eぶらあぼ 2019.5月号
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57小森邦彦 マリンバ リサイタル 2019Masters, Masterworks ~CD発売記念~エネルギー漲るマリンバの新しい魅力を録音とライヴで追求文:オヤマダアツシ 多くのマリンバ奏者が活躍する中、新作の委嘱や初演を重視して楽器の新しい可能性を探り続け、自らの音楽表現を常に開拓し続けてきた小森邦彦の存在は、マリンバを演奏する者、マリンバを愛する聴き手にとって大きな光明だろう。“木を叩く”というシンプルな演奏から生まれるピュアな音は、さまざまな事象を描写し、ときには一音で聴き手の内面にある能力を覚醒させるようなパワーを秘めている。後世に残すべき名作を集め、5月にリリースされるCD『Masters, Masterworks』(ナミ・レコード)も、そうしたエネルギーが胎動している音楽を収録した注目の一枚だ。 水の表情や変容などを6つの小品で描き出していくようなジェイコブ・ドラックマン作曲の「水の反映」は、木と水という大自然からの贈りものが融合した音楽。小森自身が「マリンバに専念しようと決意した作品」だと述懐するジョン・セリー作曲の「ナイトラプソディ」は、演奏の難易度が高いゆえに挑戦的な作品であり(聴いているとバルトークのピアノ曲を想起させる)、小森自身も満を持して取り組んでいる。 この2曲を含むCD収録作品(抜粋)を、5月17日、東京のトッパンホールにて行われるリサイタルで披露。小森がリスペクトする作品群をまとめて聴きながら、マリンバという楽器の音・振動と存在感を体験してほしい。ライヴでは演奏時の流れるような動きなどを視覚的に味わえるため、音楽がより動的に感じられるだろう。ロシアン・ピアノスクール in 東京 2019モスクワ音楽院教授陣によるマスタークラスとコンサート文:長井進之介8/11(日・祝)~8/15(木) カワイ表参道 ※公開レッスン、コンサートは7/1(月)発売問 カワイ音楽振興会「ロシアン・ピアノスクール in 東京」事務局03-5485-8511http://kawai-kmf.com/rps/2019/ 楽器を豊かに響かせ、旋律をたっぷりと歌い、聴く者の心を魅了するロシア・ピアニズム。ゲンリヒ(ゲンリフ)、スタニスラフのネイガウス親子やウラディーミル・ソフロニツキー、そしてスビャトスラフ・リヒテルといった伝説的なピアニストたちはこの奏法を駆使してきた。こうした伝統を継承し、多くの優れたピアニストを輩出してきた講師陣の技術や音色を間近で体験できるマスタークラス「ロシアン・ピアノスクール in 東京」が今年も開催される。 昨年より音楽監督には国立モスクワ音楽院ピアノ科教授アンドレイ・ピサレフ教授が就任。ピサレフは、19世紀ロマン派の奏法を受け継ぐ、真のロシア・ピアニズム継承者であるグリゴリー・ギンズブルク直系であり、国際コンクール入賞者を100名以上輩出しているセルゲイ・ドレンスキーに師事したピアニストだ。同じくドレンスキーの薫陶を受けたピアノ科教授のパーヴェル・ネルセシヤンと共にマスタークラスを担当する。両名ともロシア音楽はもちろん、バッハから古典、ロマン、近現代等、幅広い作品に精通し、これまでの受講生は、モントリオール、仙台に浜松をはじめとする多数の国際コンクールに入賞し、輝かしい結果を残してきた。 参加部門として、高校・一般コースに加えて、プロフェッショナルコースを開講し、第17回となる今年は4月1日から5月31日まで受講生を募集している。また期間中は一般聴講が可能で、講師によるハーフ・コンサートも開催される(8/12, 8/13)。ロシアの深く豊かな音色に触れられる貴重な機会となるはずだ。パーヴェル・ネルセシヤン5/17(金)19:00 トッパンホール問 ミリオンコンサート協会03-3501-5638 http://blog.livedoor.jp/komori_marimba/CD『Masters, Masterworks』ナミ・レコードWWCC-7896¥2500+税5/25(土)発売アンドレイ・ピサレフ
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