eぶらあぼ 2019.2月号
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384/6(土)17:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp/望月哲也 シューベルト三大歌曲シリーズ vol.3 「白鳥の歌」ギター伴奏で深まるシューベルトの詩情文:宮本 明松尾俊介 ひと声聴いただけでため息が出る美しい声。現代を代表するリリック・テノール望月哲也がギター伴奏でシューベルトの三大歌曲を歌うシリーズも、「冬の旅」「美しき水車小屋の娘」と続き、いよいよ最終回の「白鳥の歌」だ。ギター伴奏による「白鳥の歌」の全曲演奏はほかに前例がないという。望月とともにそれに挑むのは、パリ音楽院で学び数々の国際コンクールの入賞歴を持つギタリスト松尾俊介。ギターの繊細なサウンドは、たとえばピアノに比べて、声の色や歌の表現の幅をいっそう自由に広げてくれるはず。それはまさにシューベルトの世界。もとより、美しい声に任せて心地よい抒情に溺れるのではなく、詩と音楽の深層をえぐる、彫りの深い歌を聴かせる望月のこと。「白鳥の歌」でいえば、第8曲〈アトラス〉の苦悩や絶望の表現は、まるでオーケストラのような劇的な伴奏をギターでどう描くのかという期待とともに、大きな聴きどころとなるだろう。注目の公演。2/15(金)19:00 Hakuju Hall問 コンサートイマジン03-3235-3777http://www.concert.co.jp/佐藤采あやか香 ユーフォニアム・リサイタル吹奏楽界に麗しき新星登場!文:笹田和人 吹奏楽の経験者以外には、あまり知名度のなかった金管楽器「ユーフォニアム」だが、今や、コミックやアニメ化もされた大ヒット小説『響け! ユーフォニアム』効果で、この楽器への関心が高まっている。しかし、温かで柔らかな、魅力的な音色を実際に聴いた経験のない人は、まだまだ多いのではないか。 佐藤采香は、吹奏楽奏者にとっての世界最高峰とされる登竜門、フィンランド・リエクサ国際コンクールのユーフォニアム部門で、日本人として、そして女性としても初の優勝を遂げた若き名手。香川県高松市出身で、8歳から楽器を手にした彼女は、それまでにも国内外の登竜門で実績を重ねて、国際的にも注目されていた。 昨年末に発表したデビュー・アルバムで、タイトルに冠した久保哲朗「Beans」をはじめ、イギリスのヨーゼフ・ホロヴィッツ(1926~)の協奏曲など、ユーフォニアムのためのオリジナル作品から、ラヴェル「ハバネラ形式の小品」など編曲まで。美しい音色だけでなく、豊かな表現力など、ユーフォニアムの多層的な魅力を、ぜひ体感してほしい。ピアノは清水初海。望月哲也 ©Kohei Take3/2(土)15:00 めぐろパーシモンホール問 めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904 http://www.persimmon.or.jp/フレッシュ名曲コンサート 読響 × カーチュン・ウォン(指揮) × 藤田真央(ピアノ)世界が注目する若き才能2人が新風を吹き込む文:飯尾洋一藤田真央©井村重人 2017年にクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝して注目を集める藤田真央と、16年にグスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで優勝したシンガポール出身のカーチュン・ウォン。世界が注目するふたりの気鋭がめぐろパーシモンホールで読売日本交響楽団と共演する。 プログラムはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番と、ムソルグスキー(ラヴェル編曲)の組曲「展覧会の絵」。ラフマニノフ作品は、藤田真央が16年の浜松国際ピアノアカデミーコンクール本選で演奏して1位を獲得した曲であり、藤田にとって「中村紘子先生にご指導いただいた大切な作品」だという。そこからの3年間でさらなる成長を遂げたであろう藤田の今はいかに。一方、カーチュン・ウォンは早くも18年からニュルンベルク交響楽団の首席指揮者に就任し、欧州でのキャリアを築き始めている。読響とはこれが初共演。オーケストラに新風を吹き込んでくれることだろう。カーチュン・ウォン ©Lavender Chang
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