eぶらあぼ 2019.3月号
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ミーガン・ミラー なかでも、ワーグナー《ニーベルングの指環》四部作からの作品は、この公演を特徴づけるものだ。 「《指環》四部作は、私の指揮者としての初めての、そして永遠の“征服したもの”の一つであり、生涯を通して、ほんのわずかの指揮者にしか登頂が許されていないエベレストの頂のようなものです。私も、キャリアの初期からこの芸術的に最も野心的なオペラを取り上げることを託された、数少ない幸せな指揮者の一人です。ベルリンで、ワシントンで、北京で指揮することができました(注:05年に指揮した中国国際音楽祭での《指環》は、中国史上初の四部作連続上演だった)。私たちは、東京春祭の《指環》の伝説的なプロダクションを、そしてその16時間を、今回のガラ・コンサートの中で、呼び覚ますことに挑戦します」 そんなオーギャンが今回のガラ・コンサートに何を期待しているのだろうか。 「音楽が始まると、すべての出演者が、その一夜が忘れられないものになるように集中します。舞台上のアーティストや舞台裏のスタッフの技術的、芸術的な努力が実り、音楽愛好家の皆様へ幸せをお届けすることができるのを、私は大いに期待しています」 オーギャンは、若き日、カラヤンやショルティという二人の巨匠のアシスタントを務めた。 「マエストロ・カラヤンとの3年間のユニークな経験を要約したり、説明したりするのは難しいことです。彼が妥協することなく自分自身に課していた期待、完璧な準備のための自己管理、これらは彼の周りにいるすべての人にとっても、カラヤンが設定した高い目標に達するための秘訣でした。私にとって、そのようなマエストロに選ばれたこと、支援していただいたことは大変光栄なことでした。マエストロが亡くなったのは、1989年のザルツブルク音楽祭の《仮面舞踏会》の最終リハーサルを行っていたときでした。その後に私がそのプロダクションのリハーサルをし、本公演の指揮を執ってくださったのがサー・ゲオルク・ショルティです。彼の中に、私はもう一人の“父”を見出しました。芸術的な完璧さ、作曲家や作品に対する謙虚さ、仕事に対する厳しさという面で、ヘルベルト・フォン・カラヤンとゲオルク・ショルティは結び付いています」 ウィーン国立歌劇場でドミンゴをタイトルロールに迎えた《シモン・ボッカネグラ》を指揮した翌日に、この15周年ガラのために日本へ発つというオーギャン。オペラを熟知したマエストロとの夢のような祝宴まで、あとわずかだ。91Information東京・春・音楽祭2019 The 15th Anniversary Gala Concert指揮:フィリップ・オーギャン ソプラノ:ミーガン・ミラー メゾソプラノ:エリーザベト・クールマン テノール:ペーター・ザイフェルトバリトン:ジョン・ルンドグレン バス:アイン・アンガー 管弦楽:読売日本交響楽団4/12(金)18:30 東京文化会館問 東京・春・音楽祭チケットサービス03-6743-1398 http://www.tokyo-harusai.com/Prole仏ニース生まれ。世界中の名門歌劇場やオーケストラに招かれ、華々しいキャリアを築いている。ウィーンとフィレンツェで指揮を学び、1989年までヘルベルト・フォン・カラヤンのアシスタント指揮者・音楽アシスタントを務め、その後サー・ゲオルク・ショルティのアシスタント指揮者も務めた。これまでに、メトロポリタン歌劇場《影のない女》、ウィーン国立歌劇場《死の都》、ベルリン・ドイツ・オペラ《さまよえるオランダ人》、ミラノ・スカラ座《ドン・ジョヴァンニ》、東京・新国立劇場《タンホイザー》、ザルツブルク音楽祭《フィデリオ》等を指揮。2002年フランス共和国の名誉領事に任命。05年ドイツ連邦共和国功労勲章十字章を受章。アイン・アンガーエリーザベト・クールマン ©Julia Weselyジョン・ルンドグレン©Miklos Szaboペーター・ザイフェルト

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