eぶらあぼ 2019.1月号
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51第142回 定期演奏会 2019.2/16(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京佼成ウインドオーケストラ チケットサービス0120-692-556 http://www.tkwo.jp/大植英次(指揮) 東京佼成ウインドオーケストラ“頂き”を目指す注目のコラボ文:柴田克彦大植英次 ©飯島 隆 あの大植英次が東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)の定期演奏会に登場する! 大植は、ミネソタ管、ハノーファー北ドイツ放送フィル、バルセロナ響等のシェフを歴任し、朝比奈隆後の大阪フィルの音楽監督としても成果をあげた名匠。最近は「中学・高校吹奏楽部 公開レッスン&コンサート」も行っている。今回は、彼のエネルギッシュな指揮と情熱的な(独特の)キャラが、格調高いTKWOとのコラボでいかに発揮されるのか? が最大の注目点。思わぬ化学反応によって、これまでにない吹奏楽演奏が生まれる可能性を秘めている。プログラムは、ワーグナーの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第1幕の前奏曲(木村吉宏編)とR.シュトラウスの「アルプス交響曲」(大橋晃一編)に、A.リードの「パンチネロ」(快活な曲でこれまた大編成)が挟まれた濃厚な内容。中でもロマン派の大作を得意とする大植の「アルプス」には、スケールの大きな名演が期待される。TKWOの技量を想定してアレンジされた「アルプス」のサウンドもむろん要注目。これはオーケストラファンにも興味津々の公演だ。2019.1/11(金)14:00 19:00 Hakuju Hall問 東京コンサーツ03-3200-9755 http://www.tokyo-concerts.co.jp/青柳いづみこ(ピアノ/トーク) 未完のオペラ《アッシャー家の崩壊》エドガー・アラン・ポーの怪奇と頽廃の美を音で描いたドビュッシー文:伊藤制子 ドビュッシーの演奏・研究で高い評価を受けてきた青柳いづみこが、1月11日にドビュッシーの未完のオペラ《アッシャー家の崩壊》の試補筆版上演を行う(コンサート形式、昼夜2公演)。同オペラはエドガー・アラン・ポーの小説に基づくが、2019年はポーの生誕210年に当たる。演奏会前半はドビュッシーの歌曲「ビリティスの歌」、交響詩「海」のカプレによる6手2台ピアノ版(日本初演)などが披露される。「海」の編曲版は青柳自らパリの図書館で入手した珍しい楽譜で、森下唯、田部井剛が加わる豪華な布陣だ。後半はオペラの補筆を担当した市川景之と青柳によるプレトークののち、4人の歌手と青柳、市川のピアノによって、禁断の愛、嫉妬、そして狂気といった19世紀末的な世界が鮮やかに甦る。ロデリックの松平敬、マデリーヌの盛田麻央、医者の根岸一郎、そして友人の森田学ら近現代音楽を得意とする歌手たちが、ドビュッシーの妖艶で神秘的世界を彩ってくれるだろう。2019.1/21(月)19:00 東京文化会館(小)問 ヤタベ・ミュージック・アソシエイツ  03-3787-5106 http://y-m-a.com/ホアキン・アチュカロ ピアノ・リサイタル巨匠がいざなう味わいに満ちたアンダルシアへの旅文:笹田和人©Jean Baptiste Millot 今の世界で求められているのは、彼の指が生み出す音色かもしれない。新たな年には87歳を迎えるスペインの巨匠ピアニスト、ホアキン・アチュカロが繊細に織り上げてゆく、音のショール。たおやかな手触りと静かな情熱を伴って、私たちの心を優しく包み込み、温めてくれるだろう。 バスクのビルバオ生まれ。1959年にリヴァプール国際コンクールを制して以降、ベルリン・フィルをはじめ、世界中の名門楽団と共演を重ねるなど、第一線で国際的に活躍する。80歳を越えてなお、精力的に活動を続けるのみならず、その音楽性はいっそう深化。サイモン・ラトルは「こんな音を引き出せる音楽家は、滅多にいない」と絶賛する。 今回のリサイタルでは、まず、ショパン「24の前奏曲」全曲を披露。そして、“アラウンド・グラナダ”と題し、「アンダルシア幻想曲」ほかファリャや、アルベニス「グラナダ」とスペインの作曲家による作品に、「グラナダの夕べ」などドビュッシーを交えて。濃密かつ独特の雰囲気を湛えたアンダルシアへの旅へと、聴衆をいざなう。

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