eぶらあぼ 2019.3月号
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52©ヒダキトモコ「楽器の謎! 20」 スペシャル・コンサート3/9(土)14:30 たましんRISURUホール(立川市市民会館)問 たましんRISURUホール042-526-1311 https://risuru.hall-info.jp/徳永二男(ヴァイオリン)楽器の謎を一流アーティストと共に解き明かす取材・文:伊熊よし子Interview ヴァイオリニストの徳永二男が演奏とナビゲーターを務める「楽器の謎!」が第20回を迎え、スペシャル・コンサートを行うことになった。これは2014年秋にスタートし、楽器の歴史や特性、その秘密などを演奏とトークで解き明かしていく貴重なコンサート。3月9日にたましんRISURUホール(立川市市民会館)で行われるコンサートは、立川市地域文化振興財団の設立30周年にもあたり、約3時間の豪華バージョンとなる。 「年に4回のペースで開催し、これまで弦楽器、管楽器、鍵盤楽器などさまざまな楽器を取り上げてきました。私が冒頭の10分くらいでその回の楽器の説明をし、ゲストと一緒に演奏を行い、ゲストが自身の楽器の色々なことを話すスタイル。みなさん、自分の楽器に関してはとてもていねいに、ことばを尽くして話してくれますので、客席と一体となり楽しい雰囲気のコンサートが生まれます」 こう語る徳永は、毎回多くのことを調べ、事前にハガキで質問も受け付けている。 「いまはネットで何でも調べられる時代ですが、やはりゲストの演奏家からその楽器がいかに変遷してきたか、どんな形状で、どのように実際の音を出すのか、大きな楽器の場合、持ち運びはどうするかなど、演奏をしながら話してもらうと、興味が深まるようです」 以前、中学生から「どのように音楽を表現するのですか?」という質問があった。 「そのときは楽譜に忠実に演奏することの大切さ、楽譜の読み方などを料理にたとえ、調理から盛り付けまでの過程を例にとりながら説明しました。みなさんとても熱心で、いろんなことを調べ、会場ではメモを取っている人も多いんですよ。私も多くのことを勉強をしています。『箏』(片岡リサ)のときは知らないことが多く、一緒にパガニーニの『カンタービレ』を演奏したのですが、これまでとはまったく異なる色合いが生まれ、新たな発見がありました」 声楽(中嶋彰子)のときは呼吸法の話となり、聴衆全員が立って腹式呼吸の方法を学び、“からだが楽器”という声楽家の真意を伝授された。 今回は3部構成で、これまで登場した福田進一(ギター)、曽根麻矢子(チェンバロ)、古川展生(チェロ)、中嶋彰子(ソプラノ)ら多数のゲストが集まる。 「ソロ、デュオ、室内楽、コンチェルトと多彩な曲目を披露し、私もソロとオーケストラの中で演奏します。今後もまだ取り上げていない楽器で続けるつもりです」 このシリーズは、知識欲が満たされ、実力派の演奏も聴くことができるので常に満員。第21回以降も楽しみだ。第483回 日経ミューズサロン アムステル・カルテット“世界で最もカラフル”なサクソフォン・グループの魅力を文:笹田和人 クラシック、ポップス、ジャズ、ワールド・ミュージック、果ては最新のミニマル・サウンドまで。「カメレオンのよう」と形容される変幻自在なサウンドで、聴衆を虜にするのが、オランダのサクソフォン四重奏団「アムステル・カルテット」。伝統にとらわれぬ、しなやかな音楽創りこそ、サクソフォンという楽器の真骨頂だ。 自分たちのために作曲・編曲された多彩なレパートリーを携えての、国際的な活動を通じて、「世界で最もカラフル」と称される4人のプレイ。日経ミューズサロンでのステージでは、まず、ワーグナー《ニーベルングの指環》4/18(木)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227http://www.nikkei-hall.com/をはじめ、フランク、ブラームス、チャイコフスキーのオーケストラ・サウンドを独創的に“再構築”。 さらに、映画『ミッション』からモリコーネ「ガブリエルのオーボエ」など、銀幕を彩った名旋律の数々も。現代を代表する名奏者アルノ・ボーンカンプのもと、アムステルダム音楽院で学んだ俊英たちにより、1997年に結成され、数々の受賞にも輝く精鋭集団。「これでもか」と言うほどに深遠な、彼らの音の宇宙を覗き見てみたい。
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