eぶらあぼ 2019.1月号
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76CD『ウェニャン:ラプソディ』マイスター・ミュージックMM-4047¥3000+税12/25(火)発売田端直美(サクソフォン)サックスと共に音楽の旅をお楽しみください取材・文:寺西 肇Interview オオサカ・シオン・ウインドオーケストラ(OSWO)のコア・メンバーで、ソリストとしても活躍する実力派サクソフォン奏者、田端直美が3枚目のソロ・アルバム『ウェニャン:ラプソディ』(マイスター・ミュージック)をリリースする。技巧的ながら豊かな歌心にも溢れたタイトル曲はじめ、多彩な時代の傑作を満載。「バロック、ロマン派、近現代と縦横無尽に駆け巡る、サックスでの音楽の旅をお楽しみいただきたい」と田端は言う。 「最近、ソロのステージで取り上げる機会が多く、お客様からの評判も非常に高い」と軸に据えたのが、現代ベルギーのアンドレ・ウェニャンの佳品。田端はソロの出だしの第一音から耳を奪い、気品ある快演を聴かせる。 「アルト・サクソフォンの魅力を、最大限に表現できる作品。最初に収録を決めました」 そして、マルチェッロのオーボエ協奏曲。ソプラノ・サックスでの演奏は、様式感がきっちりと踏まえられ、「バロック的な未知の楽器」で聴く不思議な感覚に。 「バロックが好きで、中でもお気に入りがマルチェッロ。音色はもちろん、ヴィブラートやアーティキュレーションも現代とは意識を変え、品格をもって演奏できるように心を砕きました」 さらに、最重要レパートリーであるグラズノフの協奏曲も。ピアノ伴奏版での収録は珍しいが、「奏者2人のみの演奏は自由度が高く、互いの出方次第で自在に変化できる。室内楽的に音楽を進められるのが面白い」と説明。ピアニストの白石光隆とは、デビュー盤から共演している。 「音色の美しさには、いつも感動します。楽屋トークも最高(笑)。音楽に人柄は表れるものです」 また、「ソプラノ・サックスならではの色彩感とダイナミズムが生かせた」という、ピアノ作品からの編曲のラヴェル「ソナチネ」、「ブラジルの熱気とけだるさが、自分にしっくりくる」というヴィラ=ロボス「ファンタジア」も収録。最後に「アンコール的な曲をと、昔から好きだった」というチマローザ「シチリアーナ」を添えた。 ピアノ推薦で高校に進むも、サックス専攻で東京藝大・同大学院に進み、1923年創立の名門・大阪市音楽団(現OSWO)へ。所属楽団は2013年、市の直営から一般社団法人への移行を迫られて揺れた。 「地方公演が増え、ソロ活動を控えたこともありました。でもお陰で、全体での調和と個々を活かしての表現、双方の大切さが分かりました」 後進の指導にも力を注ぎ、16年には日本クラシック音楽コンクールで優秀指導者賞を受賞。 「若い世代は、奏者も聴き手も細分化し、各々の興味へ向かっている。この傾向はより強まるでしょう」と分析する。 「心の充足感や感動体験が求められる今、私たち演奏家次第で愛好者はもっと増やせる。音楽に奉仕し、仲間と息を合わせてしか成し得ない、最高の演奏を。そして、いつかは世界で、いや宇宙で演奏する夢を叶えたいです!」2019.1/26(土)15:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650http://www.t-bunka.jp/Music Program TOKYO プラチナ・シリーズ5有田正広(フルート) & 上原彩子(ピアノ)国際的奏者2人の“フェイバリット”プログラム文:笹田和人有田正広 ©Hikaru.☆ “奇跡の音響”と絶賛される東京文化会館の小ホールで、一流演奏家の名演を愉しむ「プラチナ・シリーズ」。今回は、各時代のフルートを吹き分け、“笛の魅力”を追究する有田正広と、第12回チャイコフスキー国際コンクールを制し、国際的に活躍するピアノの上原彩子が登場、「2人で好きな曲を並べた。皆様も、ぜひご一緒に」(有田)といざなう。 古楽界を牽引すると同時に、モダン・フルートの美点も、深く掘り下げてきた有田。一方、世界の檜舞台で活躍し、近年はフォルテピアノ演奏にも積極的な上原。2年前には有田の指揮により、モーツァルトの協奏曲第17番をフォルテピアノで披露している。 今回は、フォルテピアノとフルートで「ソナタ ト長調」(K.379)と「アンダンテ ハ長調」(K.315)、そして上原のソロで「ソナタ ハ長調」(K.330)と、まずモーツァルトを。有田も無伴奏でC.P.E.バッハ「ソナタ イ短調」を演奏。さらに、モダン楽器に転じ、上原のソロでブラームス「6つの小品」より3曲、デュオでライネッケの名ソナタ「ウンディーネ」を披露する。上原彩子 ©K.Miura
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