eぶらあぼ 2019.1月号
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48©Yuji Hori及川浩治 ピアノ・リサイタル「名曲の花束」2019.2/23(土)14:00 サントリーホール問 チケットスペース03-3234-9999 http://www.ints.co.jp/※全国公演については右記のウェブサイトでご確認ください。 http://www.koji-oikawa.com/及川浩治(ピアノ)珠玉のメロディ満載、ピアノのベストセレクション・コンサート取材・文:飯田有抄Interview注目は「幻想曲とフーガ」と「ペトルーシュカ」 前回の及川浩治のピアノ・リサイタル「名曲の花束」は、絶賛の嵐を巻き起こした。「夢中で聴き入った」「好きな曲がいっぱい」「幸福感と感謝」「有名曲と難曲の組み合わせが素晴らしい」など、アンケートの回答数と内容が客席の熱量を伝える。そうした声に応え、2019年も「名曲の花束」開催が決定した。 「第2弾もコンセプトは変えずに、曲目を練りました。エルガーの『愛のあいさつ』、モーツァルトの『トルコ行進曲』、ベートーヴェンの『月光ソナタ』、ショパンの『別れの曲』といった名作に加え、やはり人気の高いリストの『ラ・カンパネラ』(ブゾーニ編)や『愛の夢第3番』などは定番として残します。 加えて、今回特に注目していただきたいのは、原曲がオルガン作品であるJ.S.バッハの『幻想曲とフーガ BWV542』(リスト編)、そしてオーケストラによるバレエ音楽を基にしたストラヴィンスキーの『ペトルーシュカからの3楽章』です」 及川が教授を務める宮城学院女子大学は、キリスト教系の大学だ。礼拝で聴くパイプオルガンの響きやバッハの作品は、及川に大きな感銘を与えるという。 「オルガンは足鍵盤もありますから音域が広く、パイプ間の共鳴も豊かで、その響きの素晴らしさを改めて実感しています。バッハのオルガン作品をリストがピアノ用に編曲したものは、多くの声部をうまく両手に振り分け、重音を駆使することで巧みにピアノ曲に落とし込んでいます。バッハの音楽の本質を伝えつつ、あたかもピアノのオリジナル作品であるかのようです。ピアノはオルガンと違って、音を鳴らした瞬間から響きが減衰しますが、音と音の間を思いで繋げ、フレージングを形成していきます」 ストラヴィンスキー自身によるピアノ版「ペトルーシュカ」は、技巧的に難曲中の難曲であり、鮮烈な響きを放つ作品。及川はこれをあえて「花束」に挿し込む。 「通常のコンサートの中にはなかなか組み込めない作品なのですが、今回のプログラムの流れにはいい。作品の構造がわかれば意外と親しみやすく、お楽しみいただけると思います」演奏とトークで探る名曲の条件 今回は及川自身が台本なしのフリートークで、作品の仕組みや背景などを紹介しながら進行するという。作品の意外と知られていない一面や、より近しく感じられるようなエピソードが語られる。 「大きなホールの会場も、お話を入れるとお客様との距離が近くなり、サロン的でリラックスした雰囲気となります。そういうキャラだったの?!と言われる自由なトークではありますが(笑)、『トルコ行進曲』の何がいったい“トルコ”なのか、ベートーヴェンとショパンの関連性は何かなど、お話しすることで作品により興味を持っていただけるのではないかな、と」 最後にあらためて、及川にとって「名曲とは何か」と尋ねた。 「“わかりやすさ”だけでは、何百年も残る名曲とはなりません。ベートーヴェンの『第九』も合唱の旋律以外は、決してわかりやすい音楽ではない。しかしどこを取っても、その音以外にはあり得ないと思わせる、選び抜かれた最高の音で綴られています。あるべき音、必然に溢れた音、インスピレーションに満ちた作品こそが、人々に愛される名曲として残るのだと思います」
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