eぶらあぼ 2019.5月号
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50葵トリオ 国内ツアー4/24(水)14:00 フィリアホール(完売)、4/27(土)13:05 びわ湖ホール(中)(077-523-7136)、5/1(水・祝)14:00 トッパンホール(完売)※葵トリオの最新情報は下記ウェブサイトでご確認ください。 https://aoitrio.com/CD『シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番 他』マイスター・ミュージックMM-4055 ¥3000+税4/25(木) 発売葵トリオミュンヘン国際音楽コンクール優勝記念のアルバムを堂々リリース取材・文:寺西 肇Interview 昨年9月、超難関・ミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ三重奏部門で優勝し、一躍、世界中の注目を集めてから約半年。ピアノ秋元孝介、ヴァイオリン小川響子、チェロ伊東裕による「葵トリオ」が、ハイドンとシューベルトを収録した新譜(マイスター・ミュージック)をリリースする。「この3人でなければ、常設団体でなければ、聴かせられない演奏を」。彼らの言葉と快演には、“真の音楽”を追究する決意が滲む。 「嬉しい半面、予想だにせず、『これからどうしよう』とばかり考えて…」とミュンヘンでの快挙の瞬間を語る秋元。小川は「本選で大好きなシューベルトを弾けるのが嬉しく、その幸せを噛み締めていました。発表の時は、よくわからないままお辞儀して…」。伊東も「半信半疑で…本当に嬉しい一方で、『これからが大変だ』と不安も大きく、複雑でした」と振り返る。 新アルバムは、ハイドンの後期作品とシューベルトの第2番を併録。「前者は1次予選の最初、後者は本選の最後に演奏したので、まさに記念盤」と秋元。古典派とロマン派、それぞれに特有な様式を踏まえる一方、3人の息もぴたり。鮮烈な快演が「ホールの音響も大変良く、のびのびと演奏できたのでは」との小川の言葉を裏付ける。 特にハイドンに関して、「本当に古典は難しい…」と秋元は苦笑。「意識しているのは、音の密度を濃くし過ぎないこと。ただし、音量を小さくしたり、主張を控えたりという意味でなく、演奏の際に響きの配分やバランスを調整し、ピアノの響きの空間へ、弦楽器が入ってきやすい余裕や空間をいかに作り出すか、なのです」と説明する。 3人の苗字の頭文字を冠し、全員が関西出身のため、「地元でコンサートができれば」との軽い気持ちで始めたトリオ。しかし、今や「個性の調和と衝突、両方が楽しめる」(秋元)、「精密な合わせから、作品の魅力が倍増してゆく」(小川)、「弦楽四重奏よりもソリスト的な要素が多く、自由度が高い」(伊東)と、その醍醐味を語る。仲間としてだけでなく、互いを演奏家としてリスペクト。深く信頼し合っている姿も印象的だ。 4月末からは、3公演を重ねる国内ツアーがスタート。「各パートが独立しつつ、一つの巨大な建造物を構築する。本当に驚くべき音楽」(秋元)と評する、ベートーヴェンを軸に、アイヴズにマルティヌーと近現代作品も演奏。「なかなか演奏の機会に恵まれない作品の紹介も、常設トリオの役割」(同)と力をこめる。 「臨時編成とは全く違う、常設でなければ聴けない音楽を。多くの人にトリオの魅力を知らせる活動を」と秋元が言えば、小川も「トリオといえば『葵』と言っていただけるよう、成長を続け、音色と音楽を突き詰めたい」。そして、伊東も「良い演奏は、必ずお客さんの心に残る。もう一度聴きたい、と思ってもらえる演奏を。そして、いつかは日本を代表するピアノ・トリオに」。3人の視線の先には、同じ場所がある。6/10(月)、6/17(月)各日19:00 すみだトリフォニーホール(小) 問 MCSヤング・アーティスツ03-3473-2880 https://mcsya.org/マリア・バーヨ(ソプラノ)スペインのディーヴァが待望のソロ・リサイタル文:岸 純信(オペラ研究家)©David Ruano 「人生を深く知るがゆえの笑顔」──スペインの名ソプラノ、マリア・バーヨの明るい声音を聴くたびに、そう思わずにはいられない。質感が軽やかなのに客席の隅々まで響き渡る彼女の歌声は、爽やかさに満ちる一方で仄かな哀感も帯びるもの。夕陽を見つめる人の背中のように、“言葉にできない想い”をそれは雄弁に届けてくれるのだ。 そのバーヨが、来る6月、11年ぶりに来日する。今回は僅か2回のリサイタルを250席の小空間で開くのみとのこと。初日はサルスエラ(スペイン語のセリフ入りオペラ)とスペイン歌曲の名旋律を歌い上げ、二日目にはヘンデルとモーツァルトの名曲を披露する。どちらも驚くほどに贅沢な夕べになるだろう。共演はフリオ・アレクシス・ムニョス(ピアノ)。 バーヨ持ち前の庶民性はサルスエラの軽快なメロディにうってつけだが、オペラ界が誇るプリマドンナとして舞台に立つ彼女の毅然としたなりは、バロックや古典派の凛とした曲調に相応しい。透明感を有する格別の美声をどうぞお楽しみに。©Naoya Ikegami/Suntory Hall

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