eぶらあぼ 2019.4月号
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180郷古廉(ヴァイオリン)のソロ、川瀬賢太郎指揮神奈川フィルで聴かせる。公募で参加するアマチュアとプロの奏者が共演する「わくわくブラス!」が昨年に続き行われる(9/22)。海外からはセミョン・ビシュコフ指揮チェコ・フィルが登場、チャイコフスキー交響曲第5番とスメタナ「モルダウ」などを演奏する(10/20)。〈小ホール〉 視覚障がいのある演奏家と晴眼者の奏者とが、照明を消した暗闇の舞台でアンサンブルを聴かせる「ミュージック・イン・ザ・ダーク」(11/2)、第38回を迎える「横浜市招待国際ピアノ演奏会」(11/4)、ユニークなところでは邦楽とロック・ミュージシャンのコラボ「デーモン閣下の邦楽維新 Collaboration」(2020.1/25,1/26)、そして旬の音楽家と現代の音楽家の出会いを演出する「Just Composed 2020 in Yokohama 〜現代作曲家シリーズ」(2020.3月)も予定されている。 なお、今年は3年に1度開かれる大イベント「横浜音祭り 2019」が9月から11月にかけて開催。横浜みなとみらいホールは主会場のひとつとなり、オーケストラ公演などが行われる。 横浜みなとみらいホールhttp://www.yaf.or.jp/mmh/■小井土文哉がヘースティングズ国際 ピアノ協奏曲コンクールで優勝 ピアニストの登竜門として知られる、イギリスのヘースティングズ国際ピアノ協奏曲コンクールが2月21日から3月2日まで行われ、小井土文哉(こいどふみや)がラヴェルのピアノ協奏曲を弾き、第1位を獲得した。小井土は賞金1万5千ポンドと共にロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団と共演する権利を得た。 1995年生まれ。岩手県釜石市出身の23歳。桐朋学園大学を卒業後、現在は同大学ソリスト・ディプロマコースに在籍。昨年には第87回日本音楽コンクールでも優勝している。Hastings International Piano Concerto Competitionhttps://hastingsconcertocompetition.co.uk/■平成30年度 芸術選奨が決定 平成30年度(第69回)芸術選奨が決定した。音楽部門では、長唄唄方の杵屋勝四郎と胡弓演奏家の髙橋翠秋が文部科学大臣賞を、作曲家の藤倉大が文部科学大臣新人賞を受賞した。また、舞踊部門では、バレエダンサーの小野絢子と舞踊家の篠原聖一が文部科学大臣賞を、日本舞踊家の井上安寿子が文部科学大臣新人賞を受賞した。 ロンドンを拠点に活動する藤倉は、世界各地の楽団や劇場から多くの新作委嘱を受けている。アーティスティック・ディレクターを務める「ボンクリ・フェス」や、昨年日本初演(演奏会形式)されたオペラ《ソラリス》でも注目を集めた。「日本にとどまらないグローバルな領域で現代音楽の新たな聴衆を獲得している稀有の存在である。着想に富み、斬新な響きを湛え、技術的にも高度ながら、過度に格式高くない芸術音楽の在り方は、個展での作品群全てで顕著に示された」と高い評価を受け、今回の受賞となった。文化庁http://www.bunka.go.jp/■第67回「尾高賞」が決定 第67回「尾高賞」の受賞作品が、藤倉大の「Glorious Clouds for Orchestra」(2016/17)に決定した。 「尾高賞」は、NHK交響楽団専任指揮者であった故・尾高尚忠の生前の功績を讃え、邦人作曲家による優れたオーケストラ作品を顕彰するために1952年に同楽団によって創設された作曲賞。 受賞作は微生物の世界を表現した作品で、名古屋フィル、ケルンWDR響など3楽団による共同委嘱。昨年11月にケルンで初演されている。 藤倉は77年大阪生まれ。15歳で渡英し、これまでにロイヤル・フィルハーモニック作曲賞、芥川作曲賞など数々の作曲賞を受賞している。現在英国在住。今回の受賞に際して藤倉は「悩みに悩んで、1年近くかけて書いた作品。細菌の世界の話で、これに関してはかなりなレベルの研究をしました。こうして尾高賞をいただけるということで、なんだか救われたように感じます」と述べた。 第67回「尾高賞」の贈呈式と受賞作品の演奏は、5月28日に東京オペラシティ コンサートホールで開催される「Music Tomorrow 2019」(ジュゼップ・ポンス指揮 NHK交響楽団)で行われる。NHK交響楽団https://www.nhkso.or.jp/藤倉 大 ©Seiji Okumiya
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