eぶらあぼ 2019.3月号
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178CDCDCDCDドビュッシーとパリの詩人たち/青柳いづみこ&高橋悠治ラヴェル:ピアノ協奏曲/酒井有彩ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ/石上真由子モーツァルト:ファゴット協奏曲&交響曲第29番 他/ウィーン・クラシックスドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(高橋悠治によるピアノ連弾版)、ステファヌ・マラルメの3つの詩、小組曲、亜麻色の髪の乙女、ビリティスの3つの歌、6つの古代碑銘青柳いづみこ 高橋悠治(以上ピアノ)盛田麻央(ソプラノ)ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調、水の戯れ、ソナチネ/ショパン:3つの華麗なる大円舞曲 op.34/クライスラー(ラフマニノフ編):愛の悲しみ、愛の喜び/サン=サーンス(ゴドフスキー編):白鳥酒井有彩(ピアノ)飯森範親(指揮)日本センチュリー交響楽団ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ/ラヴェル:ハバネラ形式のヴォカリーズ/ラフマニノフ:ヴォカリーズ/幸田延:ヴァイオリン・ソナタ ニ短調石上真由子(ヴァイオリン)船橋美穂(ピアノ)モーツァルト:交響曲第1番・第29番、ヴァイオリン協奏曲第4番、ファゴット協奏曲ウィーン・クラシックスミヒャエル・ウェルバ(指揮/ファゴット)ダニエル・フロシャウアー(ヴァイオリン)コジマ録音ALCD-7226 ¥2800+税オクタヴィア・レコードOVCT-00161 ¥3000+税日本コロムビアCOCQ-85448 ¥2000+税マイスター・ミュージックMM-4050 ¥3000+税日本を代表するドビュッシー研究家・ピアニストである青柳いづみこによる本ディスクは、ドビュッシーの「印象派」というイメージをくつがえす重要なものとなっている。ドビュッシーは象徴派や高踏派の詩人と親交を結び、影響を受けた楽曲を数多く残した。詩と密接に結びついた音楽が青柳と高橋悠治との連弾や青柳と盛田麻央のデュオによって紡がれていく。特に歌曲はドビュッシーが若い頃から熱心に取り組んだジャンルであり、彼の本質が存分に表れている。美しくも毒をはらんだこれらの作品を繊細に、かつ劇的に聴かせてくれる盛田の歌唱が特に魅力的だ。 (長井進之介)幼少期より数々のコンクールで華やかな成績を残し、パリおよびベルリンで長年研鑽を積んだ実力派のピアニスト、酒井有彩のファーストCD。推進力に溢れるラヴェルのピアノ協奏曲(飯森範親指揮、日本センチュリー交響楽団)をアルバム冒頭に据え、独奏曲としてショパン、ラヴェル、クライスラー(ラフマニノフ編)、サン=サーンス(ゴドフスキー編)の作品を並べ、絶妙な拍節感や精彩なタッチのコントロールにより、生き生きと音楽の喜びを伝える。テクニックのみならず、「音楽作り」のリッチな土台を感じさせてくれる、美しい新星に出会える一枚だ。 (飯田有抄)聴くときは万全の態勢を整えてから再生ボタンを押してほしい。ヤナーチェクの第一音の衝撃。大胆。しかし不敵ではなく真摯。奏者が完全に作品を自分の中に消化して、それを表現しきる濃密な音色、高い技術、そして熱き魂を持っていることが一瞬で明らかになる。果たして、全曲を聴くほどにその印象は強まっていく。当盤は新進気鋭のアーティストを世に送り出す新レーベル「Opus One」の第1弾に抜擢された、ヴァイオリニスト石上真由子の驚くべきファーストアルバム。医師免許も持つ異才だが、経歴は後回しでいい。今はただ聴いて、無二の才能に出会えた幸運に感謝するばかり。(林 昌英)そのサウンドに、私たち日本人が郷愁を覚えるのは、なぜなのだろう。ウィーン・フィルの大ベテラン・ファゴット奏者のミヒャエル・ウェルバが、10人の若き弦楽奏者をはじめ、同僚たちと結成したアンサンブル「ウィーン・クラシックス」。ウェルバの“吹き振り”で収録されたモーツァルト作品集は、弦楽器の細やかなヴィブラート遣いやウィーン・スタイルの管楽器の独特の音色が際立つなど、小編成ならではの滋味に溢れている。まさにウィーン・フィル・サウンドのエッセンスで、“音楽の街”の伝統そのものと言えよう。2009年に発表された、日墺交流140周年記念盤の新リマスタリング。(笹田和人)
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