eぶらあぼ 2019.5月号
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56『白鳥の湖』より Photo:Kiyonori Hasegawa東京バレエ団 はじめての『白鳥の湖』~楽しいお話と第3幕6/2(日)11:30 14:30 大ホール音楽のおくりもの オルガンコンサート 6/2(日)11:30 14:30 小ホールワタリドリ計画・展覧会 5/29(水)~6/2(日)(無料) ワークショップ 6/2(日)13:00~16:00 ギャラリー 第1展示室会場:神奈川県民ホール問 チケットかながわ0570-015-415 https://www.kanagawa-arts.or.jp/神奈川県民ホールオープンシアター2019美しいバレエやアイディア満載のアートを家族で体験!文:渡辺真弓 神奈川県民ホールで開催される6月の「オープンシアター2019」の内容が盛りだくさんで興味深い。同ホールと、KAAT神奈川芸術劇場、神奈川県立音楽堂の3つのホールで実施されている企画で、公演鑑賞はもちろん、体験や見学、レクチャー・トークなど様々な角度から芸術に親しんでもらおうと立ち上げられた。 今年の目玉となるのは東京バレエ団による「はじめての『白鳥の湖』~楽しいお話と第3幕」(6/2)。フリーアナウンサーの永井美奈子のお話付きで、タイトルにあるように、初心者にも安心して楽しめるよう配慮されている。上演されるのは、定評あるロシアのブルメイステル版から第3幕の舞踏会の場面。『白鳥の湖』は、チャイコフスキーの作曲による最も有名なバレエで、悪魔の魔法により白鳥の姿に変えられたオデットと王子の愛、そして二人を引き裂こうとする悪魔との戦いがドラマティックに描かれる。舞踏会で、王子は悪魔の娘のオディールを婚約者に選び、オデットを裏切ってしまう。招かれた各国の王女たちの踊りに続く、オディールと王子による〈黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ〉は、バレエのクライマックスで、オディールの32回の連続回転など超絶技巧がふんだんに盛り込まれ、見どころに事欠かない。 オディールと王子には、沖香菜子と宮川新大(11:30公演)、川島麻実子と秋元康臣(14:30公演)といずれ劣らぬ実力派ペアが配され、美技を競う。演奏は、冨田実里指揮の神奈川フィルハーモニー管弦楽団。開演前にオーケストラピットの見学等ができるのも、この企画ならではのサービスだ。 一方、同日の小ホールでは、「音楽のおくりもの オルガンコンサート ようこそ!オルガンと歌の世界へ」と題したコンサートが同じく一日に2回開催。オルガンの中田恵子とテノールの山本耕平が『くるみ割り人形』のハイライト(オルガンのみ)をはじめ武満徹、久石譲作品などを演奏する。 3つ目としては、旅をテーマに日本各地でユニークな活動を行っている麻生知子と武内明子の2人組のアーティストによる「ワタリドリ計画」の展覧会とワークショップ(5/29~6/2)。前者は、大ホール公演『白鳥の湖』の世界に因んで「ワタリドリの湖」と題し、後者は白黒写真に着彩する「つくってみよう! 色ぬり絵はがき」という企画だが、その他にも多彩なイベントが計画され、初夏の横浜を賑やかに活気づけてくれることだろう。第485回 日経ミューズサロン ロシア文化フェスティバル2019 IN JAPAN国立モスクワ音楽院室内合唱団伝統に培われた多彩で奥深い表現力文:笹田和人 帝政時代からソヴィエト、そして現代へ。脈々と受け継がれる「合唱大国ロシア」の伝統の真髄に触れるステージだ。 1866年に創設された、名門・チャイコフスキー記念ロシア国立モスクワ音楽院。国立モスクワ音楽院室内合唱団は、合唱の権威ボリス・テヴリン教授のもと、合唱指揮科の所属学生や大学院生、卒業生から精鋭を選りすぐり、1994年に結成された。現代に至る自国の作品のみならず、諸外国の作品や民俗音楽、ポピュラー音楽まで、幅広くレパー6/28(金)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227http://www.nikkei-hall.com/トリーに。繊細かつ密度の濃いアンサンブルで、国際的なコンクールでの優勝も数多い。 テヴリンの愛弟子、アレクサンドル・ソロヴィヨフに率いられ、6度目となる来日。第1部「古典と現代」では、スクリャービンやラフマニノフなど自国の佳品に、モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ほか、国境を越えた古典の傑作も。第2部「外国音楽傑作集」は、ピアノの日高志野らを伴ってのロッシーニ「小荘厳ミサ」(抜粋)から黒人霊歌まで、多彩で奥深い、世界の合唱音楽を紹介する。
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