曲演奏会12/18(水)19:00 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール12/24(火)18:30 Hakuju Hall 5/14(火)発売問 KCMチケットサービス0570-00-8255 http://www.kojimacm.com/ 「関西から、理想の室内楽を追求したい」と、大阪交響楽団コンサートマスターの林七奈、元大阪響コンサートマスターで京都市交響楽団員の田村安祐美、京都市響首席ヴィオラ奏者の小峰航一、ソリストとして活躍するチェロの上森祥平と、関西ゆかりの名手たちが結成した関西弦楽四重奏団。ステージのたび、聴衆の心に残る熱演を披露する精鋭集団が、「全集」をキーワードとする2つの注目公演に臨む。 4人は2012年、京都でクァルテットとしての活動をスタートし、14年11月に「関西弦楽四重奏団」として、本格的に大阪で“旗揚げ”。以後も定期的にステージを開催し、今や活動の範囲は関西以外にも拡大。緻密かつ覇気溢れる瑞々しい演奏で、室内楽ファンを増やし続けている。 そんな4人が、数ある弦楽四重奏曲の傑作の中でも「常に基本に据えたい」と口を揃えるのが、ベートーヴェンによる全16曲。17年11月から取り組んできた2度目の「全曲ツィクルス」(全6回)が、遂に大団円へ。締め括りに置かれたのは、第16番と第14番。3月の第5回では、熱意と気迫、推進力に満ち、聴く側も一瞬たりとも気を抜けない「大フーガ」を披露しただけに、次回も“凄演”になるのは必至。 そして、12月には、ヴィオラに名手・豊嶋泰嗣を迎えて、大阪と東京でブラームスの弦楽五重奏曲の全曲演奏に挑む。弦楽四重奏に1本のヴィオラが加わるだけで、格段に豊潤の度合いを増すハーモニー。全2曲は、併演のハイドンの弦楽四重奏曲「五度」のすっきりとしたサウンドとも、好対照を成すはず。関西弦楽四重奏団豊嶋泰嗣 ©大窪道治

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