eぶらあぼ 2019.5月号
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32©山本倫子小林研一郎(指揮) ハンガリー・ブダペスト交響楽団5/21(火)19:00 サントリーホール問 テンポプリモ03-3524-12215/24(金)19:00 ザ・シンフォニーホール問 ABCチケットインフォメーション06-6453-6000※全国ツアーについては右記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.tempoprimo.co.jp/小林研一郎(指揮)コバケンと縁の深いオーケストラが生み出すハンガリーの響き取材・文:林 昌英Interview 日本とハンガリーの外交関係開設150周年を迎えた今年、様々な記念文化事業が行われている。そのハイライトとも目されるのが、1945年ハンガリー国営鉄道設立のハンガリー・ブダペスト交響楽団(MÁVブダペスト交響楽団、以下MÁV)来日公演である。9公演にも及ぶツアーを率いるのは我らがマエストロ小林研一郎。同団に客演を重ね、現在は名誉指揮者の地位にある。 この楽団と深い縁ができたのは、小林が優勝を果たして欧州にその名を広めた、第1回ブダペスト国際指揮者コンクールだった。 「一次予選はくじ引きでベートーヴェン1番の緩徐楽章とロッシーニ《セビリアの理髪師》序曲を引き、この順でやるルールでしたが、わざと無視して『セビリア!』と言って手を振り下ろしました。すると、まるでイタリアの青い海のような音が返ってきたのです。その瞬間に感じたきらめきはそうそうあることではなく、運命の女神の導きのようでした。僕がヨーロッパで初めて音を出したその楽団こそ、このMÁVだったのです」 東京公演の演目は、「両国に共通する民族性も感じられる」というコダーイ「ガランタ舞曲」を前半に。メインはあえてドヴォルザーク「新世界より」で、「隣国チェコの曲ですが、お国ものじゃないからこそ気付ける魅力も多く、面白いです」。記念年のために依頼された小林自身の新作もあり、「本当に恐縮な機会です。両国の旋律が入る短めの曲になります」と構想を明かした。 リスト音楽院に学び、バルトーク国際コンクール優勝など、やはりハンガリーゆかりの俊英、金子三勇士がソロを務めるリストのピアノ協奏曲第1番も注目。共演機会の多い金子について、目を細めてこう語る。 「彼が少年の頃、姿勢などについて助言したらすぐに取り入れてくれました。助言から本質をつかみ取れるのも大切な才能です。いまや素晴らしい名手ですが、上に伸び続けるだけで深さに乏しくなるといけないということで、また何か杭を打ち込んでみたいなと思っています(笑)」 大阪ではチャイコフスキーの5番やブラームスの二重協奏曲などを。後者で共演するハンガリーの超絶技巧デュオ、ヤボルカイ兄弟については「彼らとなら技巧を超えた“ハンガリーのブラームス”ができそうです。そこに“コバケンの唸り声”も入れて三重協奏曲として楽しんでいただければ!(笑)」と思わぬ冗談も飛び出すほど。 「ハンガリーは日本に近い気質があり、もっと知っていただける機会になれば嬉しい」と語るマエストロと、「古き佳き時代の香りを残し、共に燃え上がってくれる」MÁVとの熱演、しかと受けとめたい。東京交響楽団 第4回 八王子定期演奏会豊かなオーケストラ・サウンドを存分に楽しめるステージ文:笹田和人 東京交響楽団が2016年から毎年1回、オリンパスホール八王子を舞台に開催している、「八王子定期演奏会」が4年目に。今回の指揮には、アグレッシヴでありながら、理知性も兼ね備えた音楽創りが人気の飯森範親が登場。特に管楽器の多彩な音色が魅力的な、3つの名曲を披露する。 この公演は、「オーケストラの響きを身近に楽しむことから、芸術文化への裾野を広げよう」と、多摩地域初の本格的なオーケストラ事業提携としてスタートした、八王子市学園都市文化ふれあ6/2(日)14:00 オリンパスホール八王子問 八王子学園都市文化ふれあい財団  042-621-3005http://www.hachiojibunka.or.jp/高木綾子 ©FUMIい財団と東響との「パートナーシップ事業」の一環。東響正指揮者の飯森は、第1回での好評を受けての再登板となる。 今回は、ムソルグスキー(ラヴェル編)の組曲「展覧会の絵」とリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」、いずれも絶妙なオーケストレーション、特に迫力ある金管楽器が、巧みな旋律回しとハーモニーを彩る傑作を。さらに、実力派奏者の高木綾子をソリストに迎えてのモーツァルト「フルート協奏曲第2番」で、繊細かつ可憐な“木管楽器の女王”の音色を堪能する。飯森範親 ©山岸 伸

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