eぶらあぼ 2019.3月号
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64©Hideki Shiozawa伊藤悠貴 チェロ・リサイタル 3/29(金)19:00 紀尾井ホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 https://www.japanarts.co.jp/伊藤悠貴(チェロ)ラフマニノフの音楽の中に自分自身を感じます取材・文:柴田克彦Interview 伊藤悠貴は、日本人離れしたチェリストだ。1989年に生まれ、15歳からロンドンで暮らす彼は、英国王立音楽大学を首席で卒業し、2010年ブラームス国際コンクールで優勝。11年にフィルハーモニア管の定期でデビュー後は内外で活躍し、指揮活動も行っている。今年2月5日には、第17回 齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞した。 3月には紀尾井ホールで、本邦初の「オール・ラフマニノフ・チェロ・リサイタル」を行う。これは18年6月、ロンドンの殿堂ウィグモア・ホールへのデビュー時に弾いたプログラムだ。 「チェロでのオール・ラフマニノフはウィグモアでも史上初。作曲家本人が演奏したホールで、彼が書いた年と同じ28歳時にチェロ・ソナタを弾くなど、記憶に残るコンサートになりました。そこでぜひ日本でもやってほしいとの声をいただき、今回実現しました」 彼のラフマニノフ愛は半端ではない。 「10歳の時に聴いたチェロ・ソナタがあまりに衝撃的で…。ラフマニノフの音楽は自分自身を表現できますし、弾いていると自分が書いたのではないかと思うくらい。今は様々な知識も得て、全作品を把握しています」 その上で「熟考した」内容は、チェロ曲に加えて「大好きな」作品3のピアノ曲や6曲の歌曲などバラエティに富んでいる。 「1918年にアメリカに移るまでの作品の中から、初期と中期と後期の楽曲を選び、ロシア時代の作風の変遷を聴いていただきたいと考えました。特に最後の歌曲集の中の作品38-5『夢』は今回の紀尾井ホール公演のために加えた曲。これによって、若い時の作品4から、有名な作品21を経て、作品38に至る歌曲の流れができました。チェロは歌う楽器であり、ラフマニノフは歌の作曲家。歌あってこそのピアノや管弦楽曲だと思っていますから、チェロに合う歌曲を厳選し、『朝』の次に『夜』など順番も熟慮しました」 ピアノ曲2曲と全歌曲は伊藤自身の編曲だ。 「歌曲は、音域を変える、ピアノのフレーズも一部移行させる、ピッツィカートほか様々な奏法を織り交ぜるなど、チェロとピアノでこそ可能な表現を心がけて編曲しました」 後半は、名作チェロ・ソナタだ。 「『生まれ変わったらこの曲になりたい』と思うくらい好きです。これまでにたくさん弾いてきましたが、あまりに素晴らしいので毎回感動します。また私の先生の一人がラフマニノフの親友のチェリスト、ブランドゥコフ(ソナタを献呈された)の孫弟子で、本人の思いや裏話を聞けたことも大きいですね」 今回のピアノは初共演の藤田真央。「とにかく音が綺麗で、ラフマニノフは絶対にいいと思う」と期待を寄せる。 「もう1つのライフワーク」というイギリスのチェロ作品やCDのことなど話題は尽きない伊藤。話を聞けば聞くほど、今度のリサイタルが楽しみになってくる。ヨルゲン・ファン・ライエン(トロンボーン) スペシャルライブ名手の比類なきパフォーマンスを体験するチャンス文:笹田和人 鮮烈で多様な色彩を纏った表現力。そして、圧倒的なる技巧。トロンボーンとは、これほどに魅力的で、心を打つ楽器だったのか。驚きと衝撃を、世界中の聴衆に与えているのが、オランダの名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席奏者、ヨルゲン・ファン・ライエンだ。 ソリストとしても、BBC交響楽団など、各国の第一線楽団と共演を重ねる名手。トゥーロン、ゲブウィラーと2大国際トロンボーン・コンクールを制し、ロッテルダム・フィル首席を経て、コンセルトヘボウ管へ。フィンランドの巨3/16(土)16:00 滝野川会館問 プロアルテムジケ03-3943-6677https://www.proarte.jp/©Marco Borggreve匠カレヴィ・アホをはじめ、その音色に魅せられた多くの作曲家が、彼のために作品を書いている。 今回は、マルチェッロ「オーボエ協奏曲」などバロックから、ストラヴィンスキー、ファリャ、リゲティ、ペルトなど近現代、そして、ピアソラのタンゴまで、山本麻紀のピアノを伴って。さらに、東京トロンボーン・オーケストラとの共演で、現代ドイツのF.M.マイアーがライエンに捧げた佳品「スリップストリーム」が披露される。また、3月10日から15日に彼が講師を務めるアカデミーも開催。
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