eぶらあぼ 2019.1月号
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72金子三勇士 ©Ayako Yamamotoクラシック・ヨコハマ 生きる ~2019 New Year 若い命を支えるコンサート2019.1/14(月・祝)15:00 横浜みなとみらいホール問 神奈川芸術協会045-453-5080/毎日新聞社事業本部03-3212-0804http://yokohama.mainichi-classic.jp/前橋汀子(ヴァイオリン)& 金子三勇士(ピアノ)レジェンドと新鋭の演奏が勇気を与える取材・文:原 典子Interview 小児がんと闘う子どもたちを支援するキャンペーンの一環として、2007年から行われているクラシック・ヨコハマ『生きる~若い命を支えるコンサート』が、19年も新春の横浜で開催される。今回は、前橋汀子がメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を、金子三勇士がリストのピアノ協奏曲第1番を、それぞれ渡邊一正指揮神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演するという豪華な内容。ふたりに公演への意気込みを聞いた。 前橋「メンデルスゾーンの協奏曲は、これまで数えきれないほど演奏してきましたが、弾くたびに新たな発見があり、毎回緊張感とともに、新鮮な気持ちで臨んでいます。だんだんとオーケストラの楽器の音が細部まで聞こえるようになってきたというのが、私の中での大きな変化でしょうか。コンサートの前はいつもスコアを持ち歩いて、曲全体の構成やテンポについて勉強しています」 金子「リストの協奏曲第1番は、14年に今は亡きマエストロ、ゾルタン・コチシュの指揮で共演させていただいた思い出の曲です。僕は子どもの頃、コチシュさんのアルバムを聴いて“ピアニストになりたい!”と決意したこともあり、本当に幸せなひとときでした。マエストロからは“もっとハンガリー人らしく弾いていいよ。最初の部分に関しては、きれいな音を目指す必要はまったくない。とにかく情熱的にはじめてみてごらん”とアドバイスをいただきました。それからは、自分の中に流れるハンガリーの血を奮い立たせて弾いています」 若いときに海外へと渡り、さまざまな困難を乗り越えながら夢を叶えたふたりの演奏は、病気と闘う子どもたちに勇気を与えることだろう。 前橋「私は17歳でソビエト連邦に渡り、レニングラード音楽院(現サンクトペテルブルク音楽院)で学びました。黄金期にあったソ連の音楽界で、貴重な経験をたくさんしましたが、学生たちの日常生活は本当に厳しく、不便なものでした。練習室も満足になく、階段の踊り場やトイレの中でヴァイオリンを練習し、皆が命を懸けて切磋琢磨していた時代。けれど、その経験が今も人生の基盤になっています」 金子「僕は6歳のときに親兄弟から離れてハンガリーに渡りました。壁にぶつかったこともありましたし、リスト音楽院時代は身体を壊す一歩手前ぐらいまで勉強と練習に明け暮れた日々でした。僕が大切にしている言葉に“夢を小さく、目標を大きく”というのがあるのですが、大変なときこそ夢だけでなく、目標をしっかり持って、一歩一歩着実に歩みを進めていけたらと思います」 コンサートには、第72回全日本学生音楽コンクール全国大会の1位入賞者も出演予定。音楽界のレジェンドと新鋭、両方の演奏を味わいたい。 ジュネーヴ国際コンクール最高位、シューベルト国際ピアノコンクール優勝など、輝かしい受賞歴を誇り、ドイツを拠点に欧州で活躍を続けるピアニストの原田英代。“本物”のロシア・ピアニズムを伝える伝説的指導者、ヴィクトール・メルジャーノフの薫陶を受けた彼女はロシア音楽の正当な継承者であると同時に、ドイツ音楽にも造詣が深く、国際的な演奏活動とともに、幅広い見識を活かしたレクチャーコンサートやマスタークラスを開催している。 そんな彼女が作曲家の人間像に迫りながら作品の本質を伝えるリサイタリサイタル 2019.3/8(金)レクチャー 3/12(火)各日19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター 03-5478-8700https://www.hakujuhall.jp/©Uwe Arensルシリーズが第3回を迎える。〈変容〉をテーマとした今回はシューベルト、シューマンにラフマニノフ、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチの作品を並べ、作品の中に込められた彼らの心の葛藤や愛、死生観といったものまで浮き彫りにしていく。いままで気がつかなかった作品や作曲家との新しい出会いを体験できる貴重なリサイタルとなるはずだ。また、リサイタル数日後にはロシア文学者の亀山郁夫をゲストに迎えたレクチャー「不滅のロシア、その音楽と文学の風景」も行われるので併せて楽しみたい。原田英代 ピアノ・リサイタル 第3回〈変容〉作曲家と作品に込められた真実に迫る文:長井進之介前橋汀子 ©篠山紀信
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