eぶらあぼ 2019.3月号
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84第10回 ショパン・フェスティバル2019 in 表参道アニバーサリーイヤーを彩る多様なショパン、そして日本の作品文:伊藤制子5/27(月)~6/1(土) ランチタイムコンサート12:00 イブニングコンサート18:30カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」 3/1(金)発売問 日本ショパン協会03-6718-4239/カワイ音楽振興会03-6718-4199http://chopin-society-japan.com/ 2019年は日本とポーランドの国交樹立100周年となる。ポーランドの国民的作曲家ショパンを中心としたリサイタルを軸に、両国作曲家の小品の紹介、そしてショパンに関するレクチャーまで、多彩な内容を盛り込んだ「ショパン・フェスティバル2019 in 表参道」が5月27日から6月1日まで開催される。「ランチタイム」と「イブニング」で毎日計2公演が行われるが、その幅広いラインナップには目を見張る。 昼公演には音大在学生など今後が期待される若手のほか、特別ゲストとして16年ポーランド全国ショパンコンクールの覇者カミル・パホレツが登場する(6/1)。そして夜公演には日本を代表するピアニストたちが華麗な饗宴を繰り広げる。ベテランの田崎悦子のリサイタルでは、ショパンと池辺晋一郎作品などが選曲された(5/27)。アンサンブル・ピアニストとしても活躍中の須関裕子がパデレフスキ、三瀬和朗などを組み合わせた演奏を予定している(5/29)。オーケストラ共演でも人気の外山啓介はショパンに武満徹、パデレフスキ、バッハを加えたプログラムを組んだ(5/30)。現在、ショパンをより深く理解するには、当時の楽器を知り、演奏に活かしていくことが必要になってくる。昨年ポーランドで開催されたショパン国際ピリオド楽器コンクールで第2位に輝いた川口成彦が、プレイエル・ピアノで、ショパン、滝廉太郎などを弾くのも大注目だ(5/31)。ショパン・インスティテュート所長のアルトゥル・シュクレネルによる講演では、汎世界的なショパンの芸術とポーランド的特性について興味深い話を聞けることだろう(6/1)。須関裕子 ©Sho Yamadaデューク・エリントン生誕120周年記念 「エリントンDE行こう」新たなアレンジで浮き彫りになるエリントンの魅力文:藤本史昭3/5(火)19:00 渋谷区文化総合センター大和田さくらホール問 渋谷区文化総合センター大和田 ホール事務室03-3464-3252https://www.shibu-cul.jp/ まごうかたなき日本ジャズ・シーンの重鎮であるのに、“ジャズ”という枠で括ってしまうことがなんとなくためらわれてしまうのは、この人のスタンスがあまりにも自在で軽やかで柔軟だからだろうか。渋谷毅。東京藝大作曲科在学中の1960年代初頭から現在にいたるまで、ジャズ、歌謡曲、映画、CM、童謡等々多岐にわたるジャンルで活躍し続けるピアニスト/作編曲家/バンドリーダーである。 そんな渋谷が、敬愛してやまないデューク・エリントンの生誕120周年を記念したコンサート「エリントンDE行こう」をおこなう。過去にもエリントン楽団のレパートリーを演奏するユニット「エッセンシャル・エリントン」を結成し、3枚のアルバムを残している彼だが、その傾倒ぶりは年を追うごとにますます深くなっているようで、今や「もうエリントンしか聴かない!」と宣言するほど。今回は長年にわたって彼と活動を共にしてきたミュージシャンたちを率いて〈A列車で行こう〉や〈キャラバン〉〈ソフィスティケイテッド・レディ〉など名曲の数々を自ら編曲し、コンサートの副題にもなっている「21世紀のエリントン・ミュージック」を披露する。 ジャズの歴史上最大の重要人物の一人であるにもかかわらず、ジャズ・ファンですら近づくのを尻込みしてしまいがちなエリントン。このコンサートは、そんなジャズ・ジャイアントの音楽を解き明かし、その魅力をエッセンシャルに示してくれるに違いない。渋谷 毅デューク・エリントン外山啓介 ©Yuji Hori川口成彦 ©Fumitaka Saitoアルトゥル・シュクレネル田崎悦子 ©N.G.Lowrance
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