eぶらあぼ 2019.2月号
165/171

162ある時は、マッキーの交響曲「ワインダーク・シー」やリードの名曲「アーデンの森のロザリンド」、真島俊夫「波の見える風景」、タノウエ「ココペリ・ダンス」で、私たち人類の起源である自然へ。また、ある時は、グレアム「メトロポリス1927」やジョン・アダムズの小品で、文明を極めた近未来の世界へ。渡邊一正指揮で臨む精鋭集団シエナの今回の定期は、人気曲と共に、時空を超えた旅へと聴衆を誘う。ありそうでなかった、でも、ぜひ体感したいコラボレーション。斬って斬られる時代劇の華・立ち回りが、角田鋼亮指揮OEKの生演奏と共に迫力いっぱいに繰り広げられる。TVドラマ『渡鬼』で知られ、多くの時代劇でも活躍する俳優、村田雄浩をゲストに、河口博昭ら殺陣の達人が『真田丸』ほか、お馴染みの時代劇テーマをバックに“真剣勝負”。後半は、『下町ロケット』出演の俳優、安田顕が厳選した映画音楽を、彼のエピソード・トークと共に。仙台出身のチェリスト丸山泰雄と、福島・いわき芸術文化交流館アリオスの共同プロデュースにより、2008年に始動したヴィルタス・クヮルテット。3年後の東日本大震災の発生からわずか7ヵ月で演奏会を実現させた東京・小金井とは、今も特別な絆で結ばれている。今回は、ショスタコーヴィチの第3番と、終楽章に「大フーガ」を置いたベートーヴェンの第13番、創意と個性を兼ね備えた2つの傑作へ対峙する。古楽から最も遠いネーミングかも。だが、そこには、「誰も聴いたことのないサウンドを創造する」との固い決意がこもる。音楽監督の渡辺祐介のもと、気鋭の若手ピリオド楽器奏者が結集、ベートーヴェンの9つの交響曲演奏を軸に始動するオルケストル・アヴァン=ギャルド。交響曲第1番とピアノ協奏曲第1番(独奏:小倉貴久子)、「プロメテウスの創造物」序曲で旗揚げ、新たな時代への扉を開く。名演奏家が、“楽器”の魅力を深く掘り下げてゆくシリーズ「楽器の秘密」。都響の首席奏者を務め、クラシックにとどまらぬ幅広いフィールドで活躍する、人気チェリストの古川展生が、前回の好評を受けて再登場する。今回は、岡本梨紗子、小林幸太郎、佐山裕樹ら俊英たちと共に、チェロ・アンサンブルで。ボッケリーニ「アダージョとアレグロ」など古典作品から、ピアソラ「リベルタンゴ」まで、多彩に披露する。クァルテット・エクセルシオは、日本で数少ない常設の弦楽四重奏団として、鮮烈かつ質の高い演奏で支持される一方、室内楽の啓蒙活動にも力を注ぐ実力派集団。今回は、ピアノの近藤嘉宏とコントラバスの髙橋洋太、我が国が誇る2人の名手が加わり、シューベルトの傑作、ピアノ五重奏曲「ます」を。さらに、ベートーヴェン「ラズモフスキー第3番」とシューベルト未完の第12番、弦楽四重奏の佳品も披露する。月の2オーケストラ・アンサンブル金沢OEK × The 殺陣第17回 小金井音楽談話室ヴィルタス・クヮルテットクァルテット・エクセルシオシューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」シエナ・ウインド・オーケストラ第47回定期 「ワインダーク・シー」楽器の秘密 第15回古川展生 チェロ・アンサンブルオルケストル・アヴァン=ギャルド 第1回公演2/3(日)14:00 石川県立音楽堂2/15(金)19:15 小金井 宮地楽器ホール(小)2/9(土)14:00 浦安音楽ホール2/9(土)15:00 文京シビックホール2/20(水)13:30 かつしかシンフォニーヒルズ2/14(木)19:00 トッパンホール文:笹田和人左より:安田 顕 ©CREATIVE OFFICE CUE/村田雄浩古川展生 ©Yuji Hori渡邊一正 ©満田 聡©Naoko Ogura

元のページ  ../index.html#165

このブックを見る