eぶらあぼ 2019.2月号
139/171

136CDCDCDCDJ.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 全曲/山崎伸子ARIA 花から花へ~オペラ・アリア名曲集/幸田浩子ブルックナー:交響曲第8番/尾高忠明&大阪フィルヘンデル:メサイア 1741年初稿(全曲)/ヘンデル・フェスティバル・ジャパンJ.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全6曲)山崎伸子(チェロ)ヴェルディ:《椿姫》~さようなら、過ぎ去った日々の美しく楽しい夢よ/プッチーニ:《ラ・ボエーム》~ええ、私はミミと呼ばれています/モーツァルト:《魔笛》~ああ、私は感じます、消えてしまったのね/香月修:《夜叉ヶ池》~百合のアリアと子守歌 他幸田浩子(ソプラノ) ラルフ・ワイケルト(指揮) チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団ブルックナー:交響曲第8番(ハース版)尾高忠明(指揮)大阪フィルハーモニー交響楽団ヘンデル:オラトリオ「メサイア」1741年初稿三澤寿喜(指揮)広瀬奈緒(ソプラノ) 波多野睦美(アルト) 辻裕久(テノール) 牧野正人(バス)キャノンズ・コンサート室内合唱団&管弦楽団収録:2008年11月、津田ホール(ライヴ) 他ナミ・レコードWWCC-7885~6(2枚組) ¥3000+税日本コロムビアCOCQ-85445 ¥3000+税収録:2018年4月、フェスティバルホール(ライヴ)フォンテックFOCD9795/6(2枚組) ¥3500+税コジマ録音ALCD-9190~9191(2枚組) ¥3400+税日本チェロ界の代表的名匠、山崎伸子が約10年にわたりその至芸を披露した「チェロ・ソナタ・シリーズ」。全10回中6回で弾かれたバッハ無伴奏のライヴ録音は、張りのある音色と力みの抜けた深い表現の両立がすばらしく、穏やかな佇まいからバッハへの熱い敬愛が滲み出る。特に各曲のサラバンドの渋い味わいは、一朝一夕には達し得ない境地だろう。また、曲順は調関係が自然な流れになる並びになっていて、録音は長期なのにアルバムとしては1回のライヴのような趣向に。ユニークかつ思考を刺激する妙手だ。なお、4曲はすでに閉館した津田ホールでの演奏で、感慨もひとしお。(林 昌英)名門ウィーン・フォルクスオーパーほか国内外の歌劇場に出演を重ね、コンサートのステージやメディアへの出演でも活躍めざましい日本屈指のソプラノ。メジャーデビュー10周年で10枚目となる記念アルバムは、長年温めてきた《椿姫》のナンバーで幕を開ける王道オペラ・アリア集。信頼厚いラルフ・ワイケルトの指揮でチェコのブルノ・フィルとの録音が実現。表情豊かで可憐な歌唱が、真摯に愛を貫くヒロインたちのドラマに生命を吹き込んでいる。特に2013年の新国立劇場・初演でも務めた《夜叉ヶ池》の百合役の儚くも美しいアリアには鬼気迫るものさえ感じられる。(東端哲也)尾高忠明の大阪フィル第3代音楽監督就任披露公演ライヴ。朝比奈隆が最も得意としたブルックナーの大作「第8番」を敢えてぶつけてきた所に尾高の意気込みと覇気が伝わってくる。冒頭楽章から大変美しい仕上がりだ。何もしていないようで、しみじみと感動させられるところは朝比奈にも通じる。その研ぎ澄まされた美感は朝比奈以上か。アダージョもとてもきれい。第1主題のハープを伴ったコラールや第2主題後半の高揚は絶品。ハース版挿入句の繊細な扱いも特筆に値する。華麗なフィナーレは再現部以降でギアが上がる。「朝比奈のDNA」を継承する超名演だ。 (横原千史)「メサイア」は1741年に完成、翌年ダブリンで初演。作曲者は再演のたび、出演者や上演空間の音響に合わせて、楽曲の入れ替えやオーケストレーションの変更、移調を行い、存命中に少なくとも8つの版を残した。ヘンデル研究の第一人者、三澤寿喜の指揮による当盤は、あえて演奏機会の少ない初演版で収録。木管楽器を用いず、器楽・声楽合わせて“40人程度”とされる小規模な編成を再現しつつも、国際的に活躍する名手たちが一丸となり、彫りの深い表現と流れの良さでダイナミックな音楽を形創り、この版ならではの魅力を浮き彫りに。テノールの辻裕久はじめソロ・合唱とも、特に声楽陣の丁寧な好演が光る。(寺西 肇)

元のページ  ../index.html#139

このブックを見る