eぶらあぼ 2019.3月号
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773/21(木・祝)14:00 フィリアホール問 フィリアホールチケットセンター045-982-9999 http://www.gregorio.jp/qc/古典四重奏団 第3回 音楽が見える! in 青葉台 「モーツァルトは一日にして成らず~その3」「ハイドン・セット」のルーツは何処に!?文:寺西 肇©F.Fujimoto 「クラシックなんて難解なだけ。ましてや、カルテットなんて…」。そんな思い込みを根底から覆すのが、名人集団・古典四重奏団のレクチャー付きコンサート「音楽が見える!」。チェロの田崎瑞博は分かり易い言葉で作品の真髄に踏み込み、4人による実演を交えながら、魔法のように聴く者を夢中にさせる。 「モーツァルトは一日にして成らず」と題し、その弦楽四重奏曲の魅力を掘り下げるシリーズ第3弾のレクチャーのテーマは、「本当の意味での“パパ”は、レオポルドかハイドンか」。名作群の源泉が、音楽の師でもある父レオポルドか、それとも、モーツァルトに大きな影響を与え、弦楽四重奏を完成させたハイドンにあるのかを検証する。 そして、30歳を目前にしたモーツァルトが、「弦楽四重奏」を成熟へと導き、偉大なる先人に捧げた「ハイドン四重奏曲集」から、先鋭的な和声遣いを特徴としつつも、演奏機会の少ない「変ホ長調 K.428」を披露。さらに、ハイドン晩年の傑作「エルデーディ四重奏曲集」から「ト長調 op.76-1」の、爽やかな風合いも愉しむ。3/25(月)19:00 紀尾井ホール問 国際芸術連盟03-3356-4033 https://yoko-maria.com/Yoko Maria ソプラノリサイタル日本-フィンランド外交関係樹立100周年記念に寄せてアニバーサリーを美しい歌で祝う文:東端哲也 東京音大・同大学院を経てフィンランドのヘルシンキに5年間留学。同国の永住市民権も取得してロシアやドイツでも学び、帰国後はフィンランド歌曲を軸に幅広い活動を展開しているソプラノ、Yoko Maria(マリアヨーコ)。2017年にはフィンランドの独立記念100周年を祝うチャリティ・リサイタルでも好評を博した彼女が、今年3月に同じ紀尾井ホールで、日本と同国の外交関係樹立100周年記念のリサイタルを開催。シベリウスの交響詩「フィンランディア」の一部を編曲した〈平和の賛歌〉のほか、シベリウスに師事した後でパリに留学してエコール・セザール・フランクに学び、1918年のフィンランド内戦で非業の死を遂げたトイヴォ・クーラの残した知られざる歌曲なども目玉だが、米国カーネギーホールで何度も単独リサイタルを開いている彼女らしいディズニー映画からのナンバーも楽しみ。日本のポップス・ヒット〈恋におちて Fall in love〉(小林明子)のカヴァーも必聴。3/10(日)14:00 王子ホール問 アスペン03-5467-0081http://www.aspen.jp/デュオ ハヤシ リサイタル結成45周年! 熟成のソナタを聴こう文:笹田和人 長い期間にわたり、これほど高い質を保つのに、どれほどの真摯な努力が重ねられてきたことか。夫婦ならではの息の合ったプレイで、室内楽の魅力を伝え続ける、チェロの林俊昭とピアノの林由香子による「デュオ ハヤシ」。日本で初の本格的デュオとして活動を開始してから、今年で45周年の節目を迎えた。 記念リサイタルは、「時間をかけて培ってきた」と2人の自信みなぎる、ベートーヴェン後期の傑作「チェロとピアノのためのソナタ第4、5番」をメインに。18歳の若きリヒャルト・シュトラウスによる、鮮烈な魅力に満ちた野心作「ソナタ ヘ長調」と、メンデルスゾーンの「無言歌」が併せて披露される。 共に桐朋学園大に学び、1973年にデュオ活動を開始。渡欧して、ウィリアム・プリースら大家の指導を仰ぎ、イタリアを中心に60余回のステージを重ね、数々の登竜門でも実績を残した。帰国後は演奏活動の一方、マスタークラスやイタリアでのコンクール開催など、後進の指導にも尽力。2人が奏でる第1主題は、「室内楽の未来」なのかもしれない。
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