eぶらあぼ 2019.3月号
53/211

50清水和音 × バッティストーニ「ピアノ・コンチェルト 名曲選」パワーが炸裂する名手たちの豪華共演!文:長井進之介4/7(日)14:00 サントリーホール問 サンライズプロモーション東京0570-00-3337 https://sunrisetokyo.com/ 美しい音色と超絶技巧を持ち合わせた熟練のピアニストと、若手の注目指揮者の熱い共演がサントリーホールでふたたび実現する。ピアニストは清水和音。1981年、20歳にしてパリのロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門優勝、あわせてリサイタル賞を受賞して以来、国際的なピアニストとして第一線で活躍を続ける日本を代表するピアニストのひとりだ。指揮者はアンドレア・バッティストーニ。87年生まれの彼は、2013年からはジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ歌劇場の首席客演指揮者を務め、16年10月からは東京フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者にも就任。情熱的で、柔軟な音楽性に磨きをかけながらスター街道を駆け上がっている。 そんな二人がショパンの「ピアノ協奏曲第1番」にラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」、そしてガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」を共演、実に3年ぶりの“再会”を果たす。二人の共演は三度目。初共演は14年で、次は清水がデビュー35周年の16年で、曲はブラームスのピアノ協奏曲2曲(!)だった。今回のプログラム、ショパンは清水が実に四半世紀ぶりに演奏する作品。ガーシュウィンは清水、バッティストーニが初共演したときの作品ということもあり、注目せずにはいられない。今回の豪華共演を支えるオーケストラは、当然東京フィルハーモニー交響楽団。色彩豊かな音色、歌心に溢れた表現で、タイプの違う協奏曲を華やかに彩ってくれることであろう。アンドレア・バッティストーニ ©Takafumi Uenoシルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団“旅立ち”のプログラムで9年間の集大成文:飯尾洋一 この3月、シルヴァン・カンブルランが9年間にわたり務めた読響常任指揮者を退任する。このコンビがこれまでに聴かせてくれた名演は数知れず。名残惜しい限りだ。第620回名曲シリーズと第110回みなとみらいホリデー名曲シリーズでは、イベールとドビュッシーのフランス音楽プログラムで有終の美を飾る。 イベールの代表作といえば、まずは出世作となった「寄港地」。海軍士官として従軍した経験を持つイベールが、地中海地方への旅をカラフルな管弦楽曲として描く。カンブルランと読響コンビならではの精緻で色彩的なアンサンブルを楽しむことができるだろう。 そしてイベールのもうひとつの代表作はフルート協奏曲。神戸国際フルートコンクールで第1位を獲得し、フランクフルト歌劇場管弦楽団首席奏者としても活躍する名手サラ・ルヴィオンがソロを務める。大学では数学と物理学も学んだという才媛である。 ドビュッシーの「前奏曲集」といえばピアノ独奏用の名曲として知られるが、ここから5曲を選んでオーケストラ用に編曲したのがドイツの作曲家・指揮者のハンス・ツェンダー。原曲の骨格をそのまま残しつつ、モノトーンの世界を色鮮やかに生まれ変わらせる。そして、締めくくりはドビュッシーの代表作である交響詩「海」。光と影、風と波に彩られる大海原が描かれる。 「寄港地」ではじまり「海」で終わる。これは船による旅立ちのプログラムとでもいうべきか。サラ・ルヴィオン ©Christine Schneider清水和音©K.Miura第620回 名曲シリーズ 3/7(木)19:00 サントリーホール第110回 みなとみらいホリデー名曲シリーズ3/9(土)14:00 横浜みなとみらいホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp/シルヴァン・カンブルラン

元のページ  ../index.html#53

このブックを見る