eぶらあぼ 2019.2月号
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134CDCDCDCDバーンスタイン:交響曲第3番「カディッシュ」他/佐渡裕&トーンキュンストラー管ヴィブラ=エルーファ 上野信一 ヴィブラフォンリサイタルウェニャン:ラプソディ/田端直美Souvenirs―フランス作品集―/岡田奏バーンスタイン:交響曲第3番「カディッシュ」、「独奏ヴァイオリン、ハープ、打楽器と弦楽のためのセレナード」佐渡裕(指揮)、庄司紗矢香(ヴァイオリン)、キャロリン・サンプソン(ソプラノ)、トーンキュンストラー管弦楽団、ウィーン楽友協会合唱団、ウィーン少年合唱団 他シュトックハウゼン:ヴィブラ=エルーファ/ソレール:ナイチンゲールのように歌う/中川俊郎:エヴァンタイユ(扇)/新実徳英:風のかたち/平義久:モノドラム Ⅳ/西村朗:プンダリーカ(白蓮)上野信一(ヴィブラフォン/打楽器)ウェニャン:ラプソディ/マルチェッロ:協奏曲(原曲:オーボエ協奏曲)/グラズノフ:サクソフォン協奏曲/ラヴェル:ソナチネ/ヴィラ=ロボス:ファンタジア/チマローザ:シチリアーナ田端直美(サクソフォン)白石光隆(ピアノ)ラモー:ソローニュのひな鳥/プーランク:即興曲第3番、3つのノヴェレッテ/ドビュッシー:沈める寺、喜びの島、月の光/ラヴェル:夜のガスパール、ラ・ヴァルス岡田奏(ピアノ)収録:2018年4月、ウィーン(ライヴ)エイベックス・クラシックスAVCL-25981 ¥2000+税コジマ録音ALCD-7227 ¥2800+税マイスター・ミュージックMM-4047 ¥3000+税オクタヴィア・レコードOVCT-00151 ¥3000+税佐渡裕は晩年のバーンスタインに教えを受け、エッセンスを直伝された指揮者。すでにトーンキュンストラー管とは生誕100年に向けてのトリビュート盤が出ているが、代表作というべき2作を収めた本ディスクは、アニバーサリー・イヤーを飾る本丸だ。佐渡が楽曲をよく消化しているし、オケも打てば響くように反応し、「カディッシュ」では引き締まったリズム、まとまりのよいサウンドで壮大なエンディングを導いていく。ドイツ語の語りもウィーンの聴衆の感興を深めたであろう。「セレナード」では庄司紗矢香のつややかかつ芯のある音、切れ味のよいテクニックが、佐渡のサポートを得て一層輝いている。(江藤光紀)標準的なファンならば、オーケストラ曲において音色のアクセントやリズム的強調・装飾に用いられる――いわば補助的な役割を担う楽器としてヴィブラフォンを想像するだろうか。しかし当代きっての名手・上野信一によるヴィブラフォン(及び金属打楽器)のためのソロ作品集である本CDを聴くととてもそれだけの楽器ではない。ペダル・ダンパーや異なるモーター速度を持つ2台の楽器を使い分けたり、力感漲る打ち込みやさながら竹林をゆったりと吹き抜ける涼風を思わせるような浮遊感に富んだ音など、そのニュアンス的階層は誠に多彩。まずはシュトックハウゼンと西村朗作品から聴かれたい。(藤原 聡)オオサカ・シオン・ウインドオーケストラの花形奏者の3枚目のソロCD。サクソフォンの重要レパートリーとオーボエ関連の作品を中心としたクラシカルな構成がなされている。全体に繊細かつ引き締まった格調高い演奏が展開されており、音楽的な妙味十分。大定番のグラズノフの協奏曲や現代曲ながら人気の高いウェニャン作品等のオリジナル曲では、深く多彩な表現を聴かせ、映画『ベニスの愛』で知られるマルチェッロの協奏曲等のアレンジものも、チャーミングで清新なサクソフォン作品として楽しませる。管楽器ファン以外の方も堪能できる好盤。 (柴田克彦)15歳からパリ音楽院に留学、日本とヨーロッパを拠点に活動する岡田奏。デビュー盤は、フランスで磨いた感性と技術が光るオール・フレンチ・プログラム。ラモー「ソローニュのひな鳥」では品のある優美な表現で、プーランクでは生き生きとした鮮やかな音で聴き手を引き込む。ドビュッシー「沈める寺」「月の光」や、ラヴェル「夜のガスパール」では、作品や楽章ごとに色彩や温度を変えるような巧みな表現が冴える。大胆に、自然に音楽を揺らしながら、明に暗に次々と場面を転換して奏でる終曲の「ラ・ヴァルス」で別世界に誘い、アルバムは閉じられる。強く伸びやかな音楽が魅力だ。(高坂はる香)

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