eぶらあぼ 2019.3月号
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66Quartet Plus ウェールズ弦楽四重奏団 + 佐々木 亮 & 横坂 源 & 池松 宏7人の奏者たちが起こす名演のケミストリー文:宮本 明3/15(金)19:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp/ 通常4人で活動している弦楽四重奏団がゲスト奏者を迎えて引き起こす化学反応が楽しみな紀尾井ホールの「クァルテット・プラス」。3月の公演には、現在の日本を代表する凄腕クァルテットのひとつ、ウェールズ弦楽四重奏団(ヴァイオリン:﨑谷直人、三原久遠、ヴィオラ:横溝耕一、チェロ:富岡廉太郎)が2年ぶりに再登場する。 今回の「プラス」は3人。彼らが「もっとも尊敬するヴィオラ奏者」と信頼する佐々木亮。チェロの横坂源は﨑谷、横溝、富岡の高校時代からの仲間だが、これが初共演なのだそう。そしてもう一人、彼らが「スーパー・コントラバシスト」と崇める池松宏と2014年の東京・春・音楽祭でも共演していたのが、今回7人で演奏する、R.シュトラウス「メタモルフォーゼン」七重奏版だ。23の独奏弦楽器のための作品として知られるが、1990年に発見された、作曲者自身の七重奏用のショート・スコア(コンデンス・スコア)を元に再構成した版(ルドルフ・レオポルド編曲)。規模を縮小して書き直したのではなく、こちらが当初の構想だったと考えられている。登場するすべての旋律が、ベートーヴェン「英雄」の葬送行進曲の変容だったことが最後に明かされるが、今回のプログラム全体も、4人で演奏するベートーヴェンの弦楽四重奏曲第5番(第3楽章が変奏曲形式)、リゲティの弦楽四重奏曲第1番「夜の変容」とともに、「変奏」「変容」をテーマに大きな連環を形作る。いかした関連付けと選曲!ウェールズ弦楽四重奏団 ©Satoshi Oono東日本大震災 復興支援 チャリティコンサート ~クラシック・エイドVol.9~未来のために音楽で寄り添い、そして支える文:東端哲也3/9(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 https://www.japanarts.co.jp/ 「真の芸術にふれた感動は、人々に生きる力を与えてくれる」という信念のもと、東日本大震災以降に毎年チャリティコンサートを開催し、収益金の一部と会場で集めた募金を、被災した子どもたちなどの支援として寄付を続けているジャパン・アーツとその所属アーティストたち。今年も若手からベテランまで、人気演奏家が東京オペラシティのステージに集結する。 多彩な組合せで豪華な共演がいくつも繰り広げられるのも本公演の魅力だ。例えば前半では、昨年デビュー20周年を迎えてますます評価高まるヴァイオリニスト・米元響子と、若手チェリストの中でもとりわけ注目を集める才媛・上村文乃によるヘンデル/ハルヴォルセン「パッサカリア」。後半ではその二人に、2017年クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝で一躍世界の注目を集めたピアニスト・藤田真央を加えてのピアソラ「ブエノスアイレスの春」をはじめ、「左手のピアニスト」舘野泉と仲道郁代によるパブロ・エスカンデの三手連弾曲、安藤赴美子(ソプラノ)と林美智子(メゾソプラノ)による《蝶々夫人》の明るい“花の二重唱”など。他にも千住真理子のヴァイオリンと丸山滋のピアノとで奏でる日本歌曲など楽しみは盛り沢山。また、数多の合唱コンクールで入賞を重ねている福島県立福島東高等学校合唱団も出演し、中島みゆきの名曲〈糸〉などを披露。同合唱団に西村悟(テノール)を加えた〈花は咲く〉も必聴だ。横坂 源池松 宏 ©ヒダキトモコ佐々木 亮 ©Taisuke Yoshida左上より:千住真理子 ©Kiyotaka Saito(SCOPE)/米元響子/上村文乃 ©K.Miura/安藤赴美子 ©Shingo Azumaya/林 美智子 ©Toru Hiraiwa/西村 悟 ©Yoshinobu Fukaya(aura)/舘野 泉 ©武藤 章/仲道郁代 ©Kiyotaka Saito(SCOPE)/藤田真央 ©Shigeto Imura
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